FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

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コロナ後の資産運用。超長期シナリオでは、NYダウは最終上昇局面に突入し、マネーは再び膨張する!

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 日本時間だと昨日の夜、アメリカで4月の雇用統計が発表されました。

 雇用統計で確認することは、単純に「失業率」ですが、アメリカでは4月の失業率が戦後最悪の14.7%と急伸し、失業者数は前の月の714万人から一気に増え、2308万人にまで膨れ上がったそうです。

 驚異的な数字ですが、それにもかかわらず、株式市場は好意的な反応を見せ、昨日のダウ工業平均株価指数は、前日比455.43ドル高の24331.32ドルで引けました。

 アメリカの失業率がこんなにハンパない状況になってるのに、なんで株価が上がるの?って思うかもしれませんが、これはよくあることで、簡単にいうと、その理由は、

市場予想よりも良かったから

となります。

 んじゃ、失業率の市場予想ってどれぐらいだったの?っていうと、

16%

だったので、それよりは良かったねということで株式が買われました。

 マーケットってこんなもんです。

 感覚、麻痺してます。

 

 でも、よくよく記事を読んでいくと、今回の場合、こんな点が株価上昇の要因と指摘されています。

www.nikkei.com

 

失業したとしても、その内訳は一時解雇や帰休が78%で、コロナが収束するにつれ、失職者が戻ってくることから、通常の失業とはいえない。

 確かにね、そう言われてみればそう思います。

 ただ、5月の失業率は15%を超すとの見方もあり、つまるところ、経済を再開しても、通常通りの営業に戻るまである程度時間がかかるわけで、実体経済をベースに考えると、マーケットが出した「景気は回復する」といった答えのようにはなかなかならないと思います。

 でも、これがマーケット。

 さしたる根拠もなく、上がったり、下がったりを繰り返すものなので、今度は別の要因で下がったりもするわけです。

 今回のマーケットの反応は記憶に留めておく必要がありますが、失業率については、アメリカの場合、さらに悪化したとしても、いずれは良くなるといった楽観的な見方で覆われるようになるんだろうと思います。

 

 チャート的には、NYダウは一本調子で上がらないと思いますが、今のところ、緩やかな上昇カーブを描いています。

 この上昇曲線の場合、テクニカル的に見ると、短期的に急落する可能性があるため、一定の水準まで上げていくと利益確定の売りが少し膨らむような気がします。

 ということで、今回は、NYダウについて「超長期波動」で今後の流れを予測していきたいと思います。

○NYダウ チャート分析(1928年~)

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 すごいですよね、このチャート。

 滅多にお目にかかれない、1928年からのめちゃくちゃ長いチャートです。

 1928年といえば、世界恐慌の前の年。

 これを株価として見ると、世界恐慌が株式市場にどのような影響を及ぼしたかは見にくくてわかりません。

 でも、1990年前後から株価の波が大きく揺れだしているのが確認できます。

 世界の出来事でいうと、ソ連が崩壊したり、ベルリンの壁が壊されたり、日本ではバブルが崩壊したころです。

 つまるところ、資本市場が膨張し始めたのがこのころで、資本主義が世界を席巻するようになり、今では、それが情報技術などの発展と融合し、実体経済を飲み込むようになったんだろうなぁと想像できます。

 そして、同時に、金融政策の規模も時代を経るにつれて大きくなってきたことがわかります。

 株式市場に代表される資本市場に資金(マネー)が流入し、株価が膨張を繰り返してきたってことですね。

流動性相場の拡大

 

 そして、このようなものすごく長いスパンで株価を見ると、新型コロナウィルス感染症にかかる経済対策のもと、リーマンショックを超える経済史上かつてない大規模な金融緩和政策により再び流動性相場が拡大しようとしています。

 この想定にもとづいたシナリオが今回のNYダウについてのチャート分析のテーマです。

○NYダウ チャート分析(1928年~)

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 チャートでは見にくいですが、コロナショックで下げ止まった株価は、今のところ、急落の戻りということで反転上昇しています。

 チャートでは一本線に見えますが、おおよそ「半値戻し」が達成されている段階です。

 この戻り相場は斜め右上に向かってカーブ(曲線)を描きながら進んでいますが、テクニカル的には、このような軌跡の場合、買い進めるべきか、利益確定を目的に売るべきかで迷っているため、ちょうど売り買いのガスが溜まっているような状況といえます。

 今後は、どこかの時点でガス抜きが必要になるため、近々、プシュっ、プシュっと細かくガスを抜くように、売り買いが交錯しながら緩やかに下落していきます。

 形でいうと、上向きの円弧のようなイメージです。

 そして、一定の水準まで株価が値を下げると、再び、上昇軌道に戻ります。

 昨晩の米雇用統計に対するマーケットの反応を見ると、新型コロナウィルス感染症による景気の落ち込みから回復するという楽観的な受け止め方と、新型コロナウィルス感染症実体経済にもたらす悪影響がクローズアップされるといった悲観的な受け止め方がシーソーのようにギッタンバッコンしながら動いていくのではないでしょうか。

楽観論と悲観論のシーソーゲーム

 そのような動きを繰り返しながら、最終的に「流動性相場」が定着し、マネーが膨張し、再び、バブル相場が出現すると想定しています。

超大規模金融緩和が流動性相場を拡大させ、バブルを形成する

 これがNYダウにおける超長期シナリオです。

 

○NYダウ チャート分析(1928年~)

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 スパンとしてはいつぐらいまでの上昇を考えておけばいいでしょうか。

