株式市場。大幅な下落が衝撃的でなく、単なる調整ってどういう意味?
昨晩のナスダックの急落を受け、S&Pも、NYダウも同じく下げました。
一晩明けての今日の東京株式市場。
一時的に前日比▲300円台はつけているものの、そこまでの大きな下げにはなっていません。
朝方、新聞やテレビのニュースなどでアメリカの株式市場が急落って報道がありましたが、チャートを見ると、そんなに衝撃的な下げではないということがわかります。
これは感覚的な捉え方の違いなんですが、「どういうタイミング」で、「どれぐらい下げたか」の意味はすべて異なります。
実践では、この相場感覚が案外重要だったりします。
これはナスダックのチャートですが、チャートを見る限り言うほど下げてませんよね。むしろ、コロナショックの下げの方が大幅な急落です。
慣れてくるとすぐにわかるんですが、チャートの下落幅と波形によって「下げの性質」を読み取ることができます。
昨晩のナスダック市場の下げは、
単なる「利益確定の売り」に伴う一時的な「調整」
ということができます。
なぜかというと、上昇トレンドの枠内で下げているからです。つまり、上昇波形の中で下げているので、単なる利食いで一時的に下げただけと結論付けられます。
これがさらに下落幅を広げると、トレンド転換の可能性が出てきますが、きれいにピタッと止まっているので、相場はどちらかというとまだ「上昇」を向いていると言うことができます。
利益確定の売りがなぜ出てくるのかというと高値圏にあるからです。
エリオット波動理論においては、上昇相場の波は、大きく分けて5つあります。そのうち、「第1上昇波」・「第3上昇波」・「第5上昇波」の3つが「上げ」の波で、「第2上昇波」と「第4上昇波」の2つが「下げ(調整)」の波とされます。
コロナ前の水準にまで戻した辺りから、ナスダックの波形は、大きな波で見ると「第5上昇波」に位置していて、この間の株価は高値圏にあると判断できます。
それなりに長く続いているため、どうしても高値を更新すれば利益確定の売りが出やすく、売りが出た後に上げ、売りが出た後に上げを繰り返しながら動いています。
この繰り返しの中で上昇トレンドを未だに描いているため、今回の下落は衝撃的な大幅下落ではなく、単なる調整であろうと結論付けられます。
この判断が正しいかどうかはわかりませんけどね。
可能性で考えると、そうだろうなぁといったところです。
ついでに他のチャートも見ておきましょう。
〇S&P
S&Pも急落してますよね。でも、これも調整。
〇NYダウ
NYダウは前日比▲800ドル程度の急落でしたが、「これ、下がってる?」といった印象を受けます。なので、これも一時的な調整。
〇日経平均株価指数
日経平均株価指数は、昨晩のアメリカ市場の影響を受けて下げていますが、NYダウが800ドル程度下げているなら▲400円とか、▲600円とかあってもおかしくないんですが、日銀のETF買いへの期待なのか、それとも、ナスダックがIT銘柄に偏っているため、単に下げ幅がきつくなっただけなのか、言うほど下げてはいません。
ただ、日経平均株価指数の場合は、チャートを見る限り、ある程度大きく下げるときは結構もろいので、この点は注意が必要かもしれません。
TOPIXについても下げてはいますが、波形的には比較的きれいに上を目指しているため上がりたいといったところなんでしょう。
アメリカ市場、東京市場と株式市場のチャートを見てきましたが、仮に今回の下げが「利益確定の売り」に伴う単なる「調整」である場合、もう一段、もう二段の下げがなければ、買戻しが入りやすいといえます。
ニュースの受け止め方と実際のチャートでは相場感覚にズレがあるため、この点がなんとなく理解できるようになると、資産運用はまた面白くなると思います。
それにしても、安倍首相辞任から次の首相が菅さんになる可能性が固まってきていることから、東京市場では少し安心感が戻ってきているようです。
変動要因としては、政治リスクがある程度払拭されたため、これまで通りの外部要因(米中対立・アメリカ大統領選挙・コロナにともなう景気減速懸念・金融ショック)がどうなるかに注目されてくるでしょう。
これに、株式市場が高値圏にあることから利益確定の売りが出やすい状況がもうしばらく続くと思いますが、それを下支えしているのが「過剰流動性相場」と呼ばれる「カネ余り相場」です。
大きなトレンド転換がなければ、株式市場はまだ上げ基調なのかもしれませんね。