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日銀3月点検。日米の金融政策から日米株式市場の現状を確認し、今後の予測をしてみる。

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 先週末から株式市場に暴風が吹いているように見受けられます。

 その原因は、FRBの金融緩和政策維持と日銀の金融緩和政策の修正・変更です。

 今回は、ここら辺の話題に触れた上で株価指数の現状を確認し分析してみます。

 

 とりあえず、FRBの金融緩和政策維持についてはサプライズではなかったですね。

 簡単にいうと、金融緩和政策を積極的に維持するという内容でした。

 なので、これまでどおり長期金利の上昇がどこまで進むかが注意点です。

 ということで、アメリカの10年物国債の利回りを見てみます。

〇米10年物国債利回り(日足)

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 現時点ではアメリカの10年物国債の利回りは1.693%です。

 3月18日に高値で一時的に1.754%をつけましたが、それに比べると、今は落ち着いてはいます。

 傾向としては、日足チャートではとりあえず落ち着いているように見えますが、時間足チャートでは割安感が出ているため目の前で再び長期金利は上昇していくだろうと見て取れます。

 なので、月足から確認して傾向を探っていきます。

〇米10年物国債利回り(月足)

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 とりあえず、年内は上昇トレンドで覆われている感じですね。

 大きな節目である1.920%は早晩たどり着くでしょう。

 今現在の落ち着きは、どちらかというと一服で、上昇に対してもたついている印象です。

 その理由は週足チャートに表れています。

〇米10年物国債利回り(週足)

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 割高感があるため「ちょっと高すぎない?」という感じで上値が抑えられています。

 RSIが80.0に到達し頭を下げていますが、MACDがまだ強い上昇トレンドを示しているため一服は一時的と判断できるでしょう。

 

 ということで、大局は、

アメリカ10年物国債利回り長期金利)は、言うても、年内はまだまだ上昇する

と見ておく必要があるかもしれません。

 つまり、ナスダックにとっては逆風ってことですね。

 ナスダックはグロース株(成長株)やハイテク株で構成されているため、長期金利が上昇するにつれナスダック離れが進んでいくのではないでしょうか。

 ここでナスダックについて確認しておきます。

〇ナスダック(日足)

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 案の定、回復してますね。

 3月5日の安値で下値をつけています。

 ただ、日足レベルでは、これが底かどうかはまだ不明です。

 MACDゴールデンクロス、RSIも50.0を超えています。

 そして、ボリンジャーバンドのセンターラインをローソク足が抜けている・・・。

 微妙なので、一目均衡表を見ていきます。

〇ナスダック(日足:一目均衡表

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 先週末、雲抜けし、トレンドとしては下降トレンドを描いていましたが、現時点で雲に入ったため、ここから脱出できるかどうかがポイントになりそうです。

 基準線がレジスタンスライン(上値抵抗線)となり、上昇の壁になっています。

 強くはないですよね。

 でも、今現在、前日比213.81高で推移しているため、長期金利の落ち着きで買い戻されている感じです。

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 VIX指数(恐怖指数)も20.0を割り込んでいるため、直近では強気といったところでしょう。

 ただ、一目均衡表で雲に戻ったばかりで抜けるかどうかは微妙なところです。

 時間足チャートが上昇トレンドを描いており、1日、2日程度は上げるかもしれません。

 でも、続かないかもしれませんね。

〇ナスダック(週足)

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 週足レベルでは、MACDデッドクロスをしていて、下降トレンドを描いています。

 また、RSIは下落中ということで、割高感で売られている最中にあることがわかります。

 ということはつまり、今の上昇は単なる戻りで、いずれまた下がっていくだろうと考えることができます。

 一応、月足も見ておきます。

〇ナスダック(月足)

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 月足も週足同様はっきりしてきています。

 MACDは高水準にありますがフラット化してきており、また、RSIは80.0手前で高止まりしているため、ナスダックは、すでにトレンド転換しているか、これから上昇した後、トレンド転換するかといったタイミングにあるようです。

 ということで、エリオット波動理論における波形を描いてみます。

〇ナスダック(日足)

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 強気でいくなら「5波」でトレンド転換ですが、弱気でいくなら「3波」の地点で上昇相場は終わっていて、今の波は修正3波(調整局面)と考えることができます。

 アメリカの10年物国債利回りやNYダウへのマネー移行、FRB国債の買入れを拡大するといったニュース、月足チャートなどを総合的に見ると、どうも弱気シナリオのような気はします。

