FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

落ちるナイフは拾うな。S&P500の下落目処と今後考えられるシナリオ。

f:id:fp-office-kaientai:20220224214533p:plain

 辞書には下落の意味として、値段や価値などが低くなることと書いてあります。

 今の株式市場はまさに「下落」の一途で、「落ちるナイフは拾うな」という相場格言にあるが如く、下手に買い戻そうとすると、おそらくさらに傷口を広げることになるでしょう。

 

 今回は、投資初心者に人気のS&P500のチャートを見ながら下落の目処がどれぐらいになるかについて考え方をお伝えしていきたいと思います。

 

〇S&P500ミニ先物・当月つなぎ足(日足)

f:id:fp-office-kaientai:20220224221827p:plain※TradingView提供により作成

 

 これはS&P500ミニ先物のチャートです。先物チャートで下落中なので、おそらくニューヨーク市場がオープンすると、S&P500は同じように下がっていくと思います。

 S&P500は2021年12月で天井を着け、現在は調整局面に入っていますが、どうもまだ下げ止まるような雰囲気は感じられません。

 投資初心者にとっては阿鼻叫喚に感じるかもしれませんが、コロナ相場はもともと急激な上昇相場であったため、下がる時は急落するだろうと考えるのが妥当です。

 

 下げの目処を探る方法として、チャート面には、下値支持線(サポートライン)、単純移動平均線、フィボナッチ・リトレースメントの3つを描いています。

 個人的には、S&P500の場合、1000日単純移動平均線を巡航軌道と捉え、株価がある程度移動平均線から乖離したら戻ってくることを想定しているため、その延長線上のラインとフィボナッチ・リトレースメント0.5が交差する辺りが、後々来る、コロナ大相場の底値ラインと推定しています。

 値としては3490.50付近ですが、それまでのコロナ相場で上昇した分の半値戻しがこの水準です。

 また、フィボナッチ・リトレースメントでは、0.5の前段階として0.382の水準も候補として挙げられます。数値でいうと3801.25がそれに当たります。

 最悪、フィボナッチ・リトレースメント0.618の水準である3179.75付近も候補にはなりますが、ここまで来たら本当に相場としては阿鼻叫喚の世界といえるでしょう。一応あり得る水準なので、念頭に入れておく必要はあるでしょう。

 

 一方、チャート面にある水平の点線はそれぞれの段階での下値支持線(サポートライン)です。何本も引いていますが、突破するごとに下値が切り下がっていくことになります。

 目先は4,000が攻防ラインといったところでしょう。

 おそらくそこら辺でいったん買戻しの流れが来ると思いますが、ウクライナ情勢が改善されない場合は、3回目の下落相場を見ておく必要があると思います。そうなった場合、先ほどのフィボナッチ・リトレースメント0.5の水準である3490.50付近が頭をもたげてきます。

 下落率でいうと約27.43%。コロナショックの下落率が約35.55%だったので、そこまでは行かないとしても大きな下落といえます。

 一応、覚悟はしておいた方が良いかもしれません。

 

 さて、今気になっているのは、どのシナリオを想定すべきかという点です。

 相場のテーマは大きく分けて2つです。ひとつはウクライナ情勢、もうひとつがアメリカの利上げです。

 アメリカの利上げは従来からのメインテーマであるため、この流れにウクライナ情勢が来たという位置づけです。

 この2つの関係性を整理しながらシナリオを組み立てていきます。

ウクライナ情勢改善、アメリカの利上げ進展

ウクライナ情勢改善、アメリカの利上げ後退

ウクライナ情勢悪化、アメリカの利上げ進展

ウクライナ情勢悪化、アメリカの利上げ後退

 単純にこの4パターンですよね。

 目先、序盤のシナリオは③、もしくは④になりますが、ウクライナ情勢が悪化する中で、FRBが利上げを実施するかどうかです。

 今のマーケットは、アメリカ10年物国債利回りが、このブログを書いている時点で1.861%であるため、ロシアがウクライナに侵攻した(紛争)わりには下げている感じがしません。

 西側諸国の経済制裁が厳しいものではないという受け止め方が背景にありそうですが、第1弾、第2弾、第3弾と経済制裁の内容が厳しくなるにつれ、アメリカ10年物国債利回りの水準が下がっていくかもしれません。

 とすると、④の「ウクライナ情勢悪化、アメリカの利上げ後退」ということになるように思われます。

 ただ、問題なのは、原油天然ガスなどのエネルギー価格や大豆、トウモロコシ、小麦などの穀物価格、また、金、銀などの鉱物価格が高騰しているため、これらの価格上昇が世界的なインフレを引き起こす可能性があることです。

 そう考えると、③の「ウクライナ情勢悪化、アメリカの利上げ進展」の方に振れてもおかしくはないでしょう。

 どちらかというとマーケットは今、③のシナリオで動いているような気がします。

 なので、目先、個人的なシナリオとしては、③を採用することとしましょう。

 

 それでは、①、②のシナリオはどう考えるべきでしょうか。

 ①は「ウクライナ情勢改善、アメリカの利上げ進展」、②は「ウクライナ情勢改善、アメリカの利上げ後退」です。

 ウクライナ情勢が改善しだしたら、当然、FRBは予定通り利上げを行っていくでしょう。なぜならば、余計に上がってしまった物価を抑制する必要があるからです。

 ということはつまり、①の「ウクライナ情勢改善、アメリカの利上げ進展」が妥当な線であろうということができます。

 

 まとめると、今後のシナリオとしては、

ウクライナ情勢悪化、アメリカの利上げ進展

ウクライナ情勢改善、アメリカの利上げ進展

を描きながら、あとは時間次第ということでしょう。

 

 経済制裁の内容次第のような気がしますが、きつめの経済制裁になると、③のシナリオが長引く可能性があるため、④のシナリオに転じたとしても、その後に待っているのはリセッション、景気後退局面のような気がします。

 いくらコロナが終わって日常に戻るといっても、これだけ株価が大暴落しているので、景気が良くなると考えるのは少し無理があるように思えます。

 ということで、今、見えてきたことは、コロナ相場で着けた天井に、今後、株価水準が戻っていくかどうかですが、たとえ戻ったとしても、相当期間が必要になってくるでしょう。

 なんせ、ウクライナ情勢が改善されても、強めの利上げが待っているわけですから。

 今の相場は、これを織り込むかどうかの瀬戸際に立っているような気がしています。

 

FP OFFICE 海援隊 Webサイト

fpofficekaientai.wixsite.com