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ナスダックか、NYダウか。将来の成長期待から足元の実体経済の回復にマーケットの視線が移っている!

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 アメリカの株式市場のチャート。

 ナスダック、S&P500、NYダウの3つを見ていれば十分なんですが、ここ数日はナスダックの下げが一番激しく、また、下げからの戻りをNYダウが実現しています。

 この動き、面白いんですよね。

 株式市場がここ数日、比較的下げていたのは、いわずもがな、長期金利が上昇したからなんですが、直近ではアメリカの10年物国債利回りが少し下げ、落ち着きを取り戻しています。

 なので、一応、株価は値を戻し始めています。

 で、先ほどのチャートですが、もう一度見てみます。

〇米株式市場(黒:ナスダック、水色:S&P500、オレンジ:NYダウ)

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 NYダウが下げからの戻りを達成し、再び史上最高値を更新しました。

 でも、ナスダックは、まだ本当に戻り相場になってきたかどうかには疑問が残るといった展開です。

 この動き、ちょっと珍しい動きなんですが、今までならナスダックが大きく上がって、NYダウが追随するといった流れでした。

 それがここに来てNYダウが株式市場を牽引しています。

 なんで?

 金利を中心に考えると、

長期金利が高い⇒ダメージは「ナスダック>NYダウ」になる

からです。

 簡単にいうと、金利が上昇してきた結果、ナスダックに投資する旨味が以前と比べて低下しているからです。

 だから、ナスダックの戻りが鈍いんですが、逆にNYダウを見直す動きがこの現れでしょう。

 もう少し突っ込んだ話をすると、これまでナスダックと比べると買われる勢いが鈍かったNYダウなので、実体経済の回復に視点が移ってきたということです。

 アメリカの2月の雇用統計がものを言ってる形ですね。

 今日、こんな報道がありました。

www.bloomberg.co.jp

 個人的には、今後、おそらくこれを織り込んでの動きになろうかと思いますが、要は第2弾の財政出動を実行する可能性があるということです。

 以前、1.9兆ドルの追加の経済対策はすでに織り込まれているので、さらに株価が上昇するにはもう一段の何かが必要だろうという話をしました。

 このインフラ支出案が通るなら、次はここを目がけての株式市場になり、いよいよ実需株が本格的に拾われる機会が訪れると思います。

 この過程で長期金利は上昇する可能性はもちろんありますが、金利の上昇を上回る経済成長が実現できるとするならば、NYダウは、紆余曲折するとは思いますが、固い動きを示すような気がします。

長期金利上昇⇒NYダウ上昇?

 このような目ですよね。

 一方、ナスダックについては、株価の割高感を一段落させる必要があります。

 このため、

長期金利上昇⇒ナスダック下落?

が行ったり来たりで現れるように思います。

 ここで重要なのは、

実需株>成長株

です。

 遠い将来への期待よりも目の前の景気回復にマネーがシフトしてきたという点です。

 これをFRBがどう支えるかですが、基本的には金融緩和は維持しながら、市場にある程度任せる方針を打ち出すかもしれません。

 そうなると、長期金利は上昇しやすくなるでしょうが、実体経済がそれを吸収する可能性が高いとマーケットが判断すると、NYダウは上昇といったシナリオが描けます。

 

 ということで、ここまでの話の流れをベースに、いつも通りチャートを見ていきたいと思います。

〇ナスダック

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 MACDがフラット化してきているので、買いシグナルは点灯していますが、RSIは40.0台で50.0を上回っていないため、まだ強いとはいえません。

 この理由は長期金利が高いからですが、それでも一応、値が戻ってきているので、アメリカの10年物国債利回りを確認しておきましょう。

〇米10年物国債利回り

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 一時よりは下げていますが、現時点では下げ渋っている状況です。

 MACDMACDシグナルとクロスするかどうかといったところですが、これからデッドクロスが成立すると下降トレンド入りの可能性が高いといえます。

 RSIは高い水準にあるため、もう少し低下する余地はあるといえます。

 このような長期金利の動きを見て、ナスダックは値を戻したということですね。

 

 では、NYダウはどうでしょうか。

〇NYダウ

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 NYダウのMACDは昨日の上昇でゴールデンクロスを取り戻し、RSIも60.0を超えてきました。

 上昇トレンドが続く可能性が高いですが、昨日のローソク足ボリンジャーバンドの外側に位置しているため、RSIがもう少し上がっていくと、再び急落する可能性が見えます。

 この急落は、おそらく単なる利益確定の売りで、この間、ナスダックが上昇していくかもしれません。

 ですが、その過程で長期金利が再度上昇すると、逆転現象がまた起こると考えられます。

 やはり、大きく抜けるには、先ほどのインフラ支出が濃厚になってくる必要があるかもしれません。

 

 ということで、日経平均株価指数の動きも見ておきます。

日経平均株価指数

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 日経平均株価指数がやっとですが、MACDのフラット化が見えてきました。

 RSIはほぼ50.0です。

 微妙な感じですが、数日の短期トレードでは上昇傾向が見て取れますが、調整が終わったとは言い切れない状況です。

 これまでのシナリオでは、日経平均株価指数は中規模調整局面に入ったと判断していますが、このまま上昇した場合、波形取りが変化し、次の天井で再び急落局面が訪れるだろうと考えています。

 チャートを見ていると、ナスダックが跳ねない限り日経平均株価指数の戻りの強さは考えにくいので、明日以降、特に18日に開催される日銀の金融政策決定会合における「点検」待ちといったところでしょう。

 ただ、現時点でアメリカの10年物国債利回りが1.513%と落ち着いているため、ナスダックが値を上げると、今日のような軽い買いがまた入るような気はします。

 ついでに日経平均株価指数の週足も見ておきます。

日経平均株価指数(週足)

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 週足チャートでは、MACDは高く位置しており、しかも、デッドクロスするかどうかといったところです。

 RSIは70.0水準であるため、この2点を考慮すると、週足レベルでは下落トレンドに入るかどうかがポイントです。

 先ほどの日足チャートと絡めると、日経平均株価指数は目先上げるが、昨年末以降の上昇サイクルで考えると、1か月以内で再びトレンド転換といったところでしょうか。

 

 今回は、新たなニュースもあったので、これと長期金利がどのように株式市場に影響を与えるかを考えてみました。

 日経平均株価指数30,000円の攻防が再開するかどうか。

 この点も目先のポイントになるため、今後の動きには注視しておきましょう。

 

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