大学の一部無償化。2020年4月から始まる「高等教育の修学支援新制度」ってなに?
2019年10月から消費税が10%に上がる。
でも、それを財源として、2019年10月からは「幼児教育・保育の無償化」が、2020年4月からは「高等教育の修学支援新制度」が始まる予定。
消費税率を引き上げたら、景気が悪くなる。
その代わり、このふたつの支援制度ができるから、それを考えたら・・・。
どういうふうに、気持ちの面で折り合いをつけていけばいいんでしょうね。
ということで、今回は、2020年4月から予定されている「高等教育の修学支援新制度」についてお伝えしていきます。
まず、手始めにこの動画をどうぞ。
文科省の「高等教育の修学支援新制度」のサイトでアップされている動画です。
この制度の専用サイトはこちら。
高等教育の修学支援新制度は、大学や短大、専門学校など、いわゆる高等教育に進学する学生が経済的な理由で進学を諦めてしまわなくても済むように、学費などをサポートする制度です。
実を言うと、数年前から一部始まってはいるんですが、リニューアルということで「新制度」と名付けられています。
柱になるのは「授業料等減免制度」と「給付型奨学金」のふたつです。
文科省に概要を簡単にまとめたものが掲載されているので、それを見て確認していきましょう。
まず、支援の対象となる学生をチェックですね。
住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の「学生」です。
こういう制度って、勘違いされやすいんですが、親などの保護者が対象じゃなくて、あくまでも学校に通う学生である子どもたちが対象です。
幼児教育・保育の無償化も、対象は子どもたちですよね。
それと同じです。
ただ、どんな学生?と思ったら、「住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯」ということで、簡単に言うと、所得が少ない家庭環境にいる学生ってことです。
だから、国にとっては人的投資という位置づけなんですね。
経済的に貧しくても、条件を満たせば、誰でも高等教育を受けることができる。
お金を借りなくても大学などに通える学生がこれまでよりも増えるという点で良い試みだと思います。
それでは、ひとつずつ、簡単に内容を見ていきましょう。
〇授業料等減免制度
授業料減免制度は、国公立・私立によって異なりますが、要するに、条件を満たせば、入学金と授業料の一部がオマケされるという制度です。
オマケと言うと少し語弊があるので、減免ということで、減らしてもらえるってことですね。
たとえば、こんな感じです。
昼間制の国公立大学では、減免の上限額が、入学金では約28万円/年、授業料では約54万円/年になっています。
私立大学の場合はというと、入学金が約26万円/年、授業料が約70万円/年です。
これ、結構、大きいんじゃないでしょうか。
この金額は、住民税非課税世帯のご家庭などの場合ですが、先ほどの対象要件では、「それに準じる世帯」の学生というのがありました。
この意味は、年収の目安でいうと「年収約270万円未満」が住民税非課税世帯で、それを超えると「年収約270万円以上約300万円未満」、「年収約300万円以上約380万円未満」と、年収区分が3つあります。
それが下の図です。
住民税非課税世帯の減免額を基準に、各年収区分によって、減免額が「2/3」、「1/3」と段階的に減っていくようになっています。
ここがポイントですね。
次に給付型奨学金について見ていきましょう。
〇給付型奨学金
これについては、数年前に新しく始まった奨学金制度です。
これが始まる前までは、奨学金と言うと「返還」するものでした。
つまり、お金を借りて、卒業したら返還する必要がありました。
このような奨学金を「貸与型奨学金」といいますが、給付型奨学金ができたことにより、要件を満たせば、大学などの学費をもらいながら勉学に励めるようになっています。
新たな制度では、この「給付型奨学金」の要件を緩和し、減免制度と同様、より広く対象者を広げている点がポイントです。
支援の金額はどうなってるんですかね。
こうなってます。
昼間・夜間の大学を見てみると、国公立では、自宅生が約3万円/月、自宅外では約7万円/月となっています。
私立では、自宅生が約4万円/月、自宅外で約8万円/月です。
国公立と私立の差が約1万円/月ってのはどうなんだろうと思いますが、減免制度と違うのは、毎月という点です。
減免制度では「年額」でしたが、新たな給付型奨学金では「月額」となっています。
そう考えると大きいですよね。
同じく、年収区分があるので、それも確認しておきます。
考え方は同じですね。
住民税非課税世帯を基準に、年収に応じて、2/3、1/3と減っていくようになっています。
ただし、「学業や人物に係る要件」っていうのがあります。
簡単に言うと、ちゃんと勉強しなきゃダメだよってことです。
特徴的なのは、このうち、一番下の部分です。
高校在学時の成績だけで判断せず、高校側が、レポートの提出や面談などで、本人の学修意欲や進学目的なんかを確認するとなっています。
これまでは高校が推薦をして、人数も決まっていたため、これについても緩和されるってことですね。
高等教育の修学支援新制度。
国の言う「人的投資」という意味では良い制度だと思います。
しかし、一方で、消費税が上がるため、景気が悪化し、家計が冷え込む恐れも出ています。
話が振出しに戻りますが、このバーターをどう捉えればいいか、FP事務所としては、内心、微妙な気分です。
今回は、いわゆる大学の無償化、これは、正確に言うならば、大学の一部無償化、について取り上げましたが、これから大学を目指しているお子さんがいるご家庭で、経済的に厳しいかもしれないという場合は、一度、調べてみるいいと思います。
お子さんの将来のために。