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日経平均株価指数。3月上昇相場は続くのか。注目は「日銀の3月点検」と「アメリカの長期金利」。

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 日経平均株価指数はどうやら中規模調整局面が終わり、週明けはさらに上昇が継続する可能性が高まってきました。

 今週は、アメリカではFOMC、日本では金融政策決定会合が開かれますが、マーケットはもう織り込んできているような感じがします。

 アメリカではおそらく大規模金融緩和の継続と大型の財政出動が実施されるということでリスクオンの動きは継続すると思われます。

 ここ数日の動きとしては、NYダウがS&Pやナスダックに先んじて急伸しており、長期金利の上昇に対して株式市場に耐性が出てくると考えれば、とりあえず、アメリカの長期金利が2.0%に上昇していく過程で株価も上がっていくのではないでしょうか。

 

 それにつられて、日本の株式市場も戻り相場ということで上昇局面が目先続くことが考えられますが、日本は日本で日銀の金融政策決定会合で行われる「点検」に注目が集まっています。

 要は、これまで日銀が行ってきた金融緩和政策の効果をチェックし、今後の方針をどうするかについてマーケットが気にしているということです。

 大方の見方としては、大きな変更はないが、微修正が入るといったところです。

 私たちが理解しておく必要のあるポイントは、ETFの買入れ規模やタイミングなどの方針がどうなるかです。

 すごく簡単に説明すると、日銀は金融緩和政策を遂行する中で、マーケットからETFと呼ばれる上場投資信託を大量に購入することで市中にマネーを供給してきました。

 これについて以前から賛否両論分かれていましたが、どちらかというと批判的な意見の方が多く、また、株式市場などの資産市場の膨張が将来的に大きなリスクを招きかねないという認識もあり、このタイミングでしっかりと点検し、今後の方針を決めていくというのが今回の点検の狙いの1つになっています。

 今年の2月からETFの買入れ額が700億円から500億円に減額されていること、また、買入れのタイミングが、どうやら株価が大きく下がった場合に変更されている点(TOPIXの下落率▲1.0%超?)を見ると、すでに事実上、金融緩和政策の縮小が少しだけ実施されてはいますが、この点が今後どうなるかに注目が集まっています。

 普通に考えて現状維持のような気がしますが、ここら辺はすでに株価に織り込まれてきており、FOMCにしろ、金融政策決定会合にしろ、これを理由に目先、株式市場が大きく崩れる可能性は低いように思われます。

 論点などをもう少し詳しく知りたいという方は、一応、記事を貼っておきますね。

 確定拠出年金やつみたてNISAなどをされている投資初心者の方にとっては難解に思われるかもしれませんが、情報の重要度としてはかなり高いため、このタイミングでなるべく理解できるように努めてください。

jp.reuters.com

www.nli-research.co.jp

 

 さて、日経平均株価指数ですが、チャート分析をしておきます。

 最近、テクニカルな指標を多用して描写していますが、たぶん、なんのこっちゃと意味が分からないと思います。

 トレンド転換の精度を高めることを目的にしていますが、なんとなくイメージとしてつかんでみてください。

日経平均株価指数

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 やはり、原則、相場は短期の方がわかりやすいので、あくまでも長期的な視点では見ないようにしてくださいね。

 中長期の分析は別でしていきますので、通常は短期の分析としてご理解ください。

 ここでいう短期は2週間以内を中心に想定しています。

①今後、日経平均株価指数は3月末にかけて上昇していく

②上値の目処は、目先、最大で31,300円程度

③その間、何本かのレジスタンスライン:上値抵抗線(薄ピンクの横線)を越えていく必要がある

④天井を着けると、その後は再び調整(下落)する

⑤下値のメドは、とりあえず28,000円台

 とりあえず、①~④までを目先の動きと考えてみてください。

 ⑤については、④が確定しないと想定できないため、イメージです。

 このシナリオは、どちらかというと、ニュートラルな内容です。

 ポジティブシナリオはさらに値を上げる可能性があるものとして想定することはできますが、アメリカの10年物国債利回り長期金利)が上昇する可能性があることに加え、日銀の3月点検への織り込みが完了し、投資家の興味が遠のくと仮定して、このシナリオを通常シナリオ、つまり、ニュートラルなシナリオとしています。

 ただ、相場を難しくしているのが「NYダウとナスダックのズレ」です。

 NYダウが急伸しているのに対し、ナスダックは長期金利の上昇で上昇のスピードが急激に落ちています。

 アメリカの株式市場を牽引するのがナスダックからNYダウに変化しているため、どちらかというとナスダックの影響を受けやすくなっている日経平均株価指数としては、この戻り相場で急激に連騰を重ねて伸びていくとは少し考えにくいので注意しておく必要はあるでしょう。

 やはり、ポイントは、長期金利の上昇を睨んだアメリカの株式市場がどう動くかにありますが、昨年12月から続いている相場の乱高下はこれからも継続すると考えておきましょう。

 

 アメリカはインフレ、日本はデフレ。

 日米の基本的な違いはここですが、アメリカでは金融緩和政策が実体経済にも及んでいるのに対し、日本では期待通りに成果が出ているわけではなく、日銀が日本の大企業の新陳代謝を阻害しているといった指摘がされるようになっています。

 なんせ、日銀が日本企業の大株主になってしまっているため、優秀でない企業を単に生き長らえさせてしまっているという副作用が、日本が行っている大規模金融緩和政策の実体だったりもします。

 要は、お金を上手に活かせてないってことなんですが、これ、ひょっとして、日本の場合、長期的に見て、金融緩和政策という薬がないともうやっていけない経済になっているような気がします。

 これではいかんと日銀サイドはわかっていると思うんですけど、いつも思うんですが、この問題って結局政治なんですよね。

 政治サイドが財政政策を金融政策と連動させる力が弱いためデフレから脱却できず、大量の資金供給が空回りしているような気がします。

 結果、おそらく、資産市場は膨張し、実体経済は回復しないといった傾向が長く続くような気がするんですけど、資産市場はいずれバブルが弾けると想定すると、資産市場と実体経済の乖離が縮小するだけで、実体経済にもダメージが出るため、また同じことを繰り返す・・・。

 やっぱり、金融緩和政策という薬漬けから抜け出せないんだろうなぁと思います。

 そういえば、日銀の3月点検では、ESG投資についても言及される可能性があるため、今後はますますSDGsに取り組む企業が評価される時代になってくると思います。

 それが良いのかどうかは別として。

 どこに行くべきかは自分で決める必要がありますが、資産運用はいろいろなことが見えるので、面白いと言えば面白いですよね。

 

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