日経平均株価指数はバブルになるのか、それとも長い目で見て下落していくのか。超長期シナリオで考えてみよう。
日経平均株価指数が29年ぶりの高値をつけた!ってニュースが流れてますけど、29年前といえば、株式市場のバブルが弾けてから2年後の話です。
バブルってなに?っていうと、株式やら、不動産やらの資産市場が実体経済と乖離して上がり続けることですが、あの時、日銀が資産市場の過熱を抑え込むために金融引締政策を実施しました。
その結果、日経平均株価指数は天井から一気に急落し、その効果が実体経済にまで及んでしまったため、この国は失われた30年という不遇な経済史を刻んでしまいました。
バブル崩壊後、日経平均株価指数はリーマンショックを経て底値をつけました。
その後、2013年からアベノミクスが始まり、株価は右肩上がりで上昇し続け、2018年1月に高値をつけたことでアベノミクス相場は終わりを迎え、コロナショックを経て現在に至っています。
ここからが問題です。
日経平均株価指数は、長期的に見てどのような軌跡を描いていくのか
どう思います?
①「米中の対立により世界経済が混沌としていく中、株なんて上がらないよ」と思う人もいるかもしれません。
②「日本の場合、人口が減少していくんだから経済成長なんてするわけがない」と思う人もいるでしょう。
また逆に③「今回の新型コロナウィルス感染症に伴う経済対策で大規模な金融緩和を行っているおかげで、株式市場は今後も上昇を続けるだろう」と考える人もいるでしょう。
①は「地政学リスク」、②は「国内経済」、③は「金融政策」に着目した予測ですが、どれも可能性のあることですよね。
資産運用の長期予測は人それぞれですが、長期投資を行う場合、こういった経済史のストーリーをある程度自分なりに描いたうえで実践していく必要があります。
じゃないと、わけわかんないですよね、どこに進んだらいいのか。
軸が必要なわけです。
自分が「そう思う」ということをある程度試してみて、正しければそれで良しですし、間違っていれば臨機応変に修正すればいいだけの話です。
なので、長期的にこうなるってことで型にはめてしまうのが一番良くないんですが、世間一般に言われている長期投資は多くの人があまり深く考えずに行ってしまうため、結果として、考えた上で型にはめて身動きが取れなくなる人と同じになる可能性があります。
こういうのは避けたいものです。
その上で、日経平均株価指数がどうなるかです。
○日経平均株価指数
日経平均株価指数はここ数日の爆上げで、ついにチャート上の赤色の線である強力な上値抵抗線を比較的たやすく突破してきました。
この上値抵抗線を大きく突破するかどうかが今後のトレンドを左右する分岐点になると考えていますが、ひょっとしたら日経平均株価指数は長期的に右肩上がりで上昇し続けるかもしれません。
その場合の理由は、
超大規模金融緩和の長期継続
ですが、すでに株価は実体経済を伴わずに上昇し続け、バブルの様相を呈しつつあります。
資産市場と実体経済の大幅な乖離がバブルという現象であるならば、そのエンジンに火をくべるのが超大規模金融緩和でもあるため、「超」長期スパンで考えると株式や株式型の投資信託に資金を投じ続けるのは正攻法といえるかもしれません。
個人的には、一応、これを超長期ポジティブシナリオと位置づけていますが、その過程で歴史を左右する大きな調整局面が訪れることも忘れてはいけません。
このため、長期的な見通しの型にはめこまず、状況によって臨機応変に対応していくことが求められます。
直近ではそろそろ大きめの調整が入るように思われますが、それが済んだらまた上がっていくだろうと考えています。
一方、超長期ネガティブシナリオも描くことはできます。
これは先ほど挙げた米中対立の激化に象徴されるような地政学リスクの顕在化や人口減少に伴う国内経済の縮小などですが、これらについては実体経済へのダメージは大きいものといえるでしょう。
米中対立の激化が起こるかどうかは、アメリカのバイデン次期大統領の対中政策次第ですが、中国に対し安全保障や人権、環境政策などで厳しい態度を取る場合、大きく揺さぶられる可能性はあるでしょう。
また、国内経済ですが、超高齢化と少子化による人口減少社会に対して「持続可能な社会の構築」を標榜している日本の場合、すでに人口が減少していくことを前提とした社会政策が執られており、経済政策としては「生産性向上」や「働き方改革」、「規制緩和」など、産業のあり方や企業経営のあり方、労働のあり方といった価値観の変化を促すような施策が実行されてきています。
この結果、実体経済がどのようにプラスに作用するかは未知数ですが、社会に共通の価値観が成立するまでには相当の時間がかかるため、実体経済が本当のところどうなるかはまだよくわかりません。
むしろ、コロナを収束させ、デフレから脱却し、その後に実体経済がどうなるかという道筋であるため、消費税率が10%の状況の下、将来への社会不安、特に老後の生活に対する不安が払しょくされにくい状況で、どこまで実体経済の回復が期待できるかを考えておく必要があります。
そういうことを含めて考えると日本経済はどうなるか・・・。
あまり成長しないよねと考える人は超長期ネガティブシナリオを描くのもいいかもしれません。
ただ、繰り返しになりますが、資産市場と実体経済はもはや並走しえません。
その理由は超がつくほどの大規模金融緩和政策を長きにわたって実施せざるを得ない状況が続くからです。
ということはつまり、実体経済の回復はなかなか進まないものの、資産市場は右肩上がりになりやすい可能性を見ておく必要があり、結果として、資産運用をしていて良かったと思う10年後、20年後が来るのかもしれません。
もう一度、念押しでいうと、おそらく何も考えずとも右肩上がりで資産市場は上昇していく可能性は高いかもしれませんが、100%そうとも言い切れないため、よく考えて臨機応変に資産運用をしていった方がいいのは自明の理です。
わからないでもいいんですが、資産運用を国が推奨しているといえども、実行するのは自分です。
資産運用は自己責任の世界であるため、最悪、失敗した時に自分で納得できるかどうかを前提にするならば、よく学び、よく考えることが必要不可欠といえるでしょう。
単純に昔と比べ多くの初心者の人たちがマーケットに参加していること自体、バブルといえるかもしれません。
これは本来、異常な現象であるため、この自覚は持っておくようにしましょう。
どっちに張るか。
結局、資産運用は博打なんです。
長期でも、中期でも、短期でも、どっちに転ぶかは丁半次第。
そんなことファイナンシャル・プランナー事務所を営んでいる自分が言ったらブーブー言われると思いますが、資産運用はキラキラなんてしてなくて、もっとドロドロとした世界だからこそ、面白いんです。
コロナで困っている人が多いのに、その裏で大儲けしている人たちもいます。
それだけ考えても矛盾しているわけです。
この現実がキラキラしているというならどうかしてると思いますが、そういうのも含めて飲み込んでいくのが博打である資産運用なんです。
もし、日経平均株価指数が長い目で見て右肩上がりで推移していくとするならば、その傍らで日本人の暮らしはある意味犠牲にされることになるでしょう。
それをお金の知識を身につけましょうだとか、マネーリテラシーって必要だよねとか、寝ぼけたことが語られながら時代は進んでいくんです。
この現実をどう受け止めるか。
そんなことも考えながら長い目で資産運用について考えていきましょう。