つみたてNISAをこのブログで封印するのはやめました。つみたてNISAの運用状況を確認するチャートができたので。これでわかりやすくなりますかね。
先日、つみたてNISAについて、このブログでは封印しますと申し上げましたが、やっぱり、別版で考え方を示しておくことにします。
なぜ、このブログでつみたてNISAについて封印したのかというと、このブログで行っているチャート分析が通常の資産運用、つまり、スポット買いによる回転売買やスウィッチングをしやすいようにすることを目的としているからです。
しかし、つみたてNISAを活用した場合のチャートが作成できたので、たまにですが、更新しながらつみたてNISA用の分析も行っていければと考えています。
つみたてNISAは、単に「投資初心者」を対象にした「資産運用促進税制」です。
このため、運用方法は、初心者でもわかりやすい「長期」・「積立」・「分散」投資を前提にしています。
ここでしきりに言及されるのが「ドルコスト平均法」という買付価格の平準化方法ですが、このやり方には穴があり、簡単にいうと、
相場の上昇局面では有効だが、下降局面が長く続くと損失を被る
という弱点があります。
これがあまりにも説明されなさすぎるため、投資初心者の人たちは「株価が上がってるし、やってみてもいいんじゃないか」と思ってしまっています。
つみたてNISAは投資初心者に向けられた「資産運用に関心を持ってもらうため」の資産運用促進税制です。
なので、投資に興味を持ってもらうことには異論はありませんが、具体的な損失の可能性を知らずにやってしまうと、それはそれで問題だと思いますので、つみたてNISAをやっている人向けにナビゲーションしていこうと考えました。
積立投資って、本当は、通常の資産運用と比べるとリスクコントロールが難しく、臨機応変に売買をすることができないことから、トレーディングとしては困難を極めます。
つみたてNISAの下では、積立投資を始めたらやめないようにしましょうとなっているため、基本、放ったらかしの運用になっていきます。
これはしょうがないことです。
なぜならば、投資初心者にとっては、投資経験の豊富な投資家と比べると売り買いのノウハウがないため、やり方を教えてもなかなかできないからです。
このため、投資初心者にとっては積立投資しか運用方法はなく、手枷足枷をはめられた状況でチャート分析を行ったところで意味はありません。
むしろ、チャート分析なんかしなくていいぐらいです。
その結果、投資初心者は、
自分が今どこにいて、これからどこに向かうかがわからなくなる
という状況に陥ります。
さすがにこれは避けたいので、最低限、「自分の現在地」を知ることだけを目的に、このチャートを用いナビゲーションしていくことに決めました。
○日経平均株価指数における平均買付価格の推移(2018年1月4日~2020年11月13日)
つみたてNISAをすでに始めている人やこれから始めてみようと思っている人で、このようなチャートを見たことのある人はいないと思います。
個人的には、つみたてNISAで運用しても積極投資ができないのでやらないようにしていますが、もしつみたてNISAをやるとしたらまず何をするかと考え、このチャートを作りました。
このチャートがなければ、状況判断が見えない
このチャートは、日経平均株価指数の動きに対して平均の買付価格がどのように推移しているかを確認するためのものです。
白色の線が日経平均株価指数、オレンジ色の線が平均買付価格です。
積立投資では毎月1回、投資信託を買い付けていくため、1か月ごとの平均買付基準価額を割り出していく必要がありますが、便宜上、日経平均株価指数をベンチマークにしたインデックスファンドを想定していることから日経平均株価指数で見ています。
○日経平均株価指数における平均買付価格の推移(2018年1月4日~2020年11月13日)
つみたてNISAは2018年1月から始まった制度です。
このため、日経平均株価指数は2018年1月4日を起点に終値の推移がプロットされています。
これに基づき、日数が経過するごとに平均買付価格を割り出しています。
例えば、2018年1月4日に投資初心者の方がつみたてNISAで日経平均株価指数をベンチマークとするインデックスファンドを購入したとしましょう。
その間、積立を継続して、その後、2020年11月13日時点では、日経平均株価指数が26,000円手前、平均買付価格が22,000円ほどになっていることがわかります。
このチャートの見方としては、
日経平均株価指数が平均買付価格を上回っていればプラス、逆に下回っていればマイナス
です。
このため、2020年11月13日時点でファンドを売却すると売却益が得られます。
日経平均株価指数でいうと約4,000円弱の利益です。
総利回りベースでは約18.18%、これを年利に直すと、計算がめんどくさいんで投資期間を3年としますが、年利6.06%弱といったところでしょうか。
年利5%を超えているのでまずまずといった感じです。
これがわかって、よかったぁと思うかもしれませんが、冒頭でお伝えしたように、下降局面が長く続くとドルコスト平均法は損を出すための投資になってしまいます。
これについては、次のチャートで確認しておいてください。
○日経平均株価指数(1965年1月5日~2020年11月13日)
太い赤色の曲線が超長期上昇局面になる場合のシナリオです。
一方、太い青色の曲線が長期下降局面になる場合のシナリオです。
個人的には前者を考えており、後者の可能性は薄いと見ていますが、未来のことは誰にもわかりません。
ここでは、このようなシナリオが実際に起こるかどうかではなく、仮に起こる場合、損失を被る可能性があることをしっかりと確認しておいてください。
少し見にくいですが、2018年1月4日から2020年11月13日の期間にあるオレンジ色の曲線が日経平均株価指数の平均買付価格です。
今のところ、この人の運用状況はプラスで推移していますが、ものすごく長い目で見て下降局面が続いてしまうと、必然的に平均買付価格も下降していくため、日経平均株価よりも平均買付価格が下回ってしまう可能性が出てきます。
このような状況で20年を迎えてしまうと、結果的にこの人は何のためにつみたてNISAをしていたかわからなくなるため、この点だけはしっかりと認識しておきましょう。
その上で、つみたてNISAにおいての運用方法をお伝えします。
○日経平均株価指数における平均買付価格の推移(2018年1月4日~2020年11月13日)
チャートの見方としては、平均買付価格を基準に、日経平均株価指数が上回っているか、下回っているかを常に確認しておく方法です。
この方法は、結果的に「バリュー投資」に似ています。バリュー投資は割安感のある銘柄を積極的に物色することを目的として運用方法です。
要は、平均買付価格が日経平均株価指数を上回っているときは、日経平均株価指数は割高、逆に下回っているときは、日経平均株価指数は割安と判断する運用方法です。
チャートの見方としてはそのように使っていただいて構いませんので、常に割高感・割安感の認識だけは持っておくようにしましょう。
つみたてNISAを行う際、ご相談者のみなさんの多くが一覧表などで基準価額や評価額を確認していると思います。
これだと購入している投資信託がどのように推移しているかがわからず、自分がどこにいるかがまったく見えません。
基準価額や評価額を一覧表で確認してわかるのは投資経験の豊富な投資家のやることです。
おそらく多くの方が慣れていないと思いますので、今後は、時折、このような形でチャートをアップしていこうと考えています。
他の指数や投資信託について、このようなチャートを作って欲しいというリクエストにはお答えしますが、かなり手間がかかるため、このブログでは日経平均株価指数についてしか作成しません。
欲しいという方がいらっしゃいましたら、個別相談で対応させていただきますので、お気軽にお声がけくださいね。
つみたてNISAは、単純に長期の放ったらかし博打なので、その点はよく理解した上で実践するようにしましょう。