FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

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日経平均株価指数、30,000円大台シナリオ。その間、いったん1-3月期のGDP減速のインパクトで調整か。

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 2回目の緊急事態宣言が出されて、日本経済に対するダメージがどうなるかについて試算されるようになってきました。

 とりあえず、1都3県の飲食業を中心に制限がかかっているため、1回目に比べると経済の減速はかなり限定的との見方が大勢を占めています。

 第一生命経済研究所によると、2021年1-3月期の個人消費は前期比▲1.8%、実質GDP成長率は前期比年率▲3.7%と、回復してきた個人消費GDPが再びマイナスになるだろうと予測しています。

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 ※第一生命研究所「実質GDPの見通し(四半期別推移)

 上の青字部分をクリックするとレポートが見られますので、ご参考ください。

 

 2回目の緊急事態宣言発出に伴うGDPについては、現状のまま地域や業種を拡大せずにいくなら先ほどの予測値で推移する、一方、拡大するならさらに悪化すると考えてしかるべきでしょう。

 マーケットとしては、まだ織り込んではいない雰囲気なので、シンクタンク各社のGDP予測が一通り出揃ってくると、ある程度織り込まれてくると思います。

 ただ、第3波の収束状況が不透明であるため、GDPの織り込みはどちらかというと流動的になるかもしれません。

 第3波によりロックダウンは日本に限らず欧米でも広がっているため、おそらく、GDPの落ち込みは世界的に予測されることのように思います。

 これにワクチン接種の広がりによる景気回復期待が乗っかってくることになります。

 なので、コロナ関連の経済ネタでは、マーケットは大きく方向感を変えない可能性が高いかもしれません。

 つまるところ、アメリカ次第の動きなので、実体経済面で見るなら「雇用状況」がどうなっているかは依然注目されるでしょう。

 2020年12月のアメリカの雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比14万人減少と8カ月ぶりの落ち込みだったため、コロナ禍からの景気回復が一時的に失速する可能性があるとは言われています。

jp.reuters.com

 これも含めて、GDPと併せ情報は拾っていってくださいね。

 

 実体経済は結局、過去データであるため、こんなもんとして、個人的には、金利の急上昇の影響に注目しています。

 現状では、アメリカの10年物国債の利回りが1.114%、これを受けてドル指数も急上昇し、アメリカの長期金利高がドル高をもたらす揺り戻しを演出しています。

 これが日本市場に及ぼす影響は円安ですが、これは、単純にアメリカの方が金利が高いので日本に資金を投ずる魅力がない、だから日本円が売られやすくなっているという理屈です。

 バイデン政権でイエレンさんが財務長官になったら強いドル政策を実施する可能性が高いというのも現れているのかもしれません。

 アメリカ経済の回復局面での米金利高・ドル高路線は通常パターンなので、これが底流となってマーケットが動くなら強気といえます。

 ただ、チャートの波形としては、依然として金利下落・ドル安基調が見て取れるため、金利高・ドル高が定着するにはもう少し時間がかかるかもしれません。

 

 ここで今のうちに強いドル政策について考えておきます。

 アメリカが基軸通貨であるドルを強くする政策に転じるということはどういうことなのか。

アメリカへの投資資金が増える⇒ドル高

②ドル高になるため、輸出は不利になる

③結果として、貿易赤字財政赤字双子の赤字が拡大する

 お決まりのパターンです。

 貿易赤字財政赤字が増えるため、最終的にはアメリカの経済力が低下していくことになる。

 これが良くないからトランプ政権ではドル安政策を行っていたわけですが、これが逆の流れになるため、今度は、資産市場において投機マネーが跋扈しやすい形になるでしょう。

 この過程で金融緩和政策を徐々に締めていくことになるでしょうね。

 資産市場の過熱感が異様に高まってくるので。

 アメリカに集まってくるドルを活かして実体経済を支えていけるならいいですが、時すでに遅しでしょう。

 金融膨張が起こって、クラッシュ。

 リーマンショック、コロナショック、次に来るのは、アメリカの金利が2.0%を超えてからの金融ショック再びといったところでしょうか。

 そう考えると、金融緩和政策の出口に向けた舵取りというか、タイミング次第でショックの度合いが変わってくるといったことなんでしょう。

 とりあえず、アメリカの場合、資産市場がけん引し、実体経済を回復軌道に乗せる方向で進むと思いますが、意外と早いかもしれませんね、金融当局の資産バブルへの警戒が。

 ということで、アメリカの金融政策については注視していくようにしましょう。

 

