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会社員がテレワークをした場合の通信費と電気料金が非課税になるって、どういうこと?

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 1月8日に2度目の緊急事態宣言が発出され、再び、テレワークが推奨されるようになっています。

 というか、コロナ第1波の頃からテレワークしましょうってなってますけど、緊急事態宣言が解除され、日常が戻り、いつの間にかテレワークも下火になってきたところでの2回目の緊急事態宣言。

 またテレワークかぁと思っている会社員の方も多いかもしれませんが、国はテレワークを採用する企業に対し、社員・従業員が負担する通信費や電気代の一部を非課税にすることを検討しているようです。

 1月15日の日経電子版の記事ですが、

www.nikkei.com

この記事を読んで、どんな印象を持つでしょうか。

 

 ポイントは、まず、ここですね。

テレワークを採用している企業では、交通費の代わりに「在宅勤務手当」が支給されているところがある。

 会社員の方にとっては、これだけで今までの常識が吹っ飛ぶわけですが、「交通費の代わりに在宅勤務手当が支給される?」、「どっちが得なの?」なんて気になる方がいるかもしれません。

 当たり前ですが、交通費の方が金額は多くなるので、単純に交通費が減って、わずかな在宅勤務手当が支給されるってことでしょうね。

 このような会社にお勤めの場合は、おそらく、交通費は定額ではなく、実費精算になることが予想されるため、今後、この点は家計収入の減少として響いてくると思います。

 なので、記事にあるような「通信費が非課税になる!」というのは、大局的には喜ばしものでもないと思います。

 ちなみに、このような会社では、就業規則のうち賃金規定が変更されるわけですが、うちの会社の場合はどうなんだろうと思うなら、就業規則の改定後、念のために目を通した方がいいかもしれません。

 

 でも、どうなんでしょうね。

 在宅勤務手当がなく、テレワークをしている会社員の方もいると思うので、交通費実費請求、在宅勤務手当なしの場合、「なんでやねん!」って突っ込みは入れた方がいいような気はします。

 

 さて、企業にお勤めの方がテレワークをした場合、通信費が非課税になるといわれても、おそらくピンとこないかもしれません。

 なぜならば、テレワークから通信費非課税の話の間が端折られているからです。

 順を追って考えていきますね。

①企業は、テレワークをした社員・従業員に対して「在宅勤務手当」を支給する。

②在宅勤務手当は、基本給とは別の「手当」である。

③手当なので、社員・従業員にとっては「給与」収入になる。

④給与であるため「所得税の課税対象」となる。

⑤国としては、テレワークを推奨しているため、所得税制としてバックアップする必要があると考えた。

⑥この内容が、通信費の一部非課税措置である。

 ポイントは、「手当の一部を収入とみなさずに、所得税の計算から除外してくれる」という点です。

 確かにありがたいといえばありがたいんですが、なんせ、交通費が通勤した日数分の実費請求に変更されたら、単純に収入は減るため、ありがたいんだかどうかという疑問は残ります。

 通信費非課税の具体的な計算例として、日経新聞では次のように紹介しています。

 

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日本経済新聞電子版より

 

 非課税にしてくれる対象として、通信費に加え、電気代もあるようです。

 これを見ると、テレワークをした会社員はプチ個人事業主扱いになっていることがわかりますが、これも時代の流れなんでしょう。

 これからは、会社員といえども、特に所得税制について要所要所でポイントを押さえておく必要があるように思います。

 話を元に戻すと、通信費については、1か月の労働日数のうち、在宅勤務をした日数の割合を1か月にかかった通信費に掛け、その金額の半分を収入から控除してもらえる仕組みです。

 上の例では、労働日数30日に対して在宅勤務をした日数が15日なので1/2ですよね。

 1か月の通信費が4,000円となっているため、これに1/2を掛け、さらにその半分が非課税対象通信費となります。

 なので、非課税になる通信費は1,000円。

 簡易計算で所得税の還付額を算出すると、所得税率が10%の方なら、100円ぽっきり所得税が浮くという計算です。

 一方、電気料金はというと、これはご商売されている方と似たような考え方ですが、いわゆる「面積による按分」です。

 テレワークは自宅で仕事をするものなので、例えば、居住部分と仕事部分の面積を分け、仕事部分の面積割合で電気料金を案分するという考え方です。

 計算式によると、1か月の電気代に仕事部分の面積割合を掛け合わせ、さらに在宅日数割合を掛け、その金額の半分について非課税になるという仕組みです。

 

 通信費にしろ、電気料金にしろ、テレワークをする会社員としてはプチ個人事業主になるため、一部を経費として認めてあげますよという考え方が、今、検討されている通信費の非課税です。

 在宅勤務手当という給与収入から通信費や電気料金の一部が経費として差し引いてもらえるわけですから、家計にとっては助かるといえば助かります。

 ただ、所得税の還付という視点で捉えると、金額があまりにも少ないため、本当に良いのかどうかには疑問が残ります。

 テレワークをしてもらいたいという目的は、直接的には新型コロナウィルス感染症対策です。

 確かにお金はある意味インセンティブにはなるかもしれませんが、だったら他の効用をもう少しアピールしてあげた方がいいと思うんですけどね。

 長短あると思いますが、この程度の税制なら起爆剤にはならないでしょうね。

 

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