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日本の金利って、ホント、上がらないですよね。でも、株価は上がってます。どういうこと??

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 何やら「金利が上がる? インフレになる?」なんて記事が散見されるようになっていますが、どういう理由でそうなるか、個人的にはいまいちよくわかりません。

 おそらく根拠としては、コロナのワクチン接種への期待とか、コロナが収束することを織り込んでの景気回復期待とか、そんな感じなんでしょうけど、長年続く日本経済の状況に照らし合わせると、「上がるわけないじゃん!」ってどうしても言いたくなります。

 金利が上がるかどうかについては、FP実務としては、住宅ローンの借入れを固定金利にするか、変動金利にするかという話の中で往々にしてあることですが、この答えを知りたければチャートを見れば済みます。

○10年物国債利回り(日本)

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 このチャートは、日本の10年物国債の利回りです。

 国債が買われる、つまり、国債価格が上がっていくと、逆に国債の利回りは、これが長期の金利を決める大本ですが、下がります。

 日本の金利はず~~~っと下がり続けています。

 これは単純に、以前からずっと景気の悪い状況が続いていることを意味していますが、アベノミクスで大規模な金融緩和が始まり、10年物国債の利回りは低下、その後、2016年にマイナス金利政策が始まり、10年物国債の利回りはついにマイナスの領域に達しました。

 その後は一時的にプラスに戻りましたが、2019年9月に再びマイナスに転じ、チャートを見ている限り、2020年3月のコロナショックでは、実をいうと、言うほど金利が下がっていないことがわかります。

 そして、さらなる大規模な金融緩和を実施した結果、金利はゼロ水準を回復しています。

 ということで、「一応、金利、上がったよね」ということはできるんですが、ほぼゼロって、マイナスがゼロになっただけじゃんって感じです。

 でも、これ、実をいうと、すごいことなんです。

 ほぼ横ばいでゼロ金利を維持していますよね。

 大きく上昇せず、マイナスにもならずに。

 しかも、コロナ禍にあって大規模な金融緩和政策を行っているにもかかわらず。

 これは、日銀が国債を買ってくれているからです。

 つまり、発行されている国債を日銀が状況を見ながら購入量を調整しているため、こんなふうに見事な横ばいになっているわけです。

 

 金利は上がるのかという答えは単純です。

日本の場合、デフレから脱却できなければ、金利はほぼ上がらない

 これが答えです。

 平たくいうと、金利が上がる前提条件は景気の回復ってことです。

 景気が回復しない限り、資金需要が回復しないため、金利は低い水準のまま維持されやすいってことですね。

 なのに、株価は上がっている。

 実体経済よりも資産市場の方が資金需要が旺盛だということです。

 私たちの身の周りの景況感って良くないですよね。

 つまり、モノを売ったり、モノを買ったりという需給が薄く、お金が回っていない状況です。

 将来もそうだろうなぁとみんな思ってます。

 実体経済がこんなんなので、実需への投資は必然的に細りますよね。

 ならば、資産市場でお金を回せばいい。

 だから、資産市場のひとつである株式市場でお金が使われているわけです。

 こんなことをやっていても日本経済全体は良くなるわけないんですが、この点では、金融緩和が効いているということはできます。

 足りないのは財政政策なんですが、ここが弱いため、実体経済がなかなか回復できないというわけです。

 だって、収入減ってるんですもん。

 需要が不足するのは至極当然なことで、これを国が支援するのが財政出動なんですが、これがずっと弱いため、金融緩和というエンジンの片方だけ回しても十分な効果は得にくいというのは当たり前のことです。

 

 最後にいつも通り、日経平均株価指数の動きを確認しておきますね。

日経平均株価指数

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 金利が上がっていないのに、株価は上がっている正体がこれです。

 つまり、実体経済の将来への期待がほぼないのに、企業業績の将来への期待が膨らみ続けています。

 要は、これが実体経済と株式市場が乖離しすぎているといわれる所以でもありますが、日経平均株価指数は、今日の時点でようやく奇麗な波形を描き出しました。

 結論をいうと、今の下落が止まると再び上がり、30,000円を目指す展開を考えています。

 そして、その後は調整局面が訪れるだろうと予測しています。

 シナリオはあいかわらずポジティブシナリオですが、マーケットとしてはやはり高値を意識した展開になっているようです。

 チャートの下にあるグラフはダイバージェンス・インディケーターと呼ばれるものですが、今日時点でもベアが点滅しているため、直近では今のところ売り優勢といったところです。

 傾斜角で見ると、天井をつけるタイミングは2月の22日の週になっていますが、25日にアメリカの10-12月期の実質GDP改定値や個人消費が発表され、また、前週分の新規失業保険申請件数がわかるので、ひょっとしたらこの前後でトレンドに動きがあるのかもしれませんね。

 バイデンさんが次期大統領に就任して約1カ月経過した時期ですし、ついでにコロナ第3波による景気の減速が目の前で織り込まれていくのかもしれません。

 今日は、まだNYダウについて確認してないので、いつものように日経平均株価指数のチャートとすり合わせる必要がありますが、そろそろNYダウも、また上げに転じるように思います。

 

 でも、どうなんでしょうね。

 バイデンさんの経済政策はそれなりに織り込まれてると思うんですが、どうでしょう。

 金融緩和の出口戦略が議論されるようになっていますが、やはりこれですかね。

 日本の場合は、そうそう金利は上がらないと思いますけど。

 

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