コロナはどこ吹く風の株式市場。日本株の次の買い場は9月中旬の下値?
日経平均株価指数がコロナショック後の最高値を更新しています。
チャートのシナリオを更新しておきますので、ご確認ください。
(1)シナリオの意味
〇ポジティブシナリオ
c波)現在進行中の上昇相場はいったん頭打ちする。
d波)その後、調整局面に入る。
e波)再び上昇し、コロナショック後の戻り相場は終わりを迎える。
このシナリオは「ポジティブシナリオ」ですが、おおよそ10月の上旬までは「上昇トレンド」を描いています。
〇上昇トレンドが終わったら?
それまでの戻り相場(上昇局面)に対する調整(修正a・b・c波)として「下降トレンド」入りする。
コロナショック後の戻り相場に対する反動が表れると思います。
この段階ではいったん「下降トレンド」入りするため、再び大きな買い場を探る展開になるでしょう。
2020年の終盤は、どちらかというとこの流れの可能性が高いため、年内は最終的に下げて終わるような気がします。
しかし、2021年に入り反転上昇し、力強い上昇相場が訪れることでしょう。
とりあえず、日経平均株価指数はこんなふうに考えています。
他にも2つほどシナリオを描いていますが、上記シナリオと比べ、早く上昇相場が終わるか、遅く終わるかの違いです。
なので、日経平均株価指数については、当面、このシナリオに基づいて考えていきます。
(2)補足:他の相場の状況
株式市場については、
②S&P
③NYダウ
の順でコロナショック後の高値を更新しています。
特にNASDAQとS&Pは、すでに史上最高値に達し、NYダウが出遅れている状況です。
これは、単にGAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)株の影響が強い順に切り上がっているだけですが、ある意味、コロナ禍において収益性が高いだろうと予想される銘柄にマネーが集中していることを物語っています。
日本株についても似たようなことが言えますが、JASDAQ、TOPIX、日経平均株価指数の順番で切り上がっている状況です。
なので、NYダウも、日経平均株価指数も、もう少し上げることが考えられますが、この辺でいったん利食い(利益確定の売り)し、次の局面に備えていく方がいいかもしれません。
ヨーロッパの株式指標(イギリス・フランス・イタリア)も一応確認しましたが、ドイツを除いてコロナショック後の底値からおおよそ「半値戻し」しかしていないため、現状でいうと、そろそろ「下押し圧力」がかかってくるだろうと考えています。
中国株では、上海、深セン、ハンセン指数がありますが、現在は「もみ合い相場」で、どちらかというと、今後、少し上がった後に急落する可能性が見て取れます。
オーストラリアやニュージーランドも似たような動きです。
このため、株式市場においては、直近ではまだ上昇、その後、調整といったところでしょうか。
株式市場も重要ですが、他の市場についても併せて確認しておきます。
原油市場は特徴的な動きをしています。
コロナショック後は戻り相場となっていますが、その波形が「弓なり」というか、「釣り竿」というか、しなった動きを示しています。
これは、一般的には「上昇相場が煮詰まっている」ことを表しているため、貯まったエネルギーが爆発すると急落する波形ですが、まれに急上昇することがあります。
コロナショック後の相場は、特に「カネ余り」相場であるためマネーが原油市場にも流れ出しているわけですが、さらにマネーが向かうかどうかが焦点になるでしょう。
〇金
金については、史上最高値を更新し、直近では軽い調整が入っている状況です。
波形的にはもう一段の上げが予想されますが、こちらも「カネ余り相場」の結果として上げ続けているため一定の水準までは許容されるように思います。
ただ、上げ過ぎているため、その後もまだ上がるかどうかは正直不透明です。
ガス抜きが必要ではないでしょうか。
〇米国債10年物利回り
米国債10年物利回りはコロナショックに伴い一気に急落しているのがわかります。
そして、いったん落ち着きを見せた後は「斜行三角形」と呼ばれるエネルギーが溜まりやすい形を見せています。
長期金利が(10年物国債利回りのこと)が下落しているのは、アメリカの資金供給量が膨大であるためですが、米国債が買われた結果でもあります。
これがいわゆる「安全資産への資金回避」として有事の金買いと並び評されますが、こちらについても「カネ余り相場」の意味合いが含まれています。
かなり低水準に達しているため、金利(≒10年物国債の利回り)が上昇しだすと、株高が同時に発生するため、10年物国債の利回りについても重要な指標といえます。
〇ドル・円
ドル・円相場については、なかなか難しいというのが正直なところです。
セオリー的にいうならば、コロナショック後は「米ドルの供給量>日本円の供給量」なので「円高・ドル安」圧力が高まりやすいですが、ドル・円は2016年の終わりから「ボックス相場」を形作っているため、当面、このレンジ内で揉み合うことが予測されます。
現在のところ、ドル・円拮抗ともいえますが、トレンドとしては「円高・ドル安」の流れの中にあるようです。
〇ユーロ・ドル
ユーロ・ドルについては、リーマンショックの前にユーロが史上最高値を着けて以来ずっと「ユーロ安・ドル高」局面が続いています。
コロナショック後は「ユーロ高・ドル安」に一気に振れていますが、ドル・円と併せて考えると、現状では日本円とユーロが米ドルに比べると高い、つまり、ドル独歩安の動きとなっています。
これはどちらかというと「カネ余り」現象であるため、これを見るだけでもマネーがリスク資産をもとめてさまよっていることがわかります。
(3)ファンダメンタルズ
ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は、今のところ良好といえるかもしれません。
米国債10年物利回りが下落し、ユーロが買われ、金が高値圏を目指す状況がもう少し続くと見ることができます。
カネ余り相場ですね。
これに伴い株式市場では上げ圧力が消えないため、上昇の余地はまだありそうです。
ただ、ファンダメンタルズとしての爆弾が、
〇米中の対立激化
〇金融ショック
であるため、このリスクが見えだすと一時的なマネーの逆流が起こるでしょう。
個人的にはGAFAM株の利食いが反転下落のきっかけのような気がしますが、株式相場自体、アメリカ・日本・ドイツにおいて高値圏にあるため警戒は必要です。
(4)まとめ
というわけで、これから秋相場に入っていきます。
株式市場としては、前述したシナリオをもとに予測していきますが、9月の中旬ぐらいで買い場が来るような気がします。
シナリオが正しければの話ですが。