業務連絡)FP OFFICE 海援隊、今後の事業について。
大変、ご無沙汰しております。
FP OFFICE 海援隊の重定です。
昨年来、1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」の更新を止めておりましたが、本日をもって再開しようと考えております。
なぜ、ブログの更新を止めていたのかというと、昨年、母が他界し、他界する以前から母の介護を家族で協力しながら執り行っておりました。また、子どももまだ小さく、子育てと介護を同時に行う必要があり、このような時間制約がある中で仕事をどうすべきかと考えた上での判断でした。
長年、お読みいただいていた方々には、大変、ご不便をお掛けし、申し訳なく思います。
これはこれで本当のことではあるんですが、少々、よそ行きの言い分で、もう少し本音の部分を言うと、母の他界の前後で人生観が変わったというか、死生観が身に付いたというか、ファイナンシャル・プランナー(FP)事務所を長年やっていて、従来から思っていた「人生にとって、お金はあまり重要ではない」ということをはっきりと自分の中に蓄えることができたため、「お金の話とか、相談に乗ったりするのも、なんだかなぁ」という気持ちになり、ブログを中断していた次第です。
例えば、母の他界前後で自分がどう感じたかというと、乳がんを患っていた母の最期の看取りの場面でしたが、ちょうど新型コロナ感染症の拡大で緊急事態宣言が出されていた時期でした。
母は末期の乳がんで、鼻から酸素を吸入する機械を着けながら在宅で療養を続け、定期的に日赤に治療を受けに行っていました。ある日、急に症状が悪化し、呼吸が苦しくなったため、緊急入院することになり、その翌日、息を引き取りました。
この時に、看護師に告げられたんですよね。
「PCR検査で陰性の結果が出ないと、家族立会いのもと、医師の死亡確認が取れないので、結果が出るまでお待ちください」
厳密にいうと、最後の看取りはすでにできていたからいいんですが、でも、腑に落ちない・・・。人の死に臨んでもそれを言うのかと。
病院の立場で考えると意味はわかります。だから、吞み込みました。
でも、国として、このような政策を執っていることに対し、人間の尊厳に関わることが、なぜ、不要・不急になってしまうのか、つまり、家族の死よりもPCR検査による陰性確認の方が重要性が高いという哲学に欠けた歪んだ死生観を目の当たりにし、余計に人生は儚いと感じるようになりました。
それと、これは母が他界する前のことですが、家族で協力して介護していた時に思ったことです。
ファイナンシャル・プランナー(FP)事務所をやっている仕事柄、介護については、やれ介護保険制度だ、やれ民間の医療保険だ、介護保険だ、やれ終活だなど、老後の生活設計に関する相談を受けてきましたが、「なんか、おかしいんだよなぁ、これ」と内心思っていたこともあって、実際に介護を体験してみて思ったことは、「お金じゃない、家族の協力態勢だ」ということでした。
確かに、介護についていえば、お金がまったくかからないとは言いませんが、それよりも、みんなで、家族同士で支え合う環境さえ整えておけば、ある程度、在宅での介護への対応力は増すので、そんなにお金について気にする必要はないという結論に達しました。
むしろ、お金は、家族みんなで支え合うために使うもので、不安に駆られてしこたま用意するとか、誰かに相談して備えるとかは二の次で、足元の家族の状況を確固たるものにすることに注力した方が結果的に良かったりするわけです。
これも、つまるところ、本質的には、人生観や死生観に関わることなんですが、現代社会は、どうも、人の生死についての哲学的な考え方よりも、もっと簡単なお金や便利さといった、一見、経済的に合理性があるように思われるものに目が行きやすくなっていて、現代社会がこのような価値観で覆われている傾向があるとするならば、自分の仕事としては相談に乗ることよりも、より本質的に教養というか、教育というか、本質的な思考ができるように足元を地固めした上で相談に乗らない限り、今の仕事はそれほど意味はないなと思うようになりました。
いろいろと、そんなことを考えたりしながら、ブログを止め、頭の中を整理していました。
