FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

日経平均株価指数は、再び、元の鞘に収まろうとしている。巡航軌道と株価の関係。

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 今回は、投資初心者というか、iDeCoだの、つみたてNISAだので、ほぼ何も考えずに放ったらかしにしちゃっている人向けに、長期投資で最も重要なポイントについてお伝えしていきたいと思います。

 

 株式相場が下降局面に入り、ようやく、「つみたてNISAのデメリット」や「積立投資の弱点」などが語られるようになりました。

 「えっ、なんで?」と思われる方もいるかもしれませんが、本当に当たり前のことを言っているだけなんです。

 1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」でも、何年か前に、今のように資産運用が流行るはるか前に、ドルコスト平均法のデメリットについてお話ししましたが、簡単にいうと、投資というものは、リバランスをしながら長期的に続けていくものだからです。

 そもそも、つみたてNISAを選んでしまう方は、非課税ということで「税金がお得!」に意識が向きやすいため、制度の構造上、リバランスが難しい道を選んでしまいます。

 また、積立投資は必ずしもいけないという訳ではありませんが、リバランスをしなければ、今回のような相場の下降局面では、株価が下がっていくにつれ定期的に下値をつかまされてしまうため、せっかく積み上げた資産評価額が減っていくのをただ指を咥えて待つことしかできません。

 「えっ、下がったら安く買えるから、平均的な取得価格も下がって、お得な買い物になるわけじゃないの?」

 それは正しいんですが、それはどちらかというと、比較的短期的な話で、長期投資でそのスタンスのままやってしまうと、ただただ、投資に無駄が生じるだけになります。

 要は、長期のトレンドというか、相場の大局的な流れを観察しながら下値を拾えばいいだけなので、ただひたすら、定期的に下がったら買えば良いと言っているわけではないんです。

 資産運用ブームでこういうめちゃくちゃ当たり前のことが掻き消されて、まるで呪文のように「資産運用は、長期・分散・積立投資で!」と言われて信じてやまない人がなんと多いことか。

 悲しくなりますが、そういう人の半ば洗脳的な受け止め方が今のような相場の下降局面で是正されていけばいいなと願っています。

短期的な投資ならドルコスト平均法でもいいけど、長期投資ではやっちゃだめ!

 

 「そんなこと言われても・・・、じゃあ、どうすればいいの?」

 「投資経験を積みながら、よ~く学んでください」としか言いようがないんですが、せめて長期投資をするんならということで、これだけは知っておいてくださいというお話をします。

 それが巡航軌道の概念です。

 言葉で説明するよりもチャートで見てみましょう。

日経平均株価指数(日足)

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※TradingView提供

 

 それぞれの株価指数や株式の銘柄などには、価格の変動に一定のトレンドというものが存在します。

 それをテクニカル的に見るツールのひとつが、いわゆる「移動平均線」と呼ばれるものです。

 上のチャートでは、いくつかの移動平均線を引っ張っていますが、リーマンショック以降は特に、日経平均株価指数の場合、1000日単純移動平均線(赤色の曲線)が長期的なトレンドを見る上で重要といえます。

 長期的なトレンドとは、大きな、大きな相場の流れという意味です。

 見るべきポイントは、株価が1000日単純移動平均線からいったん離れ、天井を着けると、再び1000日単純移動平均線に戻ってきているという点です。

 つまり、1000日単純移動平均線が日経平均株価指数の長期的な巡航軌道になっていて、これを中心に上に離れては戻り、下に離れては戻りを繰り返しながら動いています。

 移動平均線が短期、つまり、5日、10日、15日などでも、中期、つまり、20日、50日、100日といった場合でも、原則同じことが言えますが、長期投資を行っていくわけなので、それらよりも長い200日や500日、1000日といった移動平均線で見た方が良く、その中でも、特にリーマンショック以降の日経平均株価指数の場合、1000日単純移動平均線との接点で長期的に大きな節目を迎えているため、これを巡航軌道と捉えています。

 ということで、

相場は、移動平均線から離れると、また戻ってくる

これを頭の中にしっかりと入れておいてください。

 

 もう一度チャート面を見てみますね。

日経平均株価指数(日足)

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※TradingView提供

 

 日経平均株価指数が1000日単純移動平均線から離れて天井を着けると、また戻っているのがわかります。

 緑色の矢印が移動平均線から離れて天井を着けるまで、赤色の矢印が天井を着けてから戻るまでを示しています。

 ここで気づくかもしれませんが、「コロナショックの時、日経平均株価指数が1000日単純移動平均線に戻ったものの、それを下回っているじゃないか」と思われるかもしれません。

 そうです。

 移動平均線は相場の巡航軌道であるため、上に離れると戻り、逆に下に離れると戻るため、下回るのは何ら不思議なことではありません。

 むしろ、下回らないと考える方がおかしくて、下回ったらまた戻ると考えておけばいいだけです。

 繰り返しになりますが、

相場は、移動平均線から離れると、また戻ってくる

 

 テクニカル的な話をすると難しくなりますが、どの水準まで戻るかを計測する方法はいくつかあります。

 でも、放ったらかし投資で、なんら学びたくないわけですから、そこまでの話はしません。

 ただ、この巡航軌道という考え方だけイメージしながら、長期投資で何も考えずにドルコスト平均法でひたすら評価額が下がっても良いと思うのではなく、相場の底値付近がどれぐらいになりそうかを巡航軌道からイメージして長期投資をしていってもらえればと思います。

 その上でトレンドに合わせたリバランスなんです。

 今のような相場の場合、ひたすら全世界だろうと、米国だろうと、日本だろうと、株式だけに資産配分を偏らせておくと、もう間もなく「何のために資産運用していたんだ!」という、不満を誰にぶつければよいかわからない人が続出すると思います。

 そんな人たちにはこんな囁きがされるでしょう。

 「積立投資は途中で止めちゃだめですよ」

 100%間違いということではありませんが、日経平均株価指数が2021年9月の高値を果たして奪還するのだろうかというと、個人的には何年先になるんだかと思います。

 特に昨年以降で株式投資を始めましたという方はよ~く考えた方がいいかと思います。

 

 今の下降局面で学ばなければ、ずっと投資初心者のままです。

 厳しい言い方をしてしまった部分もありますが、今のタイミングが学ぶ意味でとても良い機会だと感じています。

 

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