 さて、日経平均株価指数とNYダウのチャートを見ておきます。

日経平均株価指数

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 今回は少し、趣向を変えています。

 チャートの下にあるグラフは「ダイバージェンス・インディケーター」というものですが、要は、マーケットのブル(強気)・ベア(弱気)の程度を表すものです。

 30を下回るとブル(強気)になりやすい、つまり、買い局面、一方、70を上回るとベア(弱気)になりやすい、つまり、売り局面です。

 今は高値圏にあるので、ベア(弱気)、つまり、売りシグナルが点灯しています。ここで調整が入ると、買いシグナルとしてのブル(強気)が点灯するため、プレイヤーはいったんの調整を願っていることがわかります。

 

 シナリオについは、あいかわらずポジティブシナリオです。

 当面、日経平均株価指数は30,000円の大台が次の節目とされていますが、ここを天井とした場合、中規模調整が入りやすくなるだろうという予測です。

 30,000円の大台に乗る前に第3波による1-3月期のGDPの一時的な落ち込みがインパクトのあるデータとして受け止められる可能性を見越すとプチ調整が入ると思いますが、ワクチン接種が広がるため回復していくでしょう。

 ただ、日経平均株価指数30,000円の大台は心理的な節目であるため、30,000円前後や31,000円に向けての攻防戦は激しくなると思います。

 これに、アメリカのバイデン政権の政策動向と菅政権の持続性(政治リスク)を加味すると、年後半戦は、コロナショック後の上昇に対する戻りを意識した展開になるかもしれません。

 正直、見通しとしては難しいですね。

 目先はまだ上げ基調で攻めてもいい気はしますが、米政権交代後の金融行政とコロナ第3波の行方、米金利上昇にドル高を重ね合わせると、1年目のバイデン政権は波乱を経過する必要があるように映ります。

 これを乗り越えてからの資産市場の異様な過熱感。

 実をいうと、中規模調整後は、さらなる上昇基調が起こるというシナリオを想定しますが、2024年ぐらいを目処に続くような気がします。

 ちなみに、日経平均株価指数は、リーマンショック後、下値をつける周期が約3年半となっています。

 チャートの縦の点線がそれですが、予測している調整波動の着地点はまだ見えてはいません。

 仮に3年半の周期性を考慮した場合、2020年3月から数えて3年半は2023年9月、つまり、2023年夏以降、2024年にかけて下値をつける何らかのファンダメンタルズの動きがあるかもしれません。

 これがアメリカの金融政策の変更なのか、金融ショックなのかは未定です。

 

 NYダウについても更新しておきます。

○NIYダウ

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 日経平均株価指数の動きは、NYダウの当面の上昇と合わさるようにシナリオを描いていますが、NYダウはこのシナリオ以上に上昇していく可能性も見ています。

 一応、従来どおりポジティブシナリオは継続ですが、当面の上値目標は黒色の星印地点です。

 エリオット波動理論におけるフィボナッチ級数の値とも近いので、ここをとりあえずの目処としています。

 その後、いったん調整。

 ただし、トレンドとしては強い可能性があるため、調整は行っても半値戻し。

 このシナリオでは半値まで下がらずに手前で下値を打つという予測です。

 

 これについてもわからないですね。

 実をいうと、昨年の師走以来、ずっとシナリオを模索しています。

 シナリオの不透明性を増幅させている要因は、コロナではなく、バイデン政権後の金融市場動向です。

 ここがわかりにくいときは、その外枠にある世界情勢の動向に目を移す必要がありますが、中国の動きや中国とアメリカの関係性が見えにくいため、かなり苦慮しています。

 また、バイデン後のロシアの動向も情報として入ってこないため、中国・アメリカ・ロシアの動きがもう少し見えてこないとマネーの流れを追いづらいというのが正直なところです。

 ということで、よくわからないときは、ニュースとしてはひたすら金融当局の動きをチェックすべしということで、今回の記事の結論とします。

 

 そういえば、「ワクチンの完成で相場は反転する」と言及しているアナリストの記事を読みました。

 確かに、これ、しっくりくるんですよね。

 どういう意味かというと、ワクチンの完成が投資家心理を一段落させるということです。

 一区切りってことですね。

 本当にそうなるかどうかはわかりませんが、個人的にはこういった些細な理由が投資家心理に効くというのが往々にしてあるのはわかるので、そうだよなぁと思っているのも本音です。

 がんばっていきましょう。

 

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