大学生などのお子さんを持つお父さん・お母さん。一人暮らしの大学生に最大で20万円!「学生支援緊急給付金」とは。
新型コロナウィルス感染症拡大による緊急事態宣言の影響で経済活動が制限され久しくなります。
この間、社会問題化したのが大学などに通っている生徒たちの経済的な困窮です。
国としては、原則、「高等教育等修学支援新制度(授業料等の減免・給付型奨学金)」や「貸与型奨学金」といった現行の制度を活用し、この状況に対応しようとしていましたが、より強力的に直接支援を行う必要があると考え、経済的に困窮している学生に対し「学生支援緊急給付金」という制度を5月19日からスタートさせました。
ということで、学生のみなさんは、支援制度として、
A.高等教育等修学支援新制度
B.貸与型奨学金
を検討しつつ、
C.学生支援緊急給付金
が申請できれば、活用するようにしてください。
それでは、「学生支援緊急給付金」について内容を確認していきましょう。
〇どんな内容
新型コロナウィルス感染症拡大による影響で、世帯収入・アルバイト収入の大幅な減少により、学生生活にも経済的な影響が顕著となっている状況の中で、大学等で修学等の継続が困難になっている学生等が就学を諦めることがないよう、現金を支給する。
ポイントは「現金給付」ですね。
〇いつから?
令和2年5月19日以降から順次受付スタート
すでに始まっていますので、必要な学生はなるべく早めに通っている大学などに申請するようにしましょう。
〇支給額は?
住民税非課税世帯の学生等:20万円
上記以外の学生等:10万円
住民税非課税世帯は住民税を納めていないご家庭です。この場合、支給額は20万円ですが、住民税を納めているご家庭の学生でも要件を満たせば10万円が支給されます。
それでは、要件はどのようになっているのでしょうか。
〇国内の大学等に在学している人
まず、国内の大学などに在学していることが条件です。
国内の大学等は次のとおりです。
①大学(専攻科、別科及び大学院を含む)
②短期大学(専攻科、別科を含む)
③高等専門学校(第4学年、第5学年及び専攻科に限る)
一般的には大学生をイメージするかもしれませんが、短大生でも、大学院生でも、高等専門学校生や専門学校生でも対象です。
また、それらに在学している留学生も対象となります。
特筆すべきは、休学中でも支給要件を満たせば対象になることです。
次に経済的な要件を確認していきます。
ざっくりいうと、
〇家庭から自立してアルバイト等により学費を賄っている
〇新型コロナウィルス感染症拡大の影響で収入が大幅に減少している
が基本軸ですが、細かい要件が決まっているためひとつずつ見ていきます。
①家庭からの多額の仕送りを受けていない
「家庭からの多額の仕送りを受ける」とは、家庭からの仕送り額が授業料を入れて150万円以上が目安だそうです。
ということは、家庭からの仕送り額が年間150万円未満の学生が対象になりますが、月にすると授業料を入れて12万5,000円未満の仕送りですね。
こう考えると、一人暮らしをしている学生の多くが対象になる可能性があることがわかります。
②原則として自宅外で生活をしている
つまり、一人暮らしということですが、「自宅外で生活している」とは、生計維持者のもとを離れて家賃を支払って生活している状態のことをいうそうです。
それでは、お兄ちゃん・お姉ちゃんと一緒に住んでいるとか、友達とシェアハウスしている場合は?といった疑問がわくかもしれませんが、ポイントは「生計維持者、つまり、保護者のもとを離れて“家賃を支払って”生活している」という点なので、このふたつが証明できればOKということです。
申請に当たっては、自宅外からの通学を証明する書類(例えば、アパートなどの賃貸借契約書のコピーなど)を提出するようになっています。
ただし、ここは重要なポイントなので指摘しておきますね。
Q.自宅から学校に通っている場合や家賃の負担がない場合は対象外なのでしょうか。
A.いいえ、対象となる場合があります
普通に考えたら対象外だと思いますが、次のような学生の場合は対象に含まれるそうです。
自宅生でも家庭から学費等の援助を受けていない場合は、その旨を大学等に自己申告頂くことで支給対象になります。
これすごいですよね。
家から大学などに通っていても、自分で学費を払っている学生もいると思います。
このような学生が対象から外されてしまうと困窮してしまう可能性があるため、一応、対象としては考えていますということです。
理由としては、このような学生も「自分でバイトをして学費を払っている」からですね。
