日経平均株価指数は分水嶺。上昇相場は続くのか、それとも2番底をつけにいくのか。
日経平均株価指数は、このまま上昇に転じるのか。
アメリカが無制限の金融緩和に踏み切り、日本も同様に無制限の金融緩和を決めました。
これで金融市場においては、リーマンショックの後の大規模金融緩和を超える資金供給が整い、マーケットとしては一安心かもしれません。
ただ、財政出動の点において日米で大きく差がついているため、日米を比較すると、日本株についてはどうしても積極的に買い進みにくいというのが現状です。
今のところ日経平均株価指数はとりあえずの底値をつけ上昇基調に転じてはいますが、これが本物なのかどうか、今回はこれをテーマに探っていきたいと思います。
〇日経平均株価指数 チャート分析-シナリオ①
日経平均株価指数については、依然としてシナリオ①を継続しています。
この特徴は、
◦2018年10月2日でアベノミクス相場は終わりを迎えた
◦その後は調整局面(下降局面)の中にある
◦コロナショックも、その調整局面の中にある
◦現在、調整局面が終わったか、まだ続くかで見方が分かれる
といったところです。
シナリオ①は、どちらかというとネガティブシナリオです。
現在進行中の株価上昇は一時的なもので、チャート的には「騙し」という一時的な戻り相場であると仮定し、一定の水準まで値を戻すと、再び、急落するだろうと見ています。
上のチャートでは、細かい波形が見にくいので、2018年10月2日以降のチャートで拡大してみました。
〇日経平均株価指数 チャート分析-シナリオ①(2018年10月2日~)
直近の値動きが見やすくなったと思いますが、コロナショック後の動きを見ると、2020年3月19日の終値16552.63円でいったん底をつけ、その後、上昇基調に転じていることがわかります。
この波が、上昇相場として本物かどうかですが、おそらく偽物であろうというのがシナリオ①の基本的な考え方です。
仮に、現在の戻り相場が一時的なものである場合、チャート理論上では、大方、波形取りには2つのパターンがあります。
①円弧を描くように再び下落していく
②再び直線的に急落していく
いずれも下落する点では共通していますが、下がる軌跡で違いがあります。
そして、シナリオ①では、一定の水準まで下落すると「2番底」をつけます。
この2番底は「ダブルボトム」と呼ばれるものですが、その後、上昇基調に転じる場合、「3番底(トリプルボトム)」を経る可能性もあり、下値固めをしながら、次の上昇相場に転じていくという流れです。
ファンダメンタルズ的には、アメリカ経済の再開が本格的に進むかどうかですが、この前提として新型コロナウィルスの感染者数が着実に減ることがポイントになるでしょう。
抗体検査なども始まっていることを考えると、アメリカでは少しずつロックダウンを解除し平時体制に戻るような気もしますが、実体経済の大幅なダメージが今後もデータとして発表されることと感染症の第2波が来るかもしれないことを考慮すると、今のような戻り相場は一時的なものになるとの見方もあり、悩ましい限りです。
もし、現在の戻り相場が本物で、その後も上昇相場が続くという場合、ネガティブシナリオであるシナリオ①の短期的な見方はせず、次のような短期シナリオを描くことになります。
〇日経平均株価指数 チャート分析-シナリオ①(2018年10月2日~):ポジティブ版
シナリオ①は長期的なシナリオですが、期間を区切って部分的に見ると、先ほどのネガティブシナリオとポジティブシナリオに分けて考えることができます。
ポジティブシナリオでは、いったんつけた底値で調整局面が終わっており、現在進行中の戻り相場は本物であるという内容です。
ファンダメンタルズ的には、リーマンショックをさらに超える大規模金融緩和により、長期的に見て途方もないカネ余りが出現し、マーケットではリスクオンしやすくなる地合いが整うかもしれません。
目先の金融市場では、
◦大規模金融緩和による途方もないカネ余り
◦国債バブル
◦ゼロ金利の長期継続
の3つが意識されると思います。
ただし、問題は2点。
①マーケットがリスクオンしても、国債は買われるのか。
②日米の財政規模の差により、円高・ドル安になる可能性がある。
①については、マーケットがいくらリスクオンしたといっても、念のため国債を買っておこうという動きは続くと思います。
②については、日本が財政ファイナンスを拡大しない限り、円高・ドル安になる可能性が高いため、日経平均株価にとっては重しになると考えられます。
結論をいうと、次のようになります。
◦ネガティブシナリオでは、まだ買い時ではない
◦ポジティブシナリオでは、買った方がいい
当たり前と思われるかもしれませんが、現在の相場は、それだけ分水嶺に近づいているという意味で注目されています。
長期投資をする場合、アメリカにマネーが集中するため、米国株は買われやすくなると思います。
この過程で、日本の場合、アメリカの株式市場に引っ張られるように、長期的には株価は上昇するでしょう。
ただし、為替が円高基調になる可能性があるため、上昇のスピードはアメリカよりも遅いと考えています。
違いは「今買うか」、「もう少し待って買うか」です。
もし、今買うという場合は、スウィッチングのタイミングであるため、ポートフォリオを組み直す必要があるでしょう。
この場合、株式の比重を高め、安全資産である金の比重を下げる必要があります。
ただし、国債や債券型の投信については、大規模金融緩和が継続されるため、おおよそ株価と連動しやすい動きになることから、株式に対する分散投資の対象にはなりえません。
この点は気を付けるようにしましょう。