 目先はまだ二番底を待っている状況ではあるため、

二番底の程度が浅ければ、回復は早い

二番底の程度が深ければ、回復は遅い

と見ておけばいいと思います。

 NYダウの超長期チャートにおいては、おおよそ、「今後10年」程度は、再び、上昇局面になるだろうと考えています。

 これはチャート理論上、超長期局面における「上昇の最終波動」に当たり、どうなんてすかね、例えば、「IT・ICT・IoT」といったテクノロジーが、これまで以上に本格的に生活に取り込まれ、家でも、スーパーでも、会社でも、多くの生活シーンで、「なんかインターネットとつながってる」みたいな世界が当たり前になっている時代なのかもしれません。

 しかし、相場というものは、いつまでも上がるというものではありません。

 いずれ、再び、下がっていく冬の時代が訪れます。

 このときの下落要因は、これです。

史上最大規模の金融緩和政策からの脱出

 

 これまでは、ITなどのテクノロジーが資本と結びつきやすかったがために、実体経済があまり反映されず、資本市場は膨張し続けてきました。

 この過程で、株価の上昇と並行して、暮らし向きが良くなったと思っている人は、おそらく少ないと思います。

 しかし、次のステージでは、情報通信技術が、より生活に浸透していくことになるため、これまでよりは資本と家計の連関性が高まると考えられます。

 とはいっても、影響を受けない人は受けないため、「情報通信技術と資本」VS「家計」といった対立構造は生まれます。

 つまり、富める者はより富み、富まざる者はより富まないといった「生活格差」は生まれやすくなるでしょう。

 情報通信技術という「道具」が圧倒的大多数の「人間」には感覚的に合わないため、道具と人間の距離を埋めるさまざまな工夫によって徐々に浸透していくんだろうと思います。

 そして、実体経済では資本と家計がある程度結びつきやすくなり、資本市場では、これまでよりもマネーが膨張することで、次に来るバブル崩壊のステージにおいて、その崩壊の衝撃は大きくなると考えています。

大規模な流動性相場は、その破壊力もすさまじい

 

 もう、こうなると、お金ってなんだろうって思います。

 正直、リーマンショックが終わったあたりから、お金に価値ってないよなぁと思ってました。

 なぜかというと、世界各国がお金を刷り刷りしまくったことで、モノやサービスに対するお金の相対的な価値が下がっているからです。

お金の価値<モノ・サービスの価値

 でも、物価って期待以上には上がってないんですよね。

 日本でいうと、デフレからなかなか脱却できない理由のひとつがこれです。

 金融緩和が行き過ぎているか、実体経済において需要が足りていないため、思ったように物価が上がってくれない。

 その代わり、それ以外の価値が高まっています。

お金の価値<モノ・サービスの価値<情報・時間・空間の価値

 お金は世の中にジャブジャブあります。

 モノはそこまで欲しがられていない。

 反面、情報や時間、空間などを欲しがる動きが高まり、今後も、この傾向はますます広がっていくでしょう。

 考えてみれば頷けますが、今回の新型コロナウィルス感染症では、FP事務所として法人向けに緊急経済対策の対応を税理士・社労士などの専門家と協力し行っています。

 報道ベースで流れてくる一連の情報をどのように見つけ、解釈し、事業者に合った形で対策を整えるかが勝負になるわけですが、ここで重要なのがスピードです。

 情報を発見し、解析するスピード。

 多くの人が情報を求めました。

 そして、その結果、情報に希少性が生まれ、更新される情報を素早く手に入れることができるかどうかが事業者にとって価値あるものに変わりました。

 時間も、空間も、似たような構造です。

 時間については、単純に、夫婦共働きの中にあっては十分足りているものではありません。

 足りないから求めようとする。

 その結果、例えば、育児サービスなどの事業に価値が置かれるようになっています。

 また、空間については、シェア〇〇といったサービスが目立つようになっています。

 例えば、シェアハウス。

 それまで住んでいた空き家を活用して誰かに貸す。

 一軒家であるため、これまでは、貸すといったらファミリー向けだったところを、シェアハウスにすることで、空間を切り売りすることができ、ここに価値が生まれています。

 このように見ていくと、情報や時間、空間の価値が実生活における新たなニーズと結びつき、その結果生まれたモノやサービスにだけ価値が生まれているという状況が広がっているように思えます。

 だから、今は、旧サービスから新サービスが生まれるまでの過渡期なんて言われるのかもしれません。

 ということで、株式市場における次のステージは、「IT・ICT・IoT」が実社会とより強固に結び付く「第4次産業革命」の勃興・発展期になるような気がします。

 

 ちょっとまとめますね。

リーマンショックを超える「大規模流動性相場」が始まる。

その理由は、新型コロナウィルス感染症による「超大規模な金融緩和政策」と「第4次産業革命」。

この結果、実社会がIT化され、実体経済にもマネーが流れることで、資本市場では、より強烈な流動性相場が出現する。

 少し別の見方をすると、資本と情報通信技術に人間が支配される時代が本格的に訪れるってことかもしれません。

 信じるか信じないかは、あなた次第ですっ!

 

 ということで、今後は、NYダウについては、この超長期シナリオを背景として、短・中・長期的なチャート分析を行っていきます。

○NYダウ チャート分析(1928年~)

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 さぁ、実際はどうなるのでしょうか。

 個人的には分散投資はせず、情報技術産業に関連する株式や投信などを物色し、運用していこうと思います。

 ちなみに、金投資はそろそろやめていいと思います。

 あと、国債は、金融緩和政策後は特に、株式投資リスクヘッジにはなっていないので、投信を選ぶときは気を付けてくださいね。

 

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