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弾切れを織り込み始めた株式市場。日経平均株価指数の大幅下落に中央銀行は静観の構え?

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 今日の日経平均株価指数。

 前日比1202.26円安の28966.01円で引けました。

 久々って感じですね、大きな下げ。4年8か月ぶりの下げ幅だそうです。

 

 原因は何かというと、

①昨晩のNYダウが559.85ドルと比較的大きく下げた

アメリカの10年物国債の利回りが一時1.61%をつけた

の2つが大きいといえるでしょう。

 個人的には昨晩のNYダウの下げが約600ドルだったので、日経平均株価指数は800円ぐらいの下げかなぁと思ってたんですが、約1200円ですもんね。

 400円ほど余分に下げた感じですが、今日の取引の途中でバイデン政権がシリアを空爆したという報道があり、これが余分に下げた理由かなぁとも思ってます。

 

 とはいえ、アメリカの10年物国債利回りが1.6%の水準になり、このことで株式市場が比較的大きく反応したことは今後のポイントになるでしょう。

アメリカ10年物国債利回り

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 チャート上では1.52%となっていますが、これは日足チャートで、おそらく一時的に1.6%をつけたというのは分足といったより短い足での話かと思います。

 1.5%水準に上値抵抗線が引かれているので、この水準はもともと節目ではあります。

 株式市場は単純にここに反応したということなんですが、むしろ急ピッチで上げてきていることへの警戒感がかなり強くなっている現れなんでしょう。

 実体経済が悪い時に金利が急上昇するのは良くないんですが、それでも金利自体はかなりの低水準であるため、本来、言うほど警戒する必要はなかったりします。

 でも、そのスピードが速すぎる。

 つまり、「このまま行ったら夏前で2.0%水準に達するじゃん!」、「下手したら年内で2.5%水準まで行っちゃうじゃん!」、で、「来年には3.0%に到達してしまうと、それこそFRBさん、やばいじゃん!」って発想のような気がします。

 FRBとしては、この舵取り、凄まじく難しいですよね。

 アメリカの場合、超大規模金融緩和政策と大型の財政出動をしているため、将来への景気回復期待も猛スピードで訪れています。

 そこにコロナワクチンの接種でしょ。

 これまで株式市場が先取りしてきたのはこれですが、金利が上がるスピードが速すぎるため、

金融緩和解除も早まる!?

という思惑がコンセンサスを得ようとしています。

 この意見は前から言われていることなんですが、例えば、金融緩和解除を2022年に前倒すかもといった思惑がそれです。

 個人的には、その理由で、今日の日経平均株価指数が下げたとはあまり思っていなくて、むしろこのことは織り込み済みで、昨晩のNYダウの下げが日経平均株価指数の大幅下落に火をつけたと推測しています。

 つまり、利益確定の売りが重なったってことですね。

 

 なので、当然といえば当然の反応なんですが、今日、はっきりしたことは次の点です。

株式市場は、アメリカの弾切れを織り込み始めた

 どういうことかというと、バイデン政権になって「1.9兆ドル規模の追加の経済対策が出る!」ということで、これまで株価が上昇してきました。

 でも、「その後はさらになんか出るの?」と言われれば、「どうなんだろうね」ということで材料がないんですよね。

 つまり、これまでマーケットから期待されていた資金拠出という打ち出の小槌からはもう出ないということを織り込んできているため、「そろそろこの辺で売っておこう」と利益確定の売りが膨らんだと考えています。

 財政出動への期待が難しくなってきたというのはマーケットにとって大きなことですが、超大規模な金融緩和政策がまだ残っています。

 FRBのパウエルさんは、「まだまだ金融緩和しまっせ」と強調してはいるので、金融緩和という弾は打ち続けるとは思います。

 ただ、打ち続けるとは言っても、ただでさえ株式市場がかなりの高値圏に位置しているわけですから、金融緩和政策をいつも通り続けてしまうと、また最高値を更新し、実体経済と大きく乖離してしまいます。

 日銀もそうですが、FRBもここを見ているわけで、つまるところ、資産市場である株式市場に対しては、自然な市場原理が働くことを期待して、今後、時々、静観の構えを見せるかもしれません。

 最近の動きでいうと、日銀がETFを大きく買い入れることをしてませんよね。

 市場原理にある程度任せておけば、勝手に過熱感がガス抜きされてくるため、これはこれで方法論としてはありだと思います。

 さらに大規模に金融緩和を実施しても、むやみに金利を上昇させるだけなので、むしろ、勝手に株式市場がそれなりに下げてくれた方が、自然と金利の上昇を抑えることができるため、今後は、株式市場は一方的な右肩上がりというのはやはり見込みにくいように思えます。

 

 ということで、いつも通り、日経平均株価指数のチャートを見ておきましょう。

日経平均株価指数

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 ちょっと見にくいと思いますが、今回は、どういう波形取りをしているかだけ確認してみてください。

 もし、日経平均株価指数がここ数日で28822.22円を割り込むと中規模調整に突入する可能性がほぼ固まります。

 今日現在では、終値が28966.01円なのであと150円ほど下げたら「中規模調整局面入り」と判断していいかもしれません。

 仮にこの場合、目指す下値水準は26800円~26400円のレンジと考えられますが、一気にはここまで行かないはずなので、1回当たり戻り相場が生まれ、その踊り場を経験し、下値を目指すといったところでしょうか。

 テクニカル的には、このような展開を描くことができますが、個人的には、そこまで下がる前にアメリカの10年物国債の利回りがいったん下げ基調に流れる可能性が高いので、日経平均株価指数は頃合いを見計らって再び上昇基調を描き出すだろうと考えています。

 一応、これがポジティブシナリオのメインシナリオとしていますが、下げ止まった後の上値目処は、今のところ32000円水準。

 このまま下がるのか、それとも下げ止まって再び上がるのか。

 すべてはアメリカの10年物国債りまわり(長期金利)にかかっています。

 

 それにしても、日本の株式市場なのに、まったくと言っていいほど日本のネタなく、アメリカのネタだけで株価が動いてしまうというこの現状。

 日経平均株価指数は、チャート的には23,000円ぐらいが妥当な水準なので、超えている分は単純にあまり根拠のない期待先行の動きと冷ややかな目で見ています。

 

 今日の出来事は実体経済に想定通りお金が回っていないことのしっぺ返し的な意味合いが強いですが、今後、いつか来るべくして来る本当の意味での暴落は、つまるところ、これなんでしょうね。

 難易度の高い金利相場になってきたので、注意していきましょう。

 

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