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iDeCoもつみたてNISAもやらない理由。資産運用は普通にやるのが一番いい。

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 iDeCo(個人型確定拠出年金制度)とつみたてNISA(少額投資非課税制度)。

 やるなら、どちらがいいのか。

 そんな質問をいただきましたが、ひょっとしたら、これらに興味を持ち、どっちがいいのかなぁと迷っている方は多いのかもしれません。

 私としては、ファイナンシャル・プランナー事務所を運営していて言うのも何なんですが、両方ともやりませんし、おそらく、これからもやらないでしょう。

 iDeCoやつみたてNISAに興味を持つ方は、傾向として、非課税に魅力を感じ、資産運用をするならどうすべきかを考えてしまっています。

 非課税というのは、iDeCo(個人型確定拠出年金)の場合、

掛金:小規模企業共済等掛金控除として所得控除

運用益:非課税

受取年金:一時金の場合、退職所得控除、年金の場合、公的年金等控除

です。

 一方、つみたてNISA(少額投資非課税制度)においては、

年間40万円までの投資額にかかる譲渡益(売却益)や分配金

が非課税になります。

 前者では公的年金にかかる所得税制の仕組みが適用され、後者ではいわゆる証券税制の変形版といえるでしょう。

 普通、資産運用を行う場合、例えば、投資信託を購入し、基準価額が上がったところで売却すると、その売却益に対して20.315%の所得税がかけられます。

 20%の所得税率って高いですよね。

 これを一定の条件の下、なしにしてあげるというのがiDeCoやつみたてNISAの特徴です。

 

 こんな話を聞くと、資産運用をするならiDeCoやつみたてNISAでやる方がいいじゃんって思います。

 でも、自分としてはやらない。

 なぜでしょうか。

 1つ目の理由は、

コストに目がいっている

点です。

 資産運用は高い利益を求めるものです。

 なので、当たり前のことですが、どうすれば高い利益が得られるかについて失敗を繰り返しながら経験し、学んでいくことになります。

 このため、初めから非課税≒所得税がかからないということに目がいっていると、コスト重視の資産運用にしかなりません。

 おそらく、世界情勢や世界経済、国内経済、マーケットの動向、チャートの推移など、資産運用に必要なことに目を向けることは少なくなるでしょう。

 iDeCoやつみたてNISAを活用する場合、普通に考えれば、税金が少なくなる分、リスクを取りやすくなるため、より積極的に運用しようと心掛けるはずなんですが、そこまではしないのではないでしょうか。

 ただ単に、税金が得だから、コストが少ないから、結果として運用効率が高まり、ここに魅力を感じて興味を持ってしまうんだと思います。

コストに目がいっている以上、まともな運用はできない 

 家計で考えてみましょう。

 家計を豊かにするには、「収入を増やす」、「支出を減らす」、「資産を増やす」、「負債を減らす」の4つを組み合わせ実行すると、おのずとお金が貯まっていきます。

 単純に、お金を増やしたいなら収入を増やす努力をすればいいんですが、それをせず支出をひたすら削る努力をしているのが「コストに目がいっている」という意味です。

 

 資産運用で利益を得たいなら、本当は、どうやったら利益が得られるかを自分なりに考え、投資をしていくのが筋です。

 それが、世界情勢、世界経済、国内経済、マーケット、チャートなどといった様々な視点からの分析と、運用商品をどれにするかといった銘柄の選定です。

 この過程で、投資スパン(短期投資・中期投資・長期投資など)をどうするか、分散投資によるリスクヘッジをどのように行うか、買付方法などを考え、ポートフォリオを組んでいきます。

 これが資産運用なので、税金が得だからでいくと、結局、わけがわからなく運用しているだけで終わっていく可能性が高いと思います。

 資産運用の問題なのに、税制の問題を解いているわけですから、答えが明後日の方にいくのは必定です。

 だから、iDeCoも、つみたてNISAもやらないんです。

 

 ついでにコスト面で補足しておくと、iDeCoやつみたてNISAでは、一定の投資信託で運用することができます。

 その代表的なものはインデックスファンドと呼ばれる投資信託ですが、ノーロードファンドといって販売手数料が0円のものを選びましょう、ファンド会社に支払う信託報酬が少ないものを選びましょうといわれます。

 要は、管理コストを少なくしましょうということなんですが、本当はそこが重要ではなくて、基本的に良い投資信託(高い利益をもたらすことができる投資信託)はだいたいコストも高いものです。

 そりゃ、そうですよね、手が込んでいるので。

いいものをどう乗りこなすか

 これが資産運用の銘柄選びです。

 コストに引っ張られて資産運用をしてしまうと、正攻法で資産運用をすることが難しくなるため、自分はiDeCoもつみたてNISAもやりません。

 

 資産運用はコストよりも利益重視で考えるのが王道です。

 その時、どのように投資していくかという問題に直面しますが、世間では「長期」・「積立」・「分散」投資が◎とされています。

 でも、自分の場合、「短期」・「スポット」・「1点」買いしかしません。

 これはなぜかというと、マーケットの局面に合わせて、臨機応変に柔軟に対応していく必要があるからです。

 要は、資産運用はサーフィンのようなものということですが、波を読み、上手に乗っていくことができなければ溺れますということです。

 1点買いというのは良くないですが、リーマンショック後の大規模金融緩和政策の下では分散投資の効果はあまりなく、1点買いで決め打ちしてもそれほど問題はありません。

 あとは、投資期間を短めに設定し、買うタイミング、売るタイミングを計りながら売買のポジションを取っていくだけです。

 「分散」投資自体はそれでいいんですが、「長期」投資・「積立」投資を行う場合、機動的な運用をすることが難しくなります。

 iDeCoやつみたてNISAは運用の目的が老後のお金なので、投資期間は長期ですよね。

 例えば20年後の未来に対して、今、投資しているわけですので、これをひたすら「積立」でいくわけですから、そんな先のことを今から決め打ちできるわけありません。

 iDeCoやつみたてNISAはどうしてもそのような縛りが生じてしまうため、非課税という魔力にも魅せられ、しっかりと考えてやらなければ身動きが取れなくなってしまうわけです。

 だから、私はiDeCoもつみたてNISAもやりません。

 

 ただ、iDeCoやつみたてNISAを活用し投資信託で運用する場合、唯一、やってもいいという言葉を投げかけるならば、

資産運用について失敗し、そこから経験し、学ぶなら

という条件が付きます。

 理屈がわからず、失敗を恐れ、学ぶ気もないなら、そもそもでやらない方がいいと思います。

 こう言われると上から目線だと感じるかもしれませんが、最近思うんです。

 世の中の風潮が、iDeCoをしましょう、つみたてNISAをしましょう、資産運用をしましょう、と1つの方向に行きすぎている。

 赤信号をみんなで渡るのが怖くないのが日本人の集団心理であるため、ここに乗るのは嫌だというのが今回の話の趣旨でもあります。

 

 よく考える。

 マネーリテラシーを伸ばしてくれるのが資産運用なんです。

 

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