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米国株上昇! 日経平均株価指数も上昇!? 日経平均株価指数、上昇の目処は?

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 日経平均株価指数、今日の動き、どうなるんでしょうね。

 昨晩のアメリカ株式市場が大幅反発だったので、日経平均株価指数もこの影響を受けて大きく上げることが予想されますが、どこまで値を上げることができるのか。

 今晩、FRBFOMCで0.25%の利上げを発表すると思いますが、トレンドがどちらの方向に傾くかについて考えていきたいと思います。

 

 昨晩の米株式市場の大幅上昇の起点はアメリカにおける2月のPPIの結果です。

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※世界の株価と日経平均先物

 

 PPI(Producer Price Index)は日本語では卸売物価指数と訳されますが、生産者物価指数とも呼ばれます。これに対してCPI(Consumer Price Index)という指標がありますが、消費者物価指数という指標があります。

 前者は、どちらかというと経済の川上における物価指数、後者は川下における物価指数という位置づけです。

 PPIは企業活動における物価がどうなっているかを示すものですが、2月の結果は前年同月比で10.0%の上昇となりました。予想値も10.0%であったため予想通りといったところですが、前回1月と比べると0.3%上昇したということになります。

 一方、前月比を見ると、前回1月と比べ0.2%低下し0.8%となっています。

 つまり、1年前の同じ時期と比べると卸売物価指数は高くなっていますが、前の月と比べると下がっているため、インフレの傾向としては少し落ち着いてきているということがいえます。

 また、コアPPI、これは食品価格やエネルギー価格を除いたものですが、こちらについても同様の傾向が見られ、いずれにせよ、アメリカにおいてはインフレが少し緩和されつつあるということができるでしょう。

 

 物価が高い状況は依然として続いてはいるんですが、少しずつ上昇のペースが落ちてきているというのが「インフレ懸念の後退」につながり、昨晩の米株式市場の上昇を引き起こしました。

 実際、WTI原油も1バレル=95ドル台にまで下落しているため、これも株式市場の戻り材料にはなっています。

 株式市場にとっては、

インフレが終息する

こと、これが目下の最大の関心事ではあります。

 

 物価が下がると何が良いのかというと、企業活動にとってはコストが下がるためプラスに働きます。また、家計の消費活動にとってもモノの値段が安くなるため負担の抑制につながります。

 比較対象は異常なまでのインフレなわけですから、今よりも物価が下がるとなると、企業にとっても、家計にとっても、良いことづくめなわけです。

 

 ただ、依然として高いインフレ水準にあることは間違いありません。

 このため、いよいよFRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)は今晩開催されるFOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)において、アメリカの政策金利であるFF(Federal Funds)レートをこれまでの0.00%~0.25%幅から0.25%~0.50%幅の水準に引き上げることになります。

 なぜ25bp(basis point)の利上げかになるかというと、ウクライナ情勢による景気減速懸念が台頭する中で、流石に50bpの利上げは好ましくないだろうとの配慮があるからです。

 少し前までは、特にウクライナ情勢が悪化する前までは50bpの利上げもありうると市場は予測していましたが、その後、50bpも金利を上げたら景気にとっては良くないとFRBは判断するに違いないということで、最近では25bpの利上げで市場予想が固まっています。

 

 こういった背景がある中、先ほどのPPIの若干の鈍化が発表されました。

 つまり、物価の上昇ペースが鈍くなっているため無理して利上げを急がなくても良いとFRBが判断するだろうというマーケットの思惑がより強化されたというわけです。

 そうなると、株式市場はこんなふうに思います。

利上げのペースが遅くなるなら、今のうちに株式をじゃんじゃん買っておこう!

 金融相場が終わり、これまで続いてきた下降局面は業績相場に移行する前段階であるとするならば、これから株式市場は業績相場にシフトしていきます。

 この業績相場が終わるまでは「株式は買いだ!」という判断を投資家はするため、今のうちに行けるところまでは行こうと考えるわけです。

 

 このような連想ゲームが昨晩の米株式市場で繰り広げられていたわけですが、こんなのある程度投資に慣れている人じゃないとわからないですよね。

 でも、この理屈がわからないと、そもそも投資の世界では通用しなかったりします。

 今のマーケットは、非常に良い学びの機会を提供してくれています。こういう時期にさぼってしまうと真の実力は身に付かないため、なるべくなら歯を食いしばって情報を探りながら学ぶようにしていってください。

 

 さて、日経平均株価指数のチャートを見ていきます。

 

日経平均株価指数(日足)

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※TradingView提供

 

 日経平均株価指数の日足チャートです。

 日経平均株価指数は2021年9月高値をピークに下降局面に入っていますが、ここから反転上昇するかといった状況です。

 問題は、昨晩の米株式市場の反転上昇を受けて、日経平均株価指数がどこまで上昇するかということですが、チャート上にある矢印がその軌道に当たります。

 あくまでもイメージですので、必ずそうなるという意味ではありません。

 上値の目処としては、まず、26,000円水準が挙げられるでしょう。

 これは26,000円を奪還するかどうかという強いメッセージが込められた水準です。

 この水準は、一目均衡表における雲の下値水準でもあるため、候補として挙げられてくるでしょう。

 ここを突破すると、次は26,700円水準ですかね。

 一目均衡表における雲の下値水準に加え、50日単純移動平均線が下に降りて来る水準です。

 その前に26,500円の節目水準が立ちはだかりますが、ここを抜けてからの26,700円を意識という意味で捉えておくと良いかもしれません。

 その次がいよいよ27,000円水準ですが、心理的に大きな節目であり、かつ、50日単純移動平均線の現在値に近い値であるため、ここら辺までは見ておいてもおかしくはないでしょう。

 

 チャートでは、緑色の点線矢印と緑色の点線でない矢印を引いていますが、戻りが強いシナリオが前者、戻りが弱いシナリオを後者としています。

 現時点では、個人的には後者で考えていますが、ウクライナ情勢が終わっていない、ロシアへの金融・経済政策がそれなりに長く続く、ヨーロッパ経済の悪化、中国の深センにおけるロックダウンなど、中・長期的にはネガティブな相場要因の方が強いため、日経平均株価指数の戻りは弱いのではないかと考えています。

 このため、短期的には株式市場は好転するものの、再び24,000円を目指す可能性も見ています。

 

 でも、念のため、保有していた日経平均株価指数のインバースETF手仕舞いしました。10.0%程度利が乗ったので良しとします。

 すでに原油ETFは売っていて、今回、日経インバースも利益確定しましたが、さて、これからどうするか。

 ポイントはやはり金なんですよね。

 個人的には株式市場は業績相場に移行するのではなく、リセッション(景気後退)相場になる可能性を探っているんですが、まだ買い場ではない。

 金の買い場が訪れる条件は、おそらく、米10年物国債利回りの下落にあると思うので、この辺を注視していきたいと思います。

 なんか、矛盾しているように思いますよね。アメリカが利上げするのに国債の利回りが下がるだろうって予測しているわけですから。

 そこが投資の面白いところです。

 もしかしたら、追々、この辺の話をすることがあるかもしれません。でも、それはまだ少し先の話。

 

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