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経済の長期低迷の意味と事業者が心得ておきたい緊急経済対策との向き合い方。

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 今日付けの日経新聞の記事ですが、FRBのパウエル議長が今後の米国経済について語っています。

www.nikkei.com

 もとより、そうだろうなと思ってはいますが、今回のコロナショックについては、実体経済の悪化の程度があまりにも深いため、これを金融面で下支えするために、リーマンショックを超える規模の金融緩和策を講じるようになりました。

 そして、アメリカでは、こちらも大規模な財政出動を図り、すでに実行に移されています。

 V字回復と長期低迷。

 このふたつの言葉は相矛盾するように思えますが、単純に順番ですよね。

 V字回復を目指すためにさまざまな経済対策を実行するけど、新型コロナウィルス感染症が完全に終息するまで、消費者心理が改善するのに時間がかかることから、パウエルさんは「景気は長期低迷するだろう」と指摘しています。

 こう考えるのは妥当ですよね。

 

 さて、日本の場合はどうなのか。

 アメリカと似たような状況になると考えるのが自然ですが、日本の場合、身近で見えている状況から推察すると、4月・5月・6月の落ち込みは1-3月期と比べると激しいと見るのが妥当でしょう。

 

 ちょうど今、某中小企業の顧問として緊急経済対策にともなう対応をしている最中ですが、とりあえず、その中身が完全にまとまりました。

 中小企業としては、

○持続化給付金(売上の補てん)

自治体による中小企業支援(千葉県の場合、家賃補償)

雇用調整助成金(雇用の維持)

○特別貸付(低利融資および無利子融資)

の4つが柱になります。

 これに加えて家賃補償についてはまだ確認していませんが、当初言われていたよりは少し充実するようになってきました。

 

 先ほどの日経新聞の記事のように、仮に日本経済も長期低迷すると考えるならば、経営者としては経済対策とどのように向き合っていく必要があるのでしょうか。

 世間では国の対応が遅すぎるといわれています。

 個人的にもそう思います。

 本来、危機管理の段階としては状況の把握と分析が必要ですが、緊急事態宣言を出したことで一気に会社経営にダメージが出てしまったため、国としてはこの手当を大規模かつスピーディに実行する必要がありました。

 しかし、国の対応が遅れてしまったため、結果として、現在、大きな経営ダメージを負ってしまった事業者が続出しています。

 事ここに及び、倒産や廃業に見舞われてしまった企業については、経済対策は何ら意味を持ちません。

 勝機を失ったため、第1段階での経済の立て直しは失敗に終わったといえます。

 ならば、緊急経済対策とは何なのか。

 5月以降、継続して事業を行ってもらうための一時的な凌ぎと考えておく必要があります。

 企業にとって、ここで重要なのは「キャッシュフロー」です。

 つまり、会社内部のお金の流れですが、中小零細企業の場合、そもそも大企業と比べると潤沢な状況ではありません。

 この部分を補うために、先ほどの支援策を活用する必要があります。

○持続化給付金(売上の補てん)

自治体による中小企業支援(千葉県の場合、家賃補償)

雇用調整助成金(雇用の維持)

○特別貸付(低利融資および無利子融資)

 「持続化給付金」は売上の補てんが目的ですが、使い道に制限はありません。

 このため、経費の支払いに活用されるケースが多いと考えられますが、中小企業では200万円、個人事業主では100万円を上限に支給されます。

 また、幣事務所の場合、千葉県内の事業者の対応を行っているため、「千葉県の中小企業支援」を活用することになりますが、この支援策の目的は家賃補償となっています。

 1店舗当たり10万円、最大で30万円までの支給です。

 「持続化給付金」と「千葉県の中小企業支援」は、中小企業の場合、会社によって異なりますが、最大で230万円が支給されます。

 この金額を活用し、当面の凌ぎにする必要があります。

 果たしてこれで足りるのか。

 さらに、同時に社会保険労務士と協力し、雇用調整助成金の申請を進めています。

 様々な報道で伝えられているように、雇用調整助成金は申請から給付までかなりの時間を要します。

 今回の緊急経済対策により要件の緩和や申請手続きのショートカットがされていますが、多くの申請数で混雑が予想されるため、事実上、給付までの時間は長めに見積もっておく必要があります。

 このように考えたうえで、日本政策金融公庫による融資ですが、緊急経済対策では売り上げの減少率によって「特別貸付」と「特別利子補給制度」を活用することができるようになっています。

 前者の金利は▲0.9%/年、後者は無利子です。

 公庫融資についても窓口が混雑している状況で、地元の商工会に問い合わせたところ、申請してから融資が下りるまでに、4月時点で、1カ月半ほどかかっているのが現状のようです。

 

 いずれにせよ、申請から給付・融資までの期間が短縮されない限り、救われない会社が増える可能性が高まりますが、このような意味でも、中小零細企業にとっては、キャッシュフロー(お金の流れ)にもとづき、資金の保有状況を把握し、資金繰り対策を立てていく必要があります。

 中小企業にとっては、5月以降、どのように生き残る手立てを講じるか。

 これが最重要課題といえますが、用意された緊急経済対策のうち、どれを活用するかで、その後に続く道が違ってきます。

①現状把握

②経営戦術の組立て

③緊急経済対策の把握

④緊急経済対策の選別と活用

⑤その後の経営状況の予測

⑥経営戦術の再構築 

 このような手順で考えていく必要がありますが、目先は「持続化給付金」と「それぞれの自治体による支援策」の速やかな申請と活用です。

 一人でも多くの事業者が生きるために、今、しっかりと考え、行動していくようにしましょう。

 

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