 その場合、緑の矢印のような経路をたどることが考えられ、月内に天井をつけ、下落し始めるといった流れかもしれません。

 その後は戻ると思いますが、今回の調整は長いかもしれませんね。

 イメージ的には横に調整がスライドし、ボックスを形成しながら揉み合うといったことも考えられます。

 月足チャートではトレンド転換の兆候が今のところ緩やかなので、これが揉み合い調整を示唆してるのかもしれません。

 ということで、ナスダックは積極的には行きづらいような気がします。

 

 これを見越しているからこそのNYダウへのマネー流入が起こっているわけで、いずれ、もっともっと長期金利が上昇していくと、その頃はNYダウも割高感が出てくるため上昇が抑えられるようになってくるでしょう。

 大分先の話ですが。

 マーケットが実勢相場に移ってきているため、アメリカの実体経済の回復、特に雇用状況の改善がはっきりしてきたら、コロナショック後の強気な上昇相場は終わりを迎えると思います。

 雇用指標は遅行系列ですが、最終的にはこれを事前に予測しながら長期金利の先行きを占っていく感じになろうかと思います。

 で、実際に短期金利であるFFレート(アメリカの政策金利)が引き上げられるかもしれないとなったら、マーケットはこれをもって金融緩和政策の終了と判断し、実体経済が回復しているものの、株式市場、特にNYダウでは大きなトレンド転換が訪れるのではないでしょうか。

 ということで、NYダウを見てみましょう。

〇NYダウ(日足)

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 NYダウはとりあえずトレンド転換している感じです。

 MACDはフラット化していますが、RSIが70.0で頭打ちなので、再び下落局面に入ったと考えて差し支えないでしょう。

 時間足では値はいったん戻ると思いますが、週足レベルでは強く割高感が出ているため、今後、上がったとしてもレジスタンスライン(上値抵抗線)に阻まれそうな感じです。

 ということで、波形を取ってみます。

〇NYダウ(日足)

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 このシナリオで考えた場合、ナスダックの動きも勘案すると、NYダウは悲観的というよりも楽観的に考えて良さそうな気はします。

 上昇がスティープ化する可能性も無きにしも非ずですが、ナスダックの下落に引っ張られると思うので、こんな感じで考えておくことにします。

 いずれにせよ、年内は最高値を2度ほど更新すると思いますが、その後は調整局面が訪れるかもしれませんね。

 

 ナスダックにしろ、NYダウにしろ、今のところ、FRBの動きをかなり前倒しで先取りしている印象です。

 つまり、FRB実体経済が雇用を中心に本格的に回復するまで金融緩和を続けると言っていますが、マーケットは現時点ではあまり信用していないってことですね。

 結局、相場は思惑なので、年内はやはり相場は荒れる気がします。

 今のところ、S&P500はナスダックとNYダウの中間的な動きをしているため、間を取った考え方をしています。

 

 あとは、気になるのはこの記事です。

jp.reuters.com

 要は、コロナで緩めていた資本基準が元に戻るということなんですが、これまで銀行のバランスシートが多少悪化しても良いとしていたのを、銀行の資本規制の緩和を延長しない場合、銀行としては財務内容の健全性を保つ必要があるため投資資金に影響を及ぼすのではないかという懸念です。

 ナスダックの先週の下げは、長期金利の上昇はもちろん、これについても大きいような気がしています。

 バイデン政権は、基本的に資本規制を強化したいので、その布石を打つかもしれないという話にもつながる可能性があります。

 ただ、これについてはまだ時期尚早という気がするので、金融緩和政策の出口戦略で現れて来る事象として頭に入れておきましょう。

 

 さぁ、大分話が長くなっていますが、もっと話します。

 アメリカは、基本、長期金利が上昇することで、ナスダックには悪影響が及ぶ代わりにNYダウにマネーが流れていくというのが今後の基礎的な方向性といえます。

 このため、アメリカ市場は大きく揺れる可能性が高まっています。

 一方、日本はというと、ようやくこの話にたどり着きましたが、先日の日銀の3月点検の内容はサプライズでしたね。

 大方の予測としては、例えば、日本の10年物国債の利回りの変動幅は現行の±0.2%で変わらないだろうというのが大勢を占めていましたが、事前予測としては変動幅を±0.3%にするかもしれないという予想を立てる専門家もいました。