③生活費・学費に占めるアルバイト収入の割合が高い
年間の仕送り額が150万円未満なので、このような学生の場合、必然的にアルバイト収入の比率は高いと考えられます。
誓約書により年間の収入や予定額を証明する必要があるため、アルバイト先に確認するようにしましょう。
④家庭(両親のいずれか)の収入減少等により、家庭からの追加的支援が期待できない
お父さん・お母さんのどちらかの収入が減っていて、ご家庭から追加で仕送りなどが受けられそうにないという意味ですね。
例えば、新型コロナウィルス感染症拡大にかかる経済支援を受けているようなご家庭では、すでに収入が大きく減っているため、提出が可能な場合は受給を証明する書類が求められます。ただし、そのような書類がない場合は、申請書に事情を記入するとなっているため、お父さん・お母さんに聞いてみるようにしましょう。
⑤新型コロナウィルス感染症の影響でアルバイト収入が大幅に減少している
アルバイト収入が大幅に減少しているとは、具体的には「2020年1月以降で、前の月と比べて50%以上減っている」という意味です。
例えば、4月のバイト代は10万円だったけど、5月は5万円になってしまったという場合です。
ただし、アルバイト収入には雇用調整助成金による休業補償が含まれるため、バイト先のお店などで休業手当(休業補償)が支払われている場合は、その金額を確認する必要があります。
アルバイト収入についてはバイト先からもらう給与明細やお給料の振込先口座で確認してください。
⑥既存制度について以下の条件のうちいずれかを満たす
1)高等教育の修学支援新制度の第Ⅰ区分の受給者
2)新制度の第Ⅱ区分または第Ⅲ区分の受給者であって、第一種奨学金の併給が可能なものにあっては、限度額まで利用している者又は利用を予定している者
3)新制度に申込みをしている者又は利用を予定している者であって、第一種奨学金の限度額まで利用している者又は利用を予定している者
4)新制度の対象外であって、第一種奨学金の限度額まで利用している者又は利用を予定している者
5)要件を満たさないため新制度又は第一種奨学金を利用できないが、民間等を含め申請が可能な支援制度の利用を予定している者
ちょっとこれは難しいですね。
要は、高等教育等修学支援新制度(授業料等の減免・給付型奨学金)や貸与型奨学金の対象者かどうかを聞いています。
必ずしもこれらの制度を利用できない学生が学生支援緊急給付金の対象にはならないということではないので、在学している大学などで確認するようにしましょう。
⑦留学生については、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、経済的に困窮していることに加えて、以下の要件を満たすことが必要
1)学業成績が優秀なものであること
※具体的には、前年度の成績評価係数が2.30以上
2)1か月の出席率が8割以上であること
3)仕送りが平均月額9万円以下であること(入学料・授業料は含まない)
4)在日している扶養者の年収が500万円未満であること
ちなみに、留学生の場合、⑥の要件は満たす必要がないため、①~⑤と⑦の確認が必要です。
そして、これらの要件を考慮した上で、経済的な理由により大学などでの修学の継続が困難であると大学などが必要性を認めた学生に対して、学生支援緊急給付金が支給されるとしています。
要するに、大学などに学生支援緊急給付金が必要だと認められれば良いということです。
最後に申込みの流れです。
①必要書類の作成・提出
②大学等での審査
③審査結果を大学等から日本学生支援機構(JASSO)へ提供
④日本学生支援機構(JASSO)から学生等への振り込み
申込みに当たっては、学生にとっては①「必要書類の作成・提出」を行う必要があります。
あとは、大学などと日本学生支援機構(JASSO)との話なので、審査終了後は学生支援緊急給付金が指定した口座に振り込まれるのを待つという流れです。
この制度の仕組み(スキーム)は下の図のようになっています。
このようなイメージで理解するとわかりやすいかもしれません。
※「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』申請の手引き(学生・生徒用):文部科学省
※「学びの継続」のための『学資支援緊急給付金』~学びの継続給付金~:文部科学省
5月19日から申請の受付がスタートした「学生支援緊急給付金」。
特に一人暮らしをしている学生にとっては、要件に当てはまる人が多いと思います。
自分が該当すると思ったら、なるべく早めに申請するようにしてくださいね。