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今日の日経平均株価指数。途中まで600円ぐらい下がってたのに、結局、ほとんど下げなかったのはなぜ?

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 今日の相場は、結構、面白い展開というか、動きを示しています。

 このブログを書き始めている時間は3月5日の14時24分。

 全方向的にいくつかのマーケットで顕著に影響し合っている動きです。

 

 日経平均株価指数は、ここ数日間、30,000円の大台に乗せてから下落基調となっていますが、なかなかこの動き、止まらないですよね。

 結論をいうと、以前のブログでも軽くお伝えしたように、28822.22円を今日、安値で下回ったため、中規模調整に入ったと判断しています。

 ここ数日の株価の下落は、もちろん、米10年物国債の利回り、つまり、長期金利の上昇に対する警戒感から利益確定の売りが膨らんでいる結果ですが、直接的には、長期金利が急激に上がったことでNASDAQが急落していることに端を発しています。

 株価の上昇率と比べて金利が急激に上がってしまうと、NASDAQ銘柄に投資する旨味が減少してしまうため、いったん手仕舞っておこうという動機が働いています。

 

アメリカ10年物国債利回り

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 今日なんて、米国債先物市場でで長期金利が1.576%とまた上がりだしているんで、途中まで日経平均株価指数は大幅に値を下げていました。

 600円程度下落してましたよね。

 

 でも、その後が重要なんですが、急速に値を戻しました。

 仕事をしながらマーケットを見ているので、ふと気づいたらそんな感じだったので「なんで?」って思って調べてみると、黒田さんがコメントしてたんですね。

www.bloomberg.co.jp

 この記事で重要なのは、次の点です。

長期金利の変動幅を拡大する必要があるとは考えていない

 日銀は、今、長期金利の変動幅を0%±0.2%の範囲内で許容しています。

 その前までは、基本、0%に張り付かせていたんですが、それを止めて±0.2%の変動は認めるとしました。

 この意味は簡単で「長期金利が上昇する場合は、0.2%までは許す!」といったメッセージをマーケットに与えていました。

 これは裏を返すと、0.2%まで長期金利は上がるとマーケットに受け止められやすくなるため、10年物国債の利回りがぐんぐんぐんぐん上がっていきました。

 金利が急上昇してしまうと、後々、実体経済に広く悪影響を及ぼしてしまうため、良いか、悪いかで言ったら、悪いわけですが、この過程で、日経平均株価指数は、アメリカの株価指数同様、下げ基調に転じました。

 でも、株式市場自体は、依然として強気ムードではあるんです。

 ついこの前、日経平均株価指数が30,000円の大台に乗った後、オプション市場で39,000円の取引が成立したという報道がありましたが、これはこれで強気姿勢の表れです。

 そんなこんなで、3月18日から始まる「日銀の点検」がどうなるかに注目が集まっています。

 マーケットでは、いろいろと思惑が飛び交っているんですが、そのひとつに「長期金利の変動幅を拡大するんじゃないか」という内容も含まれていて、先ほどの記事の内容とここでようやくつながってくるんですね。

 思惑としての変動幅拡大の予測は、変動幅の水準を0%±0.3%に拡大するというものです。

 これをやっちゃうと、日本の10年物国債の利回りがさらに上昇しちゃうので、目先的には株価の下落要因として受け止められています。

 今日の日経平均株価指数は、「アメリカの株式市場で株価が下落したのは米国10年物国債利回りがまた上がったから」でしたが、そうなると、「日本の10年物国債の利回りも上昇しやすくなるのでは」という思惑から、途中まで大きく値を下げました。

 でも、先ほどの黒田さんのコメントを受けて、つまり、「長期金利の変動幅は±0.2%のままなので安心してください」というメッセージをマーケットが受け止め、一気に値を戻しました。

 結局、終値は前日比65.79円安ですもんね。

 かなり一気に巻き返した感はあります。

 

 さぁ、ここで今日わかったことは、

アメリカの長期金利が上がっても、日本の長期金利は上がりにくい目もある

ということです。

 

〇日本10年物国債利回り

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 日本の10年物国債の利回りは、15:00時点で0.081%まで下がっています。

 黒田さんのアナウンス効果は抜群で、言葉ひとつで日経平均株価指数の急落をとりあえず止めたといっても過言ではないでしょう。

 ならば、FRBのパウエルさんも、アメリカの長期金利の急上昇を抑制する何かを言えばいいのにって思いますよね。

 昨晩、パウエルさんがコメントしてたんですけど、長期金利について言及しなかったからNASDAQが崩れたという背景もあります。

 今後は、パウエルさんのアナウンスがあるかどうかにも注目が集まってきますが、アメリカの場合、FRBが金融緩和の中身を修正、もしくは、変更することの方が期待されるのではないでしょうか。