 それが、中途半端に変動幅を±0.25%とするということで、±0.05%を加えました。

 このメッセージは長期金利の上昇と受け止められ、実際、日本の10年物国債利回りは一時的に0.121%まで上昇しました。

 今回の点検における金利への対応は次のとおりですが、先ほどの長期金利の変動幅を0.25%程度にするというのは「長期金利の変動幅の明確化」に当たります。

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日本銀行より効果的で持続的な金融緩和:政策面での対応

 黒田さんとしては、この変動幅を広げたのは長期金利の上昇を容認するものではないと言っていますが、意図的に変動幅を拡大させていることを考えると、地銀再編に伴う支援の意味合いもあるだろうと推測できます。

 この点でいうと、上の図にある「貸出促進付利制度」の創設が関連してくるんですが、簡単にいうと、これはマイナス金利を深掘りすることも考えているため、もしそうなったら銀行の経営体力をさらに悪化させる可能性が高いため、金融機関が日銀に預ける当座預金金利をマイナス金利の程度に連動させる形で、0.0%~0.2%程度金利を上乗せするとしています。

 この結果、仮にマイナス金利政策を日銀が実行した場合、金融機関にとっては多少のサポートにはなり、特に、コロナ禍の企業の資金繰りに注力してほしいという意図が込められています。

 これをこのタイミングで出してくるわけですから、やはり年度末もしくは年度初めの企業の資金繰り悪化に対する手当をしっかりと講じておく必要があると考えているんでしょう。

 ただ、本当にマイナス金利政策をさらに深掘るの?とは思います。

 おそらく深掘りした場合としなかった場合とを比べると、経済に対するダメージと金融機関に対するダメージを両天秤に掛けた場合、いざとなったら深掘りした方が良いと判断したんだと思いますが、上の図にある「連続指値オペ制度の導入」も加えられているため、国債の買入れを通じ長期金利を上昇させることもあるため、これも含め、銀行に対する影響をコントロールしようとしているのかもしれません。

 すごい政策的バランスだと思いますが、日銀としては基本的に、

 2%の「物価安定の目標」実現のため、①持続的な形で、金融緩和を継続するとともに、②情勢変化に対して、躊躇なく、機動的かつ効果的に対応することが重要

 としています。

 ①については今までも同じですが、②の点でこれまで以上に強化した形です。

 現状、日本では、コロナ禍による経済の悪化からいかに回復するかという点で長短金利、つまり、イールドカーブを低位に抑えておく必要があります。

 しかし、金利水準が低い状況が、特にマイナス金利政策を実施し始めた2016年以降長らく続いているため、この結果、金融機関の経営体力が悪化してきました。

 このような状況を考慮せず、さらに金融緩和政策を長引かせた場合、むしろ実体経済には逆効果になる可能性が高いため、今回の措置に踏み切ったという印象です。

 つまり、今後は、経済状況の悪化からの脱却と金融機関に対する支援を同時に視野に入れておく必要があると考えているのが、今回の3月点検で明確になりました。

 

 ということで、日本の場合、国内要因では大きく金利が上昇することは考えにくいわけですが、もうひとつ重要な株式市場対策の変更というのがあります。

 これに今、マーケットは反応しているわけですが、その内容は次の通りです。

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日本銀行より効果的で持続的な金融緩和:政策面での対応

 これ、資産運用としてはかなり重要なので、最低限、ポイントは押さえてみてください。

 最大のポイントは、

ETFの買入れをTOPIX連動型のみにする

ことです。

 これまでは、ETFについていうと、日経平均株価指数に連動するものも、TOPIXに連動するものも、その他含め、相場の上昇・下落トレンドにかかわらず買い入れる方針を採っていました。

 例えば、次の表はETFの買入れ状況を示したものですが、2月以降では、501億円のETF買入れを昨日を含め4回実施しています。

 1月以前はもっと回数は多かったんですが、2月以降で回数を減らし、今回の3月点検への布石を打っていた形です。

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 今年に入って、ETFを買い入れる基準はおおむねTOPIXの変動率が▲1.0%を超えた場合になっているのではないかと囁かれていましたが、表を見ると、案の定、そうなっています。