そんな中、見出した結論として、今後は、ふわふわした、例えば、将来が不安だとか、老後が不安だといった一連の相談内容に共通するような幻想に狼狽えないようにするために、より本質的な取り組みをご相談者さんに行っていこうと考えています。
まず第一に、介護の現場に身を置きます。
有り体に申し上げると、介護職として現場で実務を経験し、介護福祉士資格の取得を目指し、また、並行して専門学校に通い、社会福祉士の資格を取ることを計画しています。
なぜ、これらの資格を取ろうと考えているかというと、素直に、母の介護でお世話になった人たちがそのような仕事をされていて、こういう生き方がいいなぁと思ったからです。
すでに、地元の介護の学校にて実務者研修は終了し、もう少し、世の中がコロナで落ち着いたら介護の現場でダブルワークすることを企図しています。
その延長線上に、ファイナンシャル・プランナー(FP)事務所としての「終活事業」があるわけですが、現場を知らずにやれ介護だのと語ることはあまり意味がないため、今後は、介護実務をこなしながら、地元の税理士や司法書士、葬儀・墓石業者など信頼の置ける人たちと協力しながら、任意後見制度の活用も視野に入れ、本格的な終活事業を展開することを検討しています。
自分の中の本質的な関心事は、実際に介護の現場でいろいろな考えや想いに長期間触れながら、人の価値観や老いの受容、死の受容といった人間の尊厳について考えていくことです。
ここでも「お金じゃないよね、結局」ということに尽きますが、もっと本気にならないと、今のようなお金に対しての安易な振る舞いを是正することができないため、そちらの方向に舵を切ることにしました。
そこで、これからのFP OFFICE 海援隊の事業展開としては、次のような方向性で執り行っていきます。
①教育事業
②相談事業
③執筆・監修事業
④専門家マッチング事業
①の教育事業については、具体的にいうと、20年、30年前の常識というか、教養というか、そういった時代に合わない固定観念に囚われるのではなく、今、そして、これからの時代を見据えた教養を身に付けてもらい、頭の中を更新してもらうことに努めます。
これは何も古き良きものを否定しているわけではなく、普遍的な大切なものを軸にしながら、時代を見越して新しい制度やルール、仕組みなどに柔軟に対応してもらうための教育という意味です。
なぜ、教育を最重要課題としているかというと、20年、30年前の常識に凝り固まっているから、お金に対して異様に執着するようになってしまうという傾向があり、むしろ、人生にとって何が大切かを客観的に紐解きながら、お金や暮らしなどの経済的な事柄を自分の頭で考えられるようにしてもらうためです。
そうやって、一人ひとりが教養を身に付けていけば、次の相談なんぞはいらなくなるわけです。
というか、②の相談事業の位置づけとしては、「教養を身に付けてもなお、わからない」ことについて、わかるように寄り添うことができるようになります。
現状では、ファイナンシャル・プランナー(FP)に相談する人が年々増えている状況ですが、印象としては、やはり、ぼわぁ~としたもの、抽象的というか、自分がどこに行きたいか、どのような人生観を思い描いているか、単に将来に対して不安を抱えているだけに過ぎないとか、そんなところからスタートする機会が多いため、そういった曖昧で、頭の中の整理がつかない状況を①の教育事業で改善した上で、より具体的な内容の相談に乗るために行うものです。
③の執筆・監修事業については、従来通り、執り行います。
コロナになって、余計に執筆・監修の依頼が増えているのが現状ですが、これもいわゆる①の教育事業とも重なる面はあります。
④の専門家マッチング事業については、税理士や司法書士、社労士などのいわゆる士業の手を借りる部分について、ご相談者が希望される場合に対応をお願いするという位置づけです。
これについては今までと同じです。
さて、これからは、やれFP(ファイナンシャル・プランナー)だ、やれFA(ファイナンシャル・アドバイザー)だといった人たちがわんさか近づいてくると思います。
うちとしては、開業以来、今年で15年目になりますが、この異様で安易な、将来不安を背景にしたマネーブームには乗らずに、10年先を見越し、より本質的に物事を自分の頭で考え、行動することを事務所の使命とし、サポートして参る所存です。
世の中が安易な方に向かわないために。
代表 重定賢治(CFP)