ドルコスト平均法でNYダウを考えたとき、今後の投資スタンスはどうしたらいいか。
積立投資を行う際、よく「ドルコスト平均法」という運用手法が紹介されます。
例えば、株式や投資信託などで、毎月、一定の金額を買い付けるという方法です。
ドルコスト平均法を使うと、一括して株式や投資信託などを買うよりも、結果的に買付コストが安くなることが利点です。
つみたてNISAや確定拠出年金といった制度では積立投資を前提にしているため、必然的にドルコスト平均法で株式や投資信託の買付を行うわけですが、実際のFP相談では、「ドルコスト平均法って、相場が下がっているときでも大丈夫なんですか?」といった質問をいただくことがあります。
今回は、この話をしながら、NYダウについて、今後の投資スタンスを探っていきたいと思います。
まず初めに、「ドルコスト平均法による投資が、どのような相場のときに有効に働くか」を確認していきます。
ドルコスト平均法は、例えば、毎月、決まった投資信託を一定額、積み立てのように買い付けていく購入スタイルです。
通常、資産運用では、株式や投資信託をある時点で一括して買い付け、値上がりを待って売るといった方法で売買を繰り返していきます。
ドルコスト平均法を活用する場合、前提としては「定額投資(≒積立投資)」となるため、投資スパンは「長期」、つまり、銘柄の保有期間が通常の資産運用と比べ長くなります。
利点としては、一定の金額を買い付け続けるわけですから、上昇相場では、スタート時に一括で購入するよりも、結果として買付金額の総額を抑えることができます。
そして、保有銘柄を売却すると、売却益はもちろん、購入コストが安くなったため、お得に運用ができたという結果が得られます。
でも、下落相場のときは上昇相場と真逆のことが起こります。
値を下げては買い、値を下げては買いを続け、最終的に売らなければならなくなったタイミングでは、買ったときよりもだいぶ値が下がっているため、損失が出て幕を閉じます。
これが基本原理です。
でも、実際の資産運用では、こんなにきれいにこの原理が当てはまりません。
往々にしてあるのは、次のようなパターンではないでしょうか。
上段は「上昇相場が続いた後、ある程度下落して終える」、下段は「下落相場が続いた後、ある程度上昇して終える」ことを表しています。
ドルコスト平均法では何が最も重要なポイントかというと、「いつ、運用をやめるか」という点です。
運用の出口です。
上の図では、20年後と書いていますが、今から数えて20年後、相場がどうなっているか次第でドルコスト平均法投資の意味がまるで違ってきます。
初めから最後までずっと上昇相場でいられましたというのなら、単純にドルコスト平均法を使って良かったという話になりますが、運用期間の終了時点で値が下がっていると、下がり具合いによっては、結果として「まあまあ良かった」、「そんなに良くなかった」という感想になります。
さらに、当初の買値よりも下げて終わった場合は「やらなければよかった」と嘆くかもしれません。
逆に、初めから最後まで下落相場だった場合、ドルコスト平均法はやらなければよかったとなりますが、これも終了時点の価格次第です。
当初の買値を上回って終えれば「やって良かった」となりますが、下回って終わってしまうと「やらなければよかった」となります。
つまり、まとめると、ドルコスト平均法による投資は、
購入時点の価格<売却時点の価格
が利益を得る条件になります。
当たり前ですよね。
スタート時点よりも値段が上がっていなければ、売ったところで損をするのは。
ドルコスト平均法の利点は、あくまでも買付コストの総額を抑えることができるという点です。
単なる買い方の話なので、例えば、「安全に運用できる」とか、「安定運用を期待できる」といったリスクコントロールの話ではない点はしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
さて、これを踏まえて、今後のNYダウの投資スタンスを探っていきます。
結論からいうと、相場のイメージを次のように捉えています。
〇NYダウ(1028年~)
新型コロナウィルス感染症による経済状況の悪化により、NYダウは一気に急落しました。
その後、反転上昇し、値を戻す動きとなっています。
その後はどうなるかという話ですが、このシナリオでは、再度、上昇していくと考えています。
