教育資金と進学資金。似て非なる子どものお金。
教育資金については、日々の暮らしの中で準備していってください。
でも、進学資金についてはちゃんと貯めていきましょう。
実務では、お子さんにかかるお金について、こんなふうにアドバイスしてる。
ざっくりいうと、
・教育資金と進学資金の違い
・高等学校等就学支援金について
・私立高校授業料免除制度について
・まとめ
教育資金と進学資金の違い
なんでかっていうと、「教育資金」は子どもが基礎学力を身につけるためのお金で、「進学資金」は子どもが高等教育(大学など)を受けられるようにするためのお金だからだ。
一般的には、なんかごっちゃになってるんだよね。
教育資金は、本来、義務教育課程で必要な学校内教育費(入学金や授業料など)と学校外教育費(習い事や塾にかかる費用)を指す。
だから、義務教育課程を過ぎてもなお学ぶために準備するのが進学資金ってことなんだけど、たとえば、大学への進学、専門学校なんかに行くためのお金が進学資金ね。
留学資金や大学院へのお金なんかも進学資金に当てはまる。
んじゃ、高校のお金は?
高等学校等就学支援金制度
今じゃ、「高等学校等就学支援金制度」っていうのがあって、高校は義務教育じゃないのに、経済的にはほぼ義務教育みたいになってる。
民主党政権の頃にさ、「公立高等学校授業料無償制」と「高等学校等就学支援金制度」っていうのができたじゃん?
このふたつをひとつにまとめて「高等学校等就学支援金制度」って形で2014年4月から新制度が始まった。
ちょっと内容を見てみる。
家庭の教育費負担を国が支援する制度なんだね。
制度の趣旨を見るだけでも、経済的には、高校はもはや進学の場じゃなくなってる。
もちろん貸与奨学金じゃないので、返す必要はない。
んじゃ、次。
どんな子がもらえるの?
月の始めに高等学校や専修学校高等過程等に在籍している者。
注意点は、保護者等の市町村民税所得割額が30万4,200円以上の子どもは支給されないってことね。
これが所得制限ってやつ。
保護者等の定義は「親権者」って意味だよ。
ちなみに市町村民税の所得割額っていうのは、住民税のうち所得に応じて課税される部分ね。
んじゃ、30万4,200円ってどれぐらいの年収なんだろ。
だいたい年収910万円ぐらい。
この年収も親権者の年収でのカウントね。
たとえば、共働きの場合、夫婦の年収を合算した金額が910万円程度って意味ね。
ほんじゃ、次。
支給方法。
支援金は、生徒や保護者が直接受け取るわけじゃない。
まず、国が都道府県に就学支援金を交付する。
で、それを受け取った都道府県が高校に支給し、申請書を提出した生徒に対し授業料を相殺するってスキームになってる。
ここでの注意点は、「授業料>就学支援金」の場合、差額分を授業料として保護者等が納めることになってる。
これについては、あとでもう少し詳しく見ていくよ。
ちょっとめんどいけど、手続きの話ね。
申請手続きは4月なんだね。
入学したとき。
このタイミングで申請して、届出は毎年6月~7月頃にする。
ポイントは、いずれも「課税証明書」を忘れず添付すること。
じゃあ、就学支援金はいくらぐらいなの?
