FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

株式市場が暇すぎるので、来年に向けて、今のうちに金利と為替の傾向を探っておきます。

 チャート、見てますか?

 日経平均株価指数、上げんのか、下げんのか、どっちでも良くなってきた今日この頃ですが、本音をいうと、早く下げてくれよとひたすら待っています。

 でも、波形的には上がりたい気持ちが伝わってきますが、どうなんでしょうね、また揉み合っているというか、上げ材料待ちというか、様子見する必要ある?と思いながら相場を眺めています。

 なんで揉み合っているかというと、おおよそ理由は2つです。

ひとつは、アメリカの追加経済対策。

もうひとつは、コロナ第3波による景気悪化懸念。

 どっちも前からわかってんじゃんと思ってる方は多いかもしれませんが、動きを硬直化させている理由は価格が高すぎるからです。

 ここ数日の動きは、分足チャートや時間足チャートを見ればわかりやすいんですが、一言でいうと「ちょっと上がると売る、ちょっと下がると買う」の連続です。

 つまり、利食いと買戻しを細かくやっているプレイヤーが多いわけですが、こういう揉み合い局面ってあんまり見どころがないので、分析に時間を費やすには良い機会といえます。

 

 ということで、大分時間を空けていますが、いつも通り日経平均株価指数のチャートを見ていきましょう。

日経平均株価指数

 

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 見えますかね、最近の波形。

 ざっくりいうと横に移動してるだけです。

 このため、当初予測していた日柄が後ズレしていますが、

①ここから上がるのか

②それとも、調整が入るのか

といったところです。

 正直、どっちでもいいんですけど、マーケットの合意形成をひたすら待っている状況なので、基本的なシナリオは変わらず、上げるなら赤色の上値抵抗線が当面の上限、下げるなら25,500円辺りを目指すって感じですかね。

 すごい適当に書いてますけど、NYダウも揉み合っているため、追加の経済対策が合意される以外でインパクトのある上げ材料が欲しいというのがマーケットの本音のような気がします。

 じゃなければ、しびれを切らしていったん売っとこうという売り勢が優勢になるかもしれません。

 なので、ある程度読めるので、どっちでもいいというのが個人的な感想です。

 

 むしろ、気をつけるべきはドル・円ですよね。

〇ドル・円相場

 コロナショック後のドル・円相場はチャート的には芸術的な波形になっていますが、日米の金融政策と財政政策の違いが顕著に為替相場に表れています。

 以前、ドル・円はどちらかというと円高・ドル安になるでしょうねといった内容の記事を書いたと思いますが、その根拠が日米の経済政策の違いです。

 つまり、市中に流す資金供給量の差ですが、アメリカの方が多かったんですね。

 アメリカと日本とでは経済規模がそもそも違うため、アメリカの方が多くなるのは当たり前なんですが、経済規模に対する相対的な資金供給量でいえば、アメリカの方が日本よりも多めにお金を流し込んでいるため、この違いが為替に表れています。

 で、為替が円高に振れると、日経平均株価指数はそもそも上げにくいわけですが、これは実際の貿易云々というよりも、そのような連想を呼びやすいというだけで、ここ数日の日経平均株価指数の上値が限定されているような気がします。

 そりゃそうですよね、コロナで貿易量減ってるわけですから。

 今の為替に影響を与えているのは単なる金融取引です。

 

 為替については、コロナ後は特に、日米の比較をするだけでは実をいうと片手落ちです。

 他の通貨比較もしておく必要がありますが、少し面倒なので、簡単にドルが相対的にどうなっているかを知るドル指数というチャートを見ておきます。

〇ドル指数

 わかりやすっ!

 チャートの見方は、上に行けばドル高、下に行けばドル安ですが、他の通貨に対するドルの値動きと思ってください。

 コロナショック後の戻り相場で、ドルは他の通貨と比べ割安になる状況が続いています。

 先ほどのドル・円相場でいうと円高・ドル高になっているのはこういうことですね。

 今は見ませんが、これ、ユーロに対しても同じで、ユーロ高・ドル安状況が続いています。

 じゃあ、なんで?っていうと、先ほどお伝えした経済対策による資金供給量の違いです。

 先日、アメリカの中央銀行であるFRBFOMC、米連邦公開市場委員会で、「完全雇用を達成するまでは金融緩和を継続する」と発表しました。

www.nikkei.com

 マーケットにとっては好材料なんですが、これについてもプレイヤーたちは「わかってます」と織り込み済みなので、ほとんど反応してないですよね。

 サプライズにはなっていません。

 むしろ相場にとっては追い風であるため、安定材料を再確認しただけって感じです。

 今後、ドル指数については、どちらかというとまだドル安傾向が続くと思われますが、大きくトレンドが転換するとき、マネーの逆流が起こる可能性が高いので、そこら辺のタイミングが株式市場にとってはいったん調整ってことなのかもしれませんね。

