原油相場の急騰が私たちの近い未来に投げかけるもの。
WTI原油が今日の夕方ぐらいから急騰し始めてますね。何日か前に高値で1バレル=100.50ドルをつけたんですが、その日のローソク足は上ヒゲの非常に長い陽線で、引けにかけて値を随分と戻しました。
それが今、大陽線で1バレル=100ドルを刻みに行っています。
これ、ものすごく重要な動きなので、今回はこれについて話をした上で株式市場について見ていきたいと思います。
原油が急騰しているのは、おそらく、ロシアがSWIFTから外されるということからなんでしょう。
ひょっとしたら、今後、数カ月間、原油の需給が逼迫し、しばらく供給不足が続くだろうという懸念がマーケットにおいて本格的に台頭してきたということなんだと思います。
原油のチャートを見てみましょう。
※TradingView提供
2020年、新型コロナ感染症の拡大を受けて原油価格は急落しましたが、その後、大きく持ち直し、今では1バレル=100ドルに迫る勢いになっているのがわかります。
テクニカル的にはカップ・ウィズ・ハンドルという波形になっているため、「たぶん、まだ上がるよね」というのがコンセンサスのように見えますが、上値の目標値としては1バレル=114ドルに到達することもあり得るところまで来ています。
当然、家計的には今後、様々な場面でコストプッシュに見舞われると思いますが、原油相場の動向をある程度観察しているだけで予期できたことといえます。
さて、原油の急騰に伴い、その他の市場が影響を受けながら動いていますが、その状況を一覧表で見てみましょう。
記事を書いている間にWTI原油先物が1バレル=100.27ドルと大台に乗りましたね。これは、近年では2014年以来の出来事です。
原油の他に注目すべきはアメリカの10年物国債利回りですが、こちらも一気に急落しています。1.726%です。
今日は1.8%台で推移していたため、「おぉ、下げたね」という感じです。
そして、次に見るべきポイントはアメリカの株式先物市場です。ダウ、S&P、ナスダックともに下落しています。
この3つから言えることは何かというと、景気後退局面を強く意識してきたということです。
その前から債券市場では国債が買われていたので、「債券サイドは景気後退を織り込んできたな」と思っていましたが、今のように原油価格が急騰したとなれば、なお一層、景気後退が意識されるのは当たり前のことといえるでしょう。
原油価格が上昇すると、企業活動や家計消費などに幅広く影響を及ぼすため、先行きの経済が悪化するのは容易に予測がつきます。
だから、今、株価が下落しているんですね。
さて、今後の株式市場の注意点というか、シナリオ上のポイントについて考えてみましょう。
①ロシアがSWIFTから除外されることによる具体的な影響は?
②株式市場の本質的な下落要因は、遅かれ早かれ「景気後退(リセッション)」
③米10年物国債利回りが急低下しているため、3月のFOMCではFFレートを引き上げない?
④ただでさえ、アメリカのインフレ率が7.5%と非常に高い水準にあるにもかかわらず、原油高が続くならば、株式市場の反転は景気後退を通過してからになる?
⑤つまり、今起こっている株式市場の調整局面(金融相場終了後の調整局面のこと)はさらに深まる?、そして長引く?
⑥FRBは完全に金融引き締め政策に転換できない?
⑦ということは、物価が頭打ちする気配が見えてくると、株式市場は爆上げする?
⑧ここが業績相場?
こんな感じです。
上昇しているのは原油だけでなく、大豆や小麦、トウモロコシなどの穀物、金や銀などの鉱物もです。
こちらが潔い気持ちになれるほど見事なまでに上がっていますが、この上昇の影響は計り知れないものがあります。
そのうち、オイルショックみたいにトイレットペーパーを買いに走る人が出るんですかね。今のうちに買って、転売すれば儲かるかもしれないですよね。まぁ、そんなことはしませんが。
さぁ、どうなるか。
マーケットの注目は原油などのコモディティーにすでに移っていますが、ここを起点に米10年物国債利回りと株式市況を見ていくと、今後の相場の本質が見えやすくなるかもしれませんね。