◎子どもが私立高校に入学した場合の高等学校等就学支援金
これは、高等学校等就学支援金制度と千葉県内の私立高校授業料減免制度をもとに作成した表なんだけど、緑色の表が高等学校等就学支援金。
所得制限があるから市町村民税所得割額が30万4,200円未満のご家庭じゃないと対象にはならない。
年収910万円以上は対象外。
ケース①~ケース⑤までの各段階で就学支援金が決まってるんだね。
だいたいケース③のご家庭が多いと思うんだけど、この場合、就学支援金は月14,850円(=月9,900円×1.5倍)になる。
ちなみに月9,900円って金額は、公立高校の年間授業料11万8,800円を12ヵ月で割った金額ね。
これを基準にして、ケース⑤・④は1倍、ケース③は1.5倍、ケース②は2倍、ケース①は2.5倍って感じで就学支援金が段階的に増えていく。
ここでのポイントはこれ。
高等学校等就学支援金月額9,900円
=公立高校の年間授業料:11万8,800円 ÷12ヵ月
お子さんが公立高校に通う場合、年間の授業料が11万8,800円、月額の授業料が9,900円。
つまり、この金額がそのまま高等学校等就学支援金になっているため、公立高校の授業料は実質無償化されている。
私立高校授業料免除制度
ついでに私立高校に通う場合も見ておこ。
私立高校にお子さんが通う場合も、もちろん高等学校等就学支援金が対象になるんだけど、私立って公立よりも授業料高いよね。
私立高校授業料>公立高校授業料。
こういう場合は、私立高校の授業料から高等学校等就学支援金を差し引いた金額だけ授業料を納めればいい。
それでも私立高校の授業料って家計にとっては負担が大きい。
そこで、都道府県ごとに「私立高校授業料免除制度」が設けられてる。
対象者は高等学校等就学支援金制度と若干異なる。
千葉県の私立高校授業料免除制度で見ていこう。
対象者は1号~5号までの5つのタイプ。
特徴的なのは4号で罹災したご家庭だね。
じゃあ、免除される金額を確認するよ?
1号と2号は「授業料から高等学校等就学支援金を差し引いた金額」、3号・4号・5号は「授業料の2/3から高等学校等就学支援金を差し引いた金額」が免除額なんだね。
たとえば、1号の場合、授業料が月3万円、高等学校等就学支援金が月2万4,750円なら、免除額は5,250円。
市町村民税所得割額が15万4,500円~17万4,500円未満のご家庭で3号に該当する場合、授業料:月3万円の2/3の金額から高等学校就学支援金:月1万4,850円を引いた5,150円が免除額になる。
ケースごとの免除額は下の表のとおりね。
◎子どもが私立高校に入学した場合の高等学校等就学支援金、千葉県内私立高校授業料免除額、保護者負担額
さて、気になるのは、私立高校に通う場合の親御さんの授業料負担額。
これについても見てみよう。
この表では、高等学校等就学支援金と私立高校授業料免除額が考慮されてるけど、たとえば、毎月の授業料が3万円だとすると、ケース③のご家庭の場合、
保護者の負担額
=授業料:月3万円−就学支援金:月1万4,850円−免除額:月5,150円
=月1万円
になる。
ケース③の場合、私立高校の授業料免除制度のもとでは、対象者が3号・4号・5号のいずれかになるため、授業料の2/3の金額である2万円から高等学校等就学支援金:1万4,850円を差し引いた金額:5,150円が私立高校授業料免除額になるっていうのはさっき見たね。
この免除額と高等学校等就学支援金を授業料から差し引いた金額が親御さんの授業料負担額になる。
ケース③に該当するご家庭が多いと思うけど、この場合、私立高校の授業料は実質1万円になるんだね。
まとめ
ちょっとまとめる。
高校の授業料は、
①高等学校等就学支援金制度
②都道府県ごとの私立高校授業料免除制度
が活用できるため、
条件に当てはまれば、
授業料負担は、かなり多くのお世帯で
A.公立高校の場合、0円。
B.私立高校の場合、大幅に軽減される。
だから、「高校授業料実質無償化」っていうんだね。
ただし、これらは授業料に限ってのことで、入学金や私立高校の施設管理費、積立金なんかは該当しない。
なので、注意してね。
話を冒頭に戻すけど、こんなふうに高校の授業料を見ていくと、高校にかかるお金は、ほぼ進学資金じゃないんだね。
だってさ、国の支援かなり充実してるじゃん?
ってことは、高校行くの当たり前ってことじゃん?
んじゃ、ほぼ義務じゃん。
義務なら基礎学力を身につけるのが目的なんだから、高校にかかるお金は教育資金ってことになる。
だから、教育資金と進学資金はちゃんと分けて考えようってことなんだよね。
高校の授業料実質無償化は経済格差から始まってる。
今議論されてる保育や幼児教育、大学(高等教育)の無償化も含めれば、確かに家計にとっては負担が減る。
FPとしては、教育や進学については金銭的な部分で考えておけばいいのかもしれないけど、ホントはお金じゃないじゃん?
子どもたちのためにどんな教育環境を整えるかってことだと思うんだけど、それが見えないんだよなぁ。
勉強と学問の違い。
自分も含めて大人がもう一度考えていく必要があると思う。