 2月に入るまでは明確な基準はなく、それなりに下がった場合にETFを買い入れていました。

 巷では▲0.5%超なんて言われていましたが、実際には▲0.34%の日に501億円買い入れていた時もあるため、細かく買入れしていました。

 それが2月に入り明確に▲1.0%下げた場合、そして3月点検では、

上昇局面ではもう買入れない

としました。

 実際、上昇した場合にも買ってるの?と言われれば買ってはいないんですが、これは局面、つまり、上昇トレンドの中にあると思われる場合はもう買わないという意味です。

 確かに、上昇トレンドにある時にもETFを買っていたため、「これで良いの?」という指摘もあるため、この点について見直しが入った模様です。

 そして、さらに重要なのが、

日経平均株価指数に連動するETFは買い入れない

としたことです。

 その代わり、

TOPIX東証株価指数)に連動するETFだけ買い入れる

とし、これがここ数日の日経平均株価指数の急落とTOPIXの上昇につながっています。

 もう少し詳しく説明すると、先ほどの図にもあるように、年間のETF買い入れ上限枠を約12兆円としています。

 これまでは12兆円を限度としながらも、おおむね6兆円を目処に限度を考えていたんですが、この6兆円を撤廃し、12兆円という大枠だけを残しました。

 これが、先ほど示した基本方針にある

②情勢変化に対して、躊躇なく、機動的かつ効果的に対応

です。

 つまり、TOPIXが上昇局面にあるときはETFは買い入れないけれども、急落した場合は、例えば▲1.0%超の下落が生じた日については、年間12兆円という大枠内で買入れを機動的に行っていくことにしました。

 簡単にまとめると、

日経平均株価指数に連動するETFは下がっても買わない

◦ただし、TOPIX東証株価指数)に連動するETFについては、急落時に買う

ということです。

 なので、日経平均株価指数からTOPIXにマネーが流れているわけですが、例えば、日経平均株価指数に組み入れられている銘柄をポートフォリオから外し、TOPIX銘柄で構成するなんてファンドが出てくると思います。

 そうなるだろうと日経平均株価指数が売られTOPIXが買われているのはおそらく事実でしょう。

 ただ、日経平均株価指数銘柄も、TOPIX銘柄も、組み入れられている銘柄は共通していたりするため、おそらく、今回の3月点検の影響は早晩終息すると思います。

 

 もっとも、これはチャートを見るとわかることなんですが、日経平均株価指数を押し下げていたのは、確かにアメリカの長期金利の上昇でナスダックが下がっていたのも大きいんですが、直接的にはファーストリテイリングの急落が考えられます。

ファーストリテイリング(日足)

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 ファーストリテイリングユニクロでお馴染みかもしれませんが、黒がファーストリテイリング、オレンジが日経平均株価指数です。

 直近の株価で見ると一目瞭然ですが、ファーストリテイリングの株価が日経平均株価指数の足を大きく引っ張っていることがわかります。

 なんで?と思いますが、4月からの消費税内税義務化の影響が思惑として絡んでいるようです。

 4月から消費税の総額表示が始まるんですが、前もって3月12日からユニクロ・GUで消費税込みの値段をこれまでの本体表示価格にするそうで、おおむね9%の値下げになるということで、企業収益の減少が連想され売りにつながっているということです。

 消費者としてはお値段変わらずで嬉しい限りですが、投資家にとってはたまったものじゃないですよね。

 個人的には、なんで日経平均株価指数の構成比率がユニクロが一番高いんだということに疑問を抱いています。

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 ファーストリテイリング日経平均株価指数構成率は10.73%です。

 日経平均株価指数225銘柄の約10%という突出した割合をユニクロ・GUが占めているってなんで?って思います。

 確かに国内の小売を牽引していたり、海外展開も積極的に行っているため、日本を代表する企業とは思いますが、この比率はおかしいでしょと思っています。

 ファーストリテイリングが下げると、日経平均株価指数が大きく下がるため、日経平均株価指数の戻りはおおむねファーストリテイリング次第のような気がしています。

 これにアメリカの長期金利の上昇が重なるわけですから、ユニクロがニューヨークなどでも展開されていることを考えると、今回の日銀の3月点検の結果を受けて、ファーストリテイリングから手を引く機関投資家個人投資家が増えてもおかしくないでしょう。

 ということで、ファーストリテイリングのチャートを改めて見てみます。

ファーストリテイリング(日足)

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 一目瞭然ですが、目先は下落止まらず、MACDは下落トレンド継続中、RSIはさらに低下する可能性大といったところです。

 ボリンジャーバンドでは下限の枠内に達していますが、別で一目均衡表を見ると、雲抜けしていて、下降トレンドに完全に入っているため、しばらく自律的な反発は難しいように思います。

 ということは、ファーストリテイリングはデフレの長期化を予測し、コロナもあってでしょうけど、格安路線を仕掛けようとしているってことなんでしょう。

 経営判断としては正しいと思いますが、なぜ、日経平均株価指数の約10%をファーストリテイリングにしたという疑問がさらに強まります。

 低価格路線でのし上がってきた企業を日本を代表とする企業としているわけですから、言うならば、日本経済がデフレになっている象徴企業ということになるため、日本経済復活の旗印にはそもそも成り得ない企業だと思うんですけど、どうなんでしょう。