 具体的にいうと、長期国債の買入れを増やすとか、最近言われていることは、ツイストオペと呼ばれる金利調整を行うかもしれないということにも注目が集まっているようです。

 ツイストオペは、簡単にいうと、短期金利を上げて、長期金利を下げ、金利をいじることですが、長期金利が下がると株式市場にとってはプラスに働きますが、特に実体経済に対しては短期資金のコストが上がるため、この政策が良いか悪いかという議論の余地はあります。

 でも、マーケットとしては長期金利が下がってくれれば良いわけなので、投資家としてはそれらを期待するわけです。

 なので、来週は、

日本は長期金利下がったけど、アメリカはどうなる?

という点がマーケットの焦点になるような気がします。

 

 ということで、話を日経平均株価指数に戻します。

 

日経平均株価指数

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 冒頭でもお伝えしたように、日経平均株価指数は、安値で28822.22円を下回ったため、これをもって、中規模調整局面入りと考えています。

 日本の長期金利が下がってきているため、日経平均株価指数は下げ止まる可能性もありますが、先ほどの黒田さんの報道を見てから、ひたすら「本当に下げ止まるか」を探っていました。

 

日経平均株価指数

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 なぜかというと、28,800円付近にあるサポートラインを下回っちゃってるんですよね。

 で、その次にあるサポートライン、28,300円まで安値が届いているので、内実、強いとは言い切れないんです。

 それと、一目均衡表では雲の手前に位置しています。

 もうちょっとで雲入りするかどうかという局面です。

 要は、何かというと、まだ下げ止まりのコンセンサスが投資家の間で得られていない可能性があるという話です。

 

日経平均株価指数

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 次は、MACDとRSIについて見ていきます。

 MACDも、RSIも、トレンドを見るテクニカル指標ですが、RSIは50を下回り、46.39となっています。

 これだけ見ると、目先のトレンド転換を判断できません。

 なので、MACDを見ます。

 水色のラインがMACD、オレンジのラインがMACDシグナルですが、先日、この2つの線がデッドクロスをしてから、まだぜんぜん下降トレンドを描き続けているんですよね。

 トレンドが転換するときは、このMACDの底の部分がフラット化するため、まだ下がる可能性があると判断できます。

 

日経平均株価指数

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 チャートにボラティリティーの状況を確認するボリンジャーバンドを描いてみると、今日のローソク足で下ひげがボリンジャーの下枠からはみ出ています。

 これを見ると、トレンド転換かなとは見えます。

 

 ただ、これら3つの指標で最も重要なのはMACDなので、エリオット波動理論も絡めた結論として、

直近の下落基調はもうそろそろ終わる可能性があるが、いったん下げ止まると買戻しが入り値を戻す。

しかし、その後は再び下落。

これをもって中規模調整局面とする。

といった感じです。

 

 ファンダメンタルズ的には、やはり、10年物国債の利回り(長期金利)が大きなポイントですが、アメリカと日本の動きが今後どうなるかでしょう。

 ちなみに、為替市場、ドル/円ですが、一気に円安・ドル高に動いています。

 これは、日米の金利差が急拡大したからですが、アメリカの長期金利>日本の長期金利の程度が激しくなったからです。

 これを見ると、日米の金利差が、今後、どのように縮まるかで株価の動向が変化するともいえますが、株式市場にとっての最善は、やはり、アメリカの長期金利が低下することでしょう。

 そしたら、為替は少し円高気味に戻すでしょう。

 あとは、原油価格ですかね。

 これは、OPECプラスが減産を延長したので、再び値を上げてきています。

 チャートでは、節目のラインを突破したため、今後は、原油価格が上がった場合の物価に対する影響も考慮しておく必要があります。

 物価の上昇、つまり、インフレに対しては、まだそれほど懸念する必要はないと思いますが、金利が下がって再び上がる段階での原油価格の上昇が、株式市場にとっては一番まずいので、ここは注意点として捉えておきましょう。

 

 今日は、とても面白いマーケットでした。

 日銀の黒田さん、相当、困ってますね。

 困っているというか、マーケットをよく観察し、熟慮を重ねていることが伝わります。

 それに比べて政治はってところですが、黒田さん自身、金融緩和だけじゃ実体経済は好転しないということもわかっているため、すごくジレンマを抱えながら任務を遂行しているという印象です。

 3月18日の金融政策決定会合の内容がどうなるか。

 とりあえず、ここには注目しておきましょう。

 

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