FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

ライフプランを作ったところで、老後の不安が解消されるわけではない! ライフプランの本質的な意味とは。

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 1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」、ブログ再開一発目の内容は、「ライフプランを作ったところで、老後の不安が解消されるわけではない! ライフプランの本質的な意味とは」です。

 ファイナンシャル・プランナー(FP)事務所を開業して15年目に突入しました。今まで散々ライフプランの作成を行い、相談に乗ってきた身として、ライフプランを作ったところで老後の不安が解消されるわけではないと言ったら元も子もないわけですが、前回お伝えしたように、より本質的な内容に切り込み、お金のことをどう考え、行動したら良いかを組み立ててもらうため、まずここから始めます。

 ライフプランは人生設計と訳されますが、普通に考えて、そんなのいります?

 将来が不安だ、老後が心配だ、家を買うのにその後の家計が上手くいくか気になる、子どもが生まれたら、いろんな相談に乗ってきましたが、ライフプラン通りに人生