FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

国債で運用するか、株式で運用するか。マーケットは短期的にこれを意識しながら動く。

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 アメリカの10年物国債利回りが急上昇してきて話題に事欠かなくなっていますが、一時1.61%まで上がった長期金利も、今日時点では1.42%と少し落ち着いているようです。

 10年物国債の利回りを「長期金利」といいますが、10年という長期投資を債券で行った場合、利回りが何%付くか、つまり、金利が何%付くかという感じで理解してみてください。

 

 今日のテーマは、

国債で運用した方がいいか、株式で運用した方がいいかをどこで判断するか

です。

 結論をいうと、10年という長期投資の場合、金利、つまり、10年物国債の利回りが高くなると、株式よりも国債が顧みられるようになります。

 要は、わざわざリスクを取ってまで株式で運用するよりも、安全資産といっても良い国債で運用した方が良くない?って思う投資家が増えていくということです。

 

 でも、これ、「じゃあ、どれぐらいの金利水準が目安になるの?」って思いますよね。

 これがわからないから、株式の方が良いか、国債の方が良いかが今一つ見えてきません。

 そこで、株式の配当利回りに着目します。

〇S&P500の平均配当利回り

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 株式の配当は、株主である投資家に対して、例えば、1年間、わが社に投資してくれたことへのお礼金みないたもんですが、見方を変えると、投資家に対し支払われる1年間の利息ともいえます。

 なので、株式の配当利回りは「株式版の金利」と捉え、これと10年物国債の利回りを相対的に比較します。

 チャートでは記されていませんが、3月1日時点のS&P500の配当利回りは1.49%となっています。

 

 アメリカの10年物国債利回りが3月1時点で1.42%なので、結果、アメリカ10年物国債に投資するよりも、S&P500に投資した方が良いということになります。

 ただ、この数値、拮抗してますよね。

 先日、株式市場が急落したのは、10年物国債の利回りと配当利回りが逆転したことで、国債にマネーを振り分けた方が良いと判断した投資家が一気に増えたということになりますが、この拮抗具合いが、今後、どのようになるかで、株式市場にマネーが向かうか、国債市場にマネーが向かうが決まりやすくなります。

 

アメリカ10年物国債利回り

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 目先、ここでは数週間程度かと思いますが、10年物国債の利回りはしばらく落ち着くような気がします。

 なぜならば、国債を買い戻す動きが出てくる可能性が高まるからです。

 国債が買われると、利回り、つまり、金利は低下するため、大きく下げはしないものの、いったん落ち着くでしょう。

 ただ、金利が落ち着くと、それを見た株式投資家にとっては安心感が広がるため、株価は上昇していくことになります。

 ここからがポイントで、株価が再び上昇しだすと、裏を返せば、国債が売られることになるため、再び10年物国債の利回り、つまり、金利が上昇していきます。

 株価が上昇すると、同時に配当利回りが低下するため、どこかのタイミングで、また「配当利回り<10年物国債利回り」といった関係が訪れます。

 

〇S&P500の平均配当利回り

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 チャートを見てもらえるとわかりやすかもしれませんが、S&P500の配当利回りは、コロナショックの戻りに合わせ低下していることがわかります。

 これは、単純に時価総額が増加したからなんですが、例えば、株式の発行数が変わらないとした場合、時価総額が増えていくと、1株当たりの価値は下がりますよね。

 これに伴い、配当利回りも下がるという理屈です。

 

 配当利回りが低下していくと、相対的に10年物国債の利回りが着目されようになり、今のような金利水準は、配当利回りと比べると、どちらが良いかの均衡点にあると言っても良い状況ではあります。

 S&P500の動きを見ると、目先は上昇していく波形のように見えますが、10年物国債の利回りが上がると売られ、下がると買われといった動きがある程度続くように思われます。

 

 金利の上昇の意味をマーケットで捉えると、今回のようなことになりますが、金利が上がってきたことで、株式市場のトレンドというか、行動原理が変わってきているので、株価の上昇を期待するなら、実体経済が回復するさらなる材料、特にバイデン政権のさらなる追加の財政政策があることがひょっとしたら条件になるかもしれません。

 株価はまだ上昇する可能性はあると見ていますが、10年物国債の利回りを見ながら乱高下しやすいかもしれませんね。

 

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