 ということで、日経平均株価指数はまだまだ重いかもしれません。

 

 では、その日経平均株価指数がどうなっているかを確認します。

日経平均株価指数(日足)

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 やはり弱いですね。

 MACDがまたデッドクロスしそうですし、RSIは下を向き始め、50.0を下回っています。

 ボリンジャーバンドではセンターラインを下回り、今日、下値のトレンドラインで止まっている状況です。

 ここまで行っちゃっているのはファーストリテイリングの下げが要因と思われますが、TOPIXへの資金移動だけで考えた場合、ここまで下がらないように思います。

 早速、日銀はTOPIX連動型のETFを501億円買い入れていましたが、先週末、日経平均株価指数先物で大きく下げていた流れで、今日、日経平均株価指数先物も大きく下げ、それにつられてTOPIXも下げたのが要因のような気がします。

 仮に、ファーストリテイリングの暴落が一連の日本株の下げに寄与してしまっているとするならば、やはり元通りに値を戻すにはファーストリテイリングが復活する必要があるように思います。

 ちなみに、日経平均株価指数は時間足では上昇トレンドが生まれそうなタイミングになっているため、1日、2日は上昇するかもしれません。

 日足では下落、つまり、1週間程度で考えた場合、下落トレンド、そして、週足でも下落トレンドが始まるタイミングであるため、1か月以内では下向きと考えてしかるべきでしょう。

 しかし、月足ではまだ上昇は続く模様です。

 つまり、数カ月先には復活してくる可能性があるため、ナスダックやアメリカの長期金利を見ながら乱高下していくだろうと予測できます。

 とりあえず、目先、32,000円は少し遠ざかった印象です。

 でも、いずれ32,000円を再び目指し、今のところ、月足レベルではそこら辺がトレンド転換の水準になっているようです。

 これについてもアメリカの株式市場との整合性は一応ありそうなので、大きく下げる局面があったら買いですかね。

 でも、目先、短期的には長続きしない可能性が高いため、警戒は解けないといった感じです。

 

 では、これから期待の星になるかもしれないTOPIX東証株価指数)について、最後に確認しておきます。

TOPIX(日足)

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 直近では下降トレンドを描くと思われます。

 MACDがフラット化し、RSIが70.0水準で頭を下げています。

 ボリンジャーバンドでは外枠の上限から押し戻されていますが、依然としてセンターラインの遥か上にいる状況です。

 一目均衡表ではぜんぜん割高感があるため、売り圧力が今後かかりやすくなるかもしれません。

 チャートでは示しませんが、時間足でも下降トレンド、週足でも下降トレンドの可能性が高くなっています。

 しかし、月足においては上昇トレンドを示しているため、今後、ある程度押し戻された後に、その反動で一気に買い上がられる可能性が高いといえます。

 そして、天井をつけると、今のところ、そこが限界でトレンド転換が起こるかもしれません。

 ということで、TOPIXについても年内で上昇局面が終わる可能性が見て取れます。

 金先物が日足・週足レベルで上昇トレンドに移行し、月足レベルでは下降トレンドを描いていることを考慮すると、やはり、日米の株式市場の動きに整合性はあるように思います。

 

 今回は大分長くなりましたが、日銀の3月点検の影響がマーケットにかなり出ているため、現状把握を目的にいつもよりも細かくお伝えしました。

 あくまでも分析なので必ずそうなるとは限りませんが、テクニカル指標を用いると、波形取りを含めそんなイメージで考えています。

 それにしても、今回の日銀の3月点検については、はっきりしましたね、金融緩和の一部異常性が。

 同時に、今後、金融政策の修正や変更については段階を追って引締め傾向になってくるだろうというのも想像できました。

 問題はその内容ですよね。

 ハードランディングはさすがにしないと思いますが、日本経済のデフレ長期化は免れないことを想定すると、ちょっとしたメッセージでクラッシュする可能性も出てきました。

 年内は、株式市場は上昇トレンドを描いているため問題はありませんが、いったん天井をつけるタイミングでどうなるのか。

 TOPIXの買い支えはもちろん入ると思われますが、今日の日経平均株価指数の下げを見ると、その効果は今までと比べると大きくならないように思います。

 今後は、実勢相場に目が向かって行きますが、実体経済の回復が弱いながらのTOPIX構成銘柄へのマネー流入

 日本企業の復活なるか。

 株式市場全体への投資の旨味がこれまでと比べると相対的に低下する可能性を見越し、個別銘柄の物色が必要になってくるタイミングといえるでしょう。

 

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