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日経平均株価指数。悲観の中で着ける底値水準を巡航軌道から探る。

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 「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福のうちに消えて行く」という相場格言があります。

 これは上昇相場における投資家心理の移り変わりを的確に表現している格言といえますが、今まさにコロナ相場の上昇局面が幸福のうちに消え、次の悲観に向かっているような気がします。

 今回は、巡航軌道について話をしようと思いますが、相場では悲観をどう捉えるかが重要であるため、この辺りを中心にお伝えできればと思います。

 

 巡航軌道とはなにか。

 相場がおおよそ進んでいくであろう道筋をいいます。

 

 言葉で表現するよりも実際のチャートで確認してみましょう。

 

日経平均株価指数(日足)

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※Tradingviewの提供により作成

 

 黒の線が日経平均株価指数ですが、他にもいくつか色分けした曲線が描かれています。

 これらは単純移動平均線(SMA:Simple Moving Average)といって過去の平均的な株価の動きがどのようなトレンドになっているかを把握するのに使われます。

 単純移動平均線には日数による違いがありますが、5日移動平均、10日移動平均20日移動平均・・・と、過去何日間の平均を取るかによって線の種類が異なります。

 チャートに引いている単純移動平均線は、20日、50日、100日、200日といった概ね1年未満の短期的なトレンドを描いているものと、500日、600日、700日、1000日といった、どちらかというと中期的なトレンドを描いているものとで分類して表示しています。

 これらの単純移動平均線はいずれも、株価のトレンド、つまり、短期的には上昇、長期的には下落などの傾向を示しているわけですが、過去何日分の平均値を並べているかによって、短期、中期、長期のトレンドに違いがあります。

 巡航軌道は比較的長めのトレンドを軸に見るとわかりやすいですが、例えば、赤色の曲線である1000日の単純移動平均線を見ると、概ね、株価が1000日単純移動平均線を一度上抜けすると、その後、しばらく経って天井を着け、再び1000日単純移動平均線に向かっています。

 つまり、株価には、一度、移動平均線から離れると、再び戻ってくるという習性があるということです。

 このような習性を利用し、比較的長めの単純移動平均線を巡航軌道と捉え、株価と移動平均線がどれぐらい離れているかを見ながら中・長期の投資判断を下していきます。

 

 もう一度チャートを見てみましょう。

 

日経平均株価指数(日足)

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※Tradingviewの提供により作成

 

 赤色の曲線が1000日単純移動平均線ですが、日経平均株価指数との接点が3か所あり(〇で囲っている箇所)、そこを起点に上昇局面になり、天井を着けると再び1000日単純移動平均線と接していることがわかります。

 2020年のコロナショックの時は1000日単純移動平均線を日経平均株価指数が大きく割り込みましたが、このような場合も「離れたら戻ってくる」という考え方を適用すると、その後、底値を着け、再び1000日単純移動平均線に戻っていったことがわかります。

 このような習性を活かし、今の下落相場を見ると、2020年のコロナショック後、日経平均株価指数は1000日単純移動平均線とクロスし、その後、2021年に天井を着け、再び、1000日単純移動平均線に戻ろうとしているのがわかります。

 2022年2月24日時点では、おおよそ24,000円付近に1000日単純移動平均の値が存在するため、今のところ、トレンドとしては下値の目標値がこの水準にあることが推測できます。

 その後は、コロナショックで底値を着けたように、1000日単純移動平均線を割り込み22,000円水準を目指すかどうかが焦点になってくるかもしれませんが、仮にそうなったとしても「離れたら戻ってくる」わけですので、心理的にはそれほど動じるような話ではないでしょう。

 

 「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福のうちに消えて行く」

 

 この格言を日経平均株価指数に当てはめると、仮に1000日単純移動平均線を巡航軌道とするならば、これから訪れる悲観は1000日単純移動平均線に近づくにつれ生まれていくことになります。

 このように、下値や底値を探る際は、単純移動平均線を使ってみるのも相場を見る上では面白いのではないでしょうか。

 

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