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日経平均株価指数。今後、30,000円を上回る上昇相場は実現するのか。

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 新年度に入り、日経平均株価指数がここ数日の揉み合い相場からいったん抜け出したようです。

 上のチャートは日経平均株価指数の日足チャートですが、一目均衡表に加え、10EMA(10日指数移動平均線)と25EMA(25日指数移動平均線)を引っ張っています。

 このチャート面では、テクニカル的に次のような意味になります。

一目均衡表

 ①昨日のローソク足で雲を抜けた。

 ②遅行スパンがローソク足を上回った。

 ③転換線はまだ基準線を抜けていない。

 いわゆる「三役好転」のうち、①・②はクリアしたが、③についてはまだであるため、転換線が基準線を抜けてくると上昇トレンドが形成される可能性が高まります。

 

〇2つのEMAと一目均衡表

 10EMAがようやく25日EMAを抜けてきました。

 また、ローソク足が、これらのEMAだけでなく、一目均衡表における「雲」から離れることができています。

 これは、昨日の値動き自体が強いものであり、買いの勢いがあることを表しています。

 

ローソク足

 昨日のローソク足は、どちらかというと「陽線坊主」に近い「大陽線」です。

 これについても、昨日の上昇が強かったことを示しています。

 

 ということで、日経平均株価指数はようやく明るい兆しが見えてきたと思えるようになっていますが、一目均衡表に代えてボリンジャーバンドを見てみると次のようなことがいえます。

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 ボリンジャーバンドの中央線と先ほどのEMAが同程度の値で重なっていますが、昨日のローソク足では、この中央線から離れ、ボリンジャーバンドの外枠に向かいつつあります。

 この意味は、相場の勢いが再び強気に戻りましたが、高値でボリンジャーバンドの外枠を突く動きが来週想定されるということです。

 

 これらのテクニカル指標に加え、MACDとRSIでトレンドがどのように変化したかを確認してみます。

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 中段がMACD、下段がRSIです。

 昨日の日経平均株価指数の上げで、ようやくMACDが少しだけですがMACDシグナルを抜け、ゴールデンクロスが出来上がりました。

 これは目先のトレンド転換を意味しています。

 また、RSIについては、すでに3日前に50.0を上回っており、昨日でさらに上向きとなっています。

 直近では、今後、70.0に向かい、80.0を目指せるかどうかで強さの意味が変わってきますが、目先は買いの勢いはあると判断できるでしょう。

 

 テクニカル面での日経平均株価指数の現状分析はこのようになります。

 ただ、昨日の段階では一見強そうに見えていますが、これが続くかどうかにはいくつかのハードルがあります。

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 実をいうと、昨日の値動きでは29,900円付近にあるレジスタンスライン(上値抵抗線)を抜けずに終わっています。

 日経平均株価指数の前日比は465.28円高とそれなりに強かったわけですが、29,900円付近にあるレジスタンスラインの手前(だいたい29,850円付近)で止まってしまっています。

 このため、確かに買いの勢いは強かったんですが、一方で売り圧力もしっかりと存在していることがわかります。

 目先は29,900円を突破できるかというところですが、これを越えると、2月16日の終値からのトレンドライン(おおよそ30,000円近辺)が次の壁となり、そこも突破すると、次は30,200円近辺にある強めのレジスタンスが立ちはだかっています。

 直近では1日、2日程度上昇するだろうと考えられますが、30,000円近辺と30,200円近辺で抵抗を受け、再び上値を抑えられる展開になるだろうと考えています。

 昨日の日経平均株価指数の上げの主だった理由は、直接的には、アメリカの10年物国債利回りが低下し、ナスダックが上昇したからです。

 ナスダックの上昇をけん引したのは半導体銘柄ですが、SOX指数が回復してきていることを考えると、これに背中を押される形でナスダックが上昇したことがわかります。

 この背景にあるのが、バイデン政権によるインフラ投資です。

 この中身に半導体が関連しているため、ここに強い買いが入っています。

 

 ということで、ここまでが直近の現状確認です。

 来週、日経平均株価指数はどうなるのか。

 先ほどのレジスタンスをしっかりと越えられるかどうかで勢いは変わってきます。

 最新の報道では、3月の雇用統計が予想を大幅に上回っているため、アメリカの実体経済に対して回復期待が増すことが考えられますが、雇用が回復するというメッセージは逆に、長期金利が上昇するだろうという連想も呼び起こします。

 このようなことから、これまで通り、アメリカ10年物国債利回りには注意を払う必要があります。

 一時1.6%台まで低下していた長期金利が、また1.7%台に戻してきているため、これが再び1.8%に向かって上昇してくると、グロース市場であるナスダックにとっては向かい風になる可能性が高まります。

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 ただ、長期的にはバイデン政権のインフラ投資、例えば、半導体の工場をアメリカに移転した企業には助成金を支給するといった支援への期待は膨らんでくる可能性があるため、これからは、バリュー株にけん引されながら、長期金利の上昇を吸収しつつグロース株も上がっていくといった展開を考えることができます。

 現段階では、目先、大きな下落は考えにくいですが、今後、バイデン政権のインフラ投資が本当に実現されるかが注目点になってくるでしょう。

 最後に波形取りのイメージですが、今のところ、次のようなイメージで捉えています。

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 直近では先ほど示したレジスタンスを越えられるかどうかですが、越えられる場合はさらに直接的な上昇トレンドが見込め、逆に越えられなかった場合は再び下降トレンドを形成する可能性が高まります。

 ただ、この場合でも、その後は戻り、上昇トレンドへ移行していくような気がします。

 いずれにせよ、日経平均株価指数においては30,000円近辺では大きな攻防戦が起こっており、これまですでに2回ほど敗北しています。

 仮に、上昇トレンドが確定する場合は、2月16日につけた高値30,724.52円を越える必要がありますが、このシナリオではおそらく越えるだろうと見立てています。

 その後は上下を繰り返し、最終的に35,000円水準を目指す展開を想定しています。

 ここは大きな上昇トレンドラインとの交差点であり、また、第4波から延ばした、第1波上昇分に相当する値であるため、コロナショック後の上昇トレンドの最終着地地点としては十分考えられる水準だろうと考えています。

 その後は下落、トレンド転換のタイミングは現時点では今年の7月中旬~下旬と見えますが、仮に35,000円近辺を天井と考えると、やはり年後半は大きな調整が起こる可能性を見ておく必要があるのかもしれません。

 調整の要因として考えられるのは、「アメリカの長期金利が3.0%に近づく?」、「米中の何らかの摩擦が起こる?」、「ドル高により新興国通貨が大幅に急落する?」、「東京オリンピックパラリンピックが終わる」、「新型コロナウィルス感染症に関する何らかのネガティブ要因が発生する?」など、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に大きな影響を与える出来事が起こるのかもしれません。

 ここら辺のことはよくわからないので、その後の顛末を見守るしか術はありませんが、いずれにせよ、金融緩和政策をどう変更するかについては注視していく必要があるといえるでしょう。

 

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