詳しくは、こちらをご参照ください。
fp-office-kaientai.hatenablog.com
チャート理論は「エリオット波動理論」と「メリマンサイクル論」を使っていますが、難しい話は抜きにして考え方のポイントを整理していきたいと思います。
NYダウは、超長期相場においては、次のような見立てになります。
現在の波は、「第Ⅲ波」が終わり、
①第Ⅳ波が完了したか、
②第Ⅳ波を形作っている最中
簡単にいうと、グレーの帯に位置しているってことです。
そして、第Ⅳ波が終わると、第Ⅴ波に移行していきます。
つまり、
調整局面が終わると、超長期上昇相場の最終局面である「第Ⅴ上昇波動」に移る
と見ています。
コロナショック後の底値が確定すると、次は上がるってことですね。
このときの上昇相場は、だいたい10年程度を考えています。
ただ、問題なのは、コロナショック後の波である「第Ⅳ波」の判定です。
特に「二番底」が欲しいわけですが、この捉え方が確定していないため、今後続くであろう波のパターンごとに可能性を想定する必要があります。
二番底パターン①
二番底パターン①では、直近で下げ止まっている位置が一番底ですが、今後、さらに深めの二番底が来るというシナリオです。
ここで考えられるのは、「米中の対立」だったり、「新型コロナウィルス感染症の第2波、第3波が来ることで、経済の再開が危ぶまれる」ということかもしれません。
そして、二番底が確定した後で「第Ⅴ波」に移り、NYダウは上昇局面に入っていくという考え方です。
悲観勢はこのパターンで考えているような気がします。
二番底パターン②
一方、二番底パターン②では、コロナショック後の下げ止まりが一番底で、この時点で「第Ⅳ波」は終わり、今進んでいる戻り相場は「第Ⅴ波」の中にあるという考え方です。
現在進行中の戻り相場がさらにトントントンと上がっていくわけではないので、一定の水準で戻り売り、つまり、利益確定の売りが発生し、少し値を下げ、このタイミングで二番底をつけにいくというシナリオです。
楽観勢は、このパターンで見てるでしょうね。
新型コロナウィルス感染症にともなう景気の悪化の出口が見えてきたという雰囲気が追い風になると思います。
最後にもうひとつ、二番底パターン③です。
二番底パターン③
二番底パターン③では、コロナショック後の下げ止まりから大きく反転上昇するも、再び下落し、二番底をつけに行くというシナリオです。
このタイミングが「第Ⅳ波」になります。
その後、「第Ⅴ波」に移行し、相場は上昇していきます。
これはこれでありうるんですが、米中の対立もなく、新型コロナウィルス感染症による経済の悪化がV字回復するというのが前提になるような気がします。
でも、思った以上に景気は回復せず、むしろ、景気の停滞が少し長めになるかもしれないということで、再び下げるのかもしれません。
そして、大筋、景気回復の光が見えてきたところで、力強く上昇していくという考え方です。
パターン①でも、②でも、③でも、最終的には「第Ⅴ波」に移行し、NYダウは上がっていきますが、二番底のタイミングが大きな鍵になります。
個人的には、パターン②で見ていて、今の戻り相場から少し修正されたら買いと判断しています。
4月・5月の経済指標が気になりますが、これらをどのように織り込むかで二番底の性質が変わるため、情報のアンテナはまだまだ必要と思われます。
理想的な投資スタンスは、
第Ⅴ波に入ったら、ドルコスト平均法で効率的に運用する
のが良いとなりますが、冒頭に述べたように、ドルコスト平均法は出口、つまり、終わりにするタイミングが重要であるため、
運用期間は10年程度
と決め、長期投資を考えていく必要があります。
そして、入り口としては、
二番底をつける前に始める
のがポイントです。
二番底の程度はありますが、パターン②では「浅め」、パターン①では「深め」です。
パターン②を採用する場合、今の戻り相場で少し急落した後に買うというのがいいかもしれません。
積立投資は長期運用が前提ではありますが、多くの方が、つい、放ったらかしにしてしまいがちです。
これは、簡単にいうと、タンス株を永遠に持ち続けることと等しいので、長期投資をする際は、必ず、運用状況の確認・チェックと、必要な場合に見直しをすることが求められます。
ということで、ドルコスト平均法を永遠にやってしまうと、ホントはかなりリスキーなんですね。
この点は注意していきましょうね。