 

 ここでドル安の意味について考えておきます。

 先ほどお伝えした資金供給量が他の通貨と比べハンパないってことですが、これは米ドルがジャブジャブに溢れかえっているためにドルの価値が下がってドル安になっているという基本的な考え方ですよね。

 なので、ドルはいらないといった投げ売り状態って意味ではないんです。

 むしろ前向きな現象で、アメリカは力強く景気を回復させようとしているというメッセージをマーケットに伝えています。

 だから、株価が上昇するんですが、この流れで行くと、逆にドル高になる場合、米ドルへの緊急避難が行われるということを意味しています。

 いわば、ドルへの資金回帰ってやつです。

 マネーの流れの逆転現象が起こる場合は、このようないわゆるレパトリエーション(レパトリ)が真っ先に現象として現れますが、このような状況に陥ると、金利は低下し、株価は売られ、仮に猛スピードで調整が入る場合は金すら売られる状況にもなりかねません。

 コロナショックのときがそうであったように。

 でも、まぁ、今のマーケットではそこまでの最悪の状況は想定されていないため、起こったとしても、中規模調整程度と楽観視しているプレイヤーが多いのではないでしょうか。

 チャート的にもそこまでは下がるとは考えにくいのが現状です。

 

 もうひとつ、一応、下げ要因を見ておきましょう。アメリカの金利です。

アメリカ10年物国債利回り

 資産運用の世界では、金利といえば10年物国債の利回りです。

 私たちの日常でよく目にする預金金利とか住宅ローンの金利のもとになっているのが国債の利回りです。

 なので、これを見ることが重要なんですが、アメリカの10年物国債の利回りって、実をいうと、ずっと下がり続けているんです。

 コロナのもっと前から。

 ただ、コロナのせいで余計に下がってはいるんですが、今年の8月ぐらいから上昇に転じてますよね。

 これはどういうことなのかというと、アメリカがコロナ退治を目的に本格的にいっぱいお金を準備するようになったからです。

 来年に向けての景気回復期待が高まり、国債が売られ、金利が上昇したという寸法です。

 当たり前ですよね。理に適った動きをしています。

 ということで、株価は上昇し、国債は売られ、金利は上昇し、ドルが売られるといった一連の動きが続いています。

 とここで、なんでドルが売られるの?、株式市場にドルが向かうわけだから買われてるってことなんじゃないの?って思うかもしれませんが、基軸通貨であるドルを売って、ドル建以外の他の株式市場や資産市場にマネーが向かっているためです。

 ここら辺、わかりにくいですよね。

 ドル指数において、ドル全面安っていうのはドル以外の通貨建てのものが買われているというふうに理解するとわかりやすいかもしれませんね。

 要は、他の資産に対する換金買いがめっちゃ起こっているってことです。

 資産運用は、

ドルマネーの総量をいろいろなものと比較していくゲーム

です。

 なので、本質的にはファンダメンタルズで考える場合、金融政策と金利、為替を押さえておけば、案外事足りたりします。

 私たちは、一見、やれ株式だ、やれ投資信託だと、そっちの方に目が行きがちですが、その手前に見るべきものがあって、それが金利と為替なんですね。

 そして、この2つを決定づけるのが金融政策というわけです。

 

 今回は、株式市場が膠着状態にあるので、金利と為替の現状も併せて見てみました。

 ということで、ドル指数においてドル高になる理由があるとしたら何か。

 ポジティブな要因もあれば、ネガティブな要因もあるかと思います。

 来年は、ここら辺の記事が比較的多く出てくるんじゃないですかね。

 

 年内は、おそらくギリギリまで仕事してると思います。

 なので、もう1、2回はブログをアップするかと思います。

 資産運用以外でも情報を共有すべき事柄がいくつかあるんですが、それは来年ですかね。

 師走で忙しいと思いますので、一休みしているときにでもさらっと目を通していただけると幸いです。

 では、また。

 

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