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なったらいいな。「みなし失業」という雇用支援策。

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 これはすごく難しい問題ですが、新型コロナウィルス感染症拡大にともなう緊急経済対策。

 先日、第1次補正予算案が国会を通過し、中小企業支援策がようやく実施されるようになりました。

 その内容をまとめると、「融資」・「給付金」・「雇用支援」の3つに大別されます。

 ただ、これだけじゃ事業者にとってしっかりとした救済になっているわけではないため、家賃補償や雇用調整助成金など、さらなる支援を求める声もあり、それらについて第2次補正予算案として、今、国会で話し合いがされています。

 今回は、今日の日経新聞で、こんな情報が上がってきているため、それについて触れていきたいと思います。

www.nikkei.com

 3つの緊急経済対策のうち「雇用支援」に当たる内容です。

 新型コロナウィルス感染症が拡大するようになって、会社の経営状況が急速に悪くなってきました。

 事業者にとっては、社員・従業員を雇用するのが難しいという問題に直面しています。

 ここが事業者にとっては非常に悩ましいわけですが、選択肢としては、「辞めてもらう」、「休ませる」の2択に迫られます。

 社員・従業員に辞めてもらう場合、その人たちの生活を補償するために雇用保険から仕事を辞めた人本人に「基本手当」、いわゆる「失業手当」が給付されます。

 一方、社員・従業員を休ませる場合は、雇用を維持することを目的に「雇用調整助成金」が事業者に給付されるようになっています。

 日経新聞の記事の内容は、「雇用調整助成金」が給付されるのが遅すぎるため、会社を休ませた場合でも、緊急措置として「失業手当」をもらえるようにするという話です。

 この考え方は「みなし失業」と呼ばれます。

 本来、失業手当は、会社が倒産したり、経営状況の急激な悪化で解雇せざるをえなくなった場合などを理由に会社を辞めた人に対して雇用保険から給付されるものですが、新型コロナウィルス感染症の影響で事業者が社員・従業員を休ませた場合、これを「みなし失業」と認定し、失業手当の申請を認めるとするものです。

 この措置は東日本大震災のときも適用されましたが、それを今回も認める方向で国は動き出そうとしています。

 

 これが実現されると、会社の経営をどうするかで頭がいっぱいになっている事業者の負担が和らぐため、事業者にとっては非常に助かります。

 ただ、ハローワークに被雇用者本人が申請することになるため、この手続きをどうするかが課題になってくると思います。

 

 緊急経済対策のうちどれを採用するかは社員・従業員が決めるのではなく、事業者が決めることになります。

 このため、労働者にとっては、国の緊急経済対策のうち雇用支援についてテレビなどで取り上げられても、うちの会社の場合はどうなんだろうと、いちいち気をもんでしまいます。

 雇用調整助成金は、事業者が社員・従業員に支払った休業手当の9/10を、国が事業者に助成するというもの、みなし失業認定される失業手当は、事業者が雇用調整助成金を活用せず、みなし失業扱いにしてもらうと決めてくれなければ、社員・従業員にとってはハローワークに行くことができません。

 今回の雇用支援については、事業者にとってはわかりやすくなってはきていますが、労働者にとっては自分で決められないため、そこがもどかしい点です。

 なので、事業者はこれらの制度について知る必要があるんですが、なんせ内容が複雑でそれを理解するにはそれなりに時間を要します。

 

 緊急経済対策にまつわる雇用の問題。

 今回の新型コロナウィルス感染症は、ある意味、事業者と社員・従業員の雇用に対する意識を変えるという点で良いきっかけになると思います。

 雇用契約とはいったいなんなのか、そこら辺を起点に就業規則を読んでみると面白いかもしれません。

 

 ついでに、少し前の日経新聞で、次のような記事が上がっています。

www.nikkei.com

 民間の予想では、今後、日本で失業者が100万人を超えるかもという内容ですが、こういうことを見越すと、先ほどのみなし失業は、会社の倒産を防止するうえでとても重要な制度といえます。

 6月以降なんですかね、新しい制度の適用開始は。

 遅いのは否めませんが、救われる事業者が少しでも増えればと願います。

 

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