バブルと恐慌を繰り返すのがマーケットの歴史。つみたてNISAを始めるなら小手先で考えない方がいい。
今日もそうだし、先週も、そしてその前の月も、新型コロナウィルス感染症に伴う緊急事態宣言が解除されてしばらく経った9月以降、確定拠出年金やつみたてNISAなどで老後のお金をいかに貯めればいいかといったご相談がトントントンと重なるようになりました。
なぜなのか。
ずっとこの理由について考えていますが、なかなかその答えが見つかりません。
おそらく、コロナ禍にあって将来に対する生活不安が増幅してきているからなんだと思いますが、それでもなぜ、つみたてNISAなのか・・・。
これ、本当にわからないんですけど、つみたてNISAで認められている金融商品は投資信託です。
投資信託にはいくつかのタイプがあります。株式型投資信託、債券型投資信託、バランス型投資信託、コモディティー型投資信託、不動産投資信託(REIT)などです。
それぞれについて、国内に目を向けているものと海外に目を向けているものがあります。
投資信託は投資家から資金を集め、その資金で株式や債券など様々な金融商品を買い付け、運用される、いわば「パッケージ化された金融商品」です。
これらの投資信託には基準価額があり、これに基づいて日々売買されています。
株式市場では株価に基づいて株式が売買されていますが、投資信託の場合、それらが取引されているのが投資信託市場です。
このような市場、つまり、マーケットには世界中から巨額のマネーが集まります。
そして、巨額なマネーがひとつの大きなうねりとなり、これまでマーケットはその歴史を紡いできました。
新・映像の世紀 第2集 〜超大国アメリカの出現・グレートファミリー新たな支配者〜
マーケットの歴史はそのまま激動の世界史を表していますが、資産運用というのは、マーケットの向こう側で、世界の今がどうなっているか、そして、世界のこれからがどうなっていくかを見るために行うものと個人的には考えています。
資産運用が好きなのは単純にこれが理由です。
資産運用は、お金を増やしたいという目的で行うと単なる小手先の道具にしかなりません。
しかし、歴史を知り、哲学を知り、人々の行動の変化を知り、大国の興亡を知り、経済学を学んでいくと、マーケットががどのようにバブルと恐慌を繰り返してきたかに興味を持つようになります。
このチャートはニューヨークダウです。
○NYダウ
1928年10月からの日足チャートです。
先ほどの動画「
その前は第1次世界大戦の好景気で沸いていたアメリカですが、このチャートを見る限り、株式市場の高騰も暴落も、今となっては拡大しなければわからないほどの小さな波として描かれています。
ここ近年、確定拠出年金や各種NISA(少額投資非課税制度)を始める人が増え、資産運用への関心が高まっているように思います。
「経済は栄枯盛衰を繰り返しながら発展していくから、とりあえず株式を買い続けておけばいいわけでしょ?」
こんな話を耳にします。
確かにNYダウを見ればそうとも言えるでしょう。
でも、資産運用はそれが楽しいわけではないんです。
栄枯盛衰を繰り返しながら、人々が何を考え、どのように生きるかを見ることが最も興味深く、面白いんです。
つみたてNISAに興味を持つのも時代の必然的な流れかもしれません。
国が法律を整備し推奨しているぐらいなので。
でも、なぜ、国がわざわざそれを推奨しているのか。
アメリカとの関係は?
資本主義の変化に対応できているの?
これからマネーのうねりはどこに生じるの?
つみたてNISAは投資信託で運用していくことになります。
今までのご相談事例では、多くの方が株式型投資信託と債券型投資信託とに資金を分けて投資しているケースが目立つようになっています。
リーマンショック後、特に大規模金融緩和政策が始まり、株式型投資信託と債券型投資信託では、分散投資によるリスクヘッジ効果がかなり薄まっています。
なぜならば、株式型投資信託も、債券型投資信託も、基準価額が似たような動きになっているからです。
マネーはこれからどこに向かっていくのか・・・。
大規模金融緩和政策の下、マネーは次の狩場を求めてSDGsに食指を向けるようになりました。
地球環境に配慮しましょう、人々の人権にもっと目を向けましょう、人間が人間の尊厳を保ちながら働くことができる社会を実現しましょう・・・。
リーマンショックの後に整備された次の資本主義の姿は、形を変えたグローバル経済です。
そして、これが日本人にどのような影響を及ぼすのか。
アメリカの大統領選挙の結果がもうすぐわかりますが、その後の世界はどうなるのか。
つみたてNISAをきっかけにして資産運用や投資に興味を持つのはいいと思います。
ただ、最近思うのは、つみたてNISAが異様なまでに喧伝され、急激に関心を示す人が増えている点です。
これが示す私たちの未来がいったいどのようなものになるかはわかりませんが、マーケットでは、みんなが1つの方に向かう時、もうそのトレンドは終わっています。
資産運用は、時として騙し合いの歴史でもあります。
だから、騙されて失敗して学んでいくものなんですが、なんか危うい風潮ですよね。