実体経済がまったく伴わない、株式市場の狂乱。
実体経済がまったく伴わない、株式市場の狂乱。
今日、2月15日(月)の東京株式市場は、日経平均株価指数が終値で前日比564.08円高の30084.15円で引けました。
「30年ぶりに3万円台をつけた!」ということでニュースになっています。
ポカンって開いた口が塞がらないですが、チャート的にもワニの口のように右開きの大きな斜行三角形になっています。
以前よりこのブログでは日経平均株価指数3万円シナリオで分析を続けてきましたが、まさか現実になるとはといったところです。
というか、まさかってわけではなかったんですけど、分析の手法をテクニカルの比率を下げ、ファンダメンタルズの要素を追加して強化した結果です。
何はともあれ、日経平均株価指数が3万円の大台に乗せた最大の理由は
超大規模金融緩和政策
ですよね。
FRBのパウエルさんも、日銀の黒田さんも、まだまだ続けまっせ~って言っているので、それが最大の後押しをしています。
一時、ゲームストップ株を巡る個人投資家の反乱で株価が急落した場面もありましたが、つまるところ、これも超大規模金融緩和の副作用で、結局、株式市場は異様といえるほどの活況を呈しています。
でもね、問題は、
実体経済がまったく伴っていない
点です。
これ、恐ろしいですよね。
日本の株式市場でバブルが弾けたのが1989年の年末。
その頃、自分はまだ高校生でしたが、父が証券会社に勤めていたこともあり、話には聞いていた記憶があります。
今の50歳以上の方はバブル経済の実体験があると思いますが、まだ高校生であった自分ですら、やれブランドだ、やれ海外旅行だ、やれスポーツカーだで、国内の経済はダイナミックに回っていたような気がします。
そんな感覚、まったくないですよね、今。
明らかに異常です。
たまたま、対応中のご相談者さんから「これからインフレになるかどうか」をテーマに、金融資産の置き場についての提案書がまとまったところですが、その中で、アメリカと日本のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)について言及させていただきました。
〇日本の国内総生産(前四半期比)成長率の推移
いずれもリーマンショック後のチャートですが、アメリカは良くても6.0%台ですかね、これに対して日本は良くても2.0%を下回っています。
なのに、株価は爆上がりなわけです。
国内総生産は簡単にいうと、国民が稼いだお金です。
かなり大雑把に例えると、日本の場合、国内総生産が年率1.0%成長としたら、私たちの家計も毎年1.0%ずつ成長しているって意味になります。
もう少し具体的にいうと、収入から支出を差し引いた純利益、つまり、毎年余るお金が1.0%ずつ増えていることになるんです。
仮に、毎月10万円お金が余るわってご家庭では、年間120万円のお金が余ることになりますが、翌年はこれが121万2000円になっているって計算です。
少なっ!
1年間で1万2000円しか増えていかないというのが我が国の国内総生産から見た家計の現状なわけです。
これね、リーマンショック後にアベノミクスで金融緩和政策をやりまくって、なおかつ、マイナス金利政策で政策金利をマイナスの水準に持って行ってまでしているにもかかわらず、こんな超低成長率なんですよ。
よく「金融緩和の効果が限界に達している」って言われますけど、経済学上では、これを「流動性の罠」といいますが、財政政策を積極的に行わず、金融緩和政策に大きく依存している経済政策が間違っているってことを表しています。
経済成長率が低水準になっている意味はお金が世の中に回っていないことを表していて、この原因は、つまるところ、「超高齢化社会」と「少子化社会」に伴う「人口減少化時代」を放ったらかしにしているってことで、将来不安の高まりで、だからお金を使わず、貯めようとするのは必然的な行動心理ってことになるんですけど、どうも、これについて真剣に取り組んでくれないこの国は、いったいどうなるかと、個人的にはかなり懸念しています。
〇日本の政策金利
これは日本の政策金利のチャートですが、日本の場合、金融緩和の現状はこれなんです。
リマンショック後、アベノミクスで金融緩和政策が積極的に行われました。
この時、政策金利を0.1%にまで引き下げたんです。
そして、その後、期待通りにデフレから脱却できず、マイナス金利政策を導入したんですが、それ以来、我が国の政策金利は▲0.1%で維持されています。
金融政策の意味としては一応あるんです。
金利を下げれば、企業も、家計も、お金を貯めこもうとせず、使いますよね。
だから、実体経済が回る。
これが金融緩和政策の本質的な目的です。
でもね、将来の生活不安や老後に対する不安がありますやん。
公的年金制度を補完する目的で、確定拠出年金やら、つみたてNISAとかで、同時に資産形成を推奨してしまってますやん。
そしたら、結局、お金貯めようとしますやん。
だから、経済、回るわけないですやん。
アクセルとブレーキ同時に踏んで何やってんの?
アクセルとブレーキといえば、アベノミクスで2回も消費税率を上げちゃって、この効果もGDP成長率にはマイナスに出ちゃって、やってることめちゃくちゃですやん。
そこに来て、コロナだもん。
それでも、財政出動を抑えてるんですもん。
もう、めちゃくちゃですやん。
これはアメリカの政策金利であるFFレート(フェデラルファンドレート)です。
日本との違いは如実に表れてますよね。
リーマンショック後、日本と同じく、金融緩和政策を実施しました。
この時、政策金利を一気にほぼ0.0%に引き下げましたが、その後、2015年から金融緩和政策を緩やかに解除し、政策金利を段階的に引き上げてきました。
結果、2.5%ぐらいの水準にまで上げていったんですが、その後、米中貿易摩擦で景気の減速が表面化し、金融引締め政策を改め、再び金融緩和政策に戻したという経緯があります。
そして、コロナショック。
金融緩和の規模をさらに拡大し、財政出動もかなり潤沢な規模で実行し、おそらく、アメリカ経済は、早晩、復活するでしょう。
でも、日本はデフレ。
2019年の10月に消費税率を10%に引き上げ、コロナショックで財政出動を渋り、長期間のデフレ継続を推奨しているかの如くの振舞い。
〇日銀 コア全国消費者物価指数(前年比)
これは日本の物価変動率です。
コア指数なので、季節変動が除かれている純粋な物価水準を表しています。
年率で見ると、2017年にマイナスに落ち込み、2020年10月、消費税率を引き上げた後にまたマイナスになり、コロナで大きくマイナス、未だにマイナスから抜け切れていません。
2021年分はまだわかりませんけどね。
かなり話が長くなりましたが、こういうのが日本経済の実情なんです。
なのに「日経平均株価指数3万円回復!」って。
しかも、今日の日経電子版の記事で1面を飾ったのが、株式市場の主な投資家は、外国人と日銀って内容の見出しになってるぐらいですし、日本に住んでない外国人投資家はまだしも、金融政策の実行主体である日銀がメインプレーヤーになっちゃいかんでしょって普通に思います。
まさか、政治家の人たちは、こういった現状がいいよねって思ってはいないと思いますが、もし思っていたら、それこそデフレ容認ですよね。
そんなんでいいのでしょうか。
一国民として、そう思います。
さて、やっとたどり着きましたが、日経平均株価指数。
いつも通り、チャート分析をしておきます。
〇日経平均株価指数
冒頭に出したチャートですが、日経平均株価指数が3万円の大台に達したことがわかります。
赤色の上値抵抗線は最後のトレンドラインです。
リーマンショック以来、上昇トレンドを続けてきましたが、その過程で発生した上値を結んでいくと、このような上値抵抗線になります。
ここが最外枠にあるんですが、このラインを突破するかどうかが目先注目されるでしょう。
急ピッチで上がり続けてきていることや3万円の大台に乗せたことで調整が入りやすくなっていますが、おそらく入ったとしても再び上昇していくでしょう。
なぜならば、超大規模な金融緩和政策が相場を下支えしているからです。
ってことは、これからどんな波形を描くんでしょうね。
〇日経平均株価指数
いつものシナリオの波形取りを少し変更しました。
上昇に対してよりポジティブなシナリオ波形です。
これ以外にも3つほどポジティブシナリオは描けるんですが、このシナリオの特徴は目先、プチ調整が入った後、再び上げるという内容です。
すべてはアメリカの株式市場次第ですが、そろそろ日本も、アメリカと比べこれまでのような割安感がなくなってきたので、3万円の大台に乗っていることもあり、とりあえず売っておこうかなって勢力が多く出るような気がします。
ただ、まだ一気に買い上がろうという気持ちはチャートには表れているため、この場合は赤色の上値抵抗線を目指すことになるでしょう。
今日は、ちょうど、ピンク色の上値抵抗線で止まってますけど、意識されるラインとしては妥当といえます。
赤色の上値抵抗線の水準は、コロナショックにつけた底値からコロナショック前の水準までの値幅と同程度の値です。
いわば、倍戻しですが、テクニカル的には切りの良い水準なので、ここで下げなかったら、日経平均株価指数はもう知らんって感じですよね。
これ以降は、上げれば上げるほど、その反動がドデカくなる局面です。
いずれ、久々に大規模調整局面が訪れることになると思いますが、これが、アメリカの金融政策の転換であろうと考えると、中期的な投資スタンスとしては辻褄が合います。
これが一番怖いんですが、東京株式市場の主役は外国人投資家と日銀です。
外国人投資家はいざとなった時の逃げが早いので、それに対し日銀がどう反応するかですかね。
むしろ、本当に上がり過ぎたら、コロナが収束し、経済活動が世界的にある程度回復している段階では、国際協調として意図的に株式市場の熱を冷ます試みが打たれるように思いますが、どうなんでしょうね。
その時、個人投資家、特に初心者は、おそらく、投資というギャンブルの洗礼を受けることになるような気がします。
といっても、初心者の方にはなんも責任はないんですけどね。
いい加減、国の経済政策の舵取りについて結果を振り返り、今後、どうすべきかを再構築した方がいいように思います。
このブログでは、重要だなって思った時に、重要なポイントをお伝えしますので、気になったら見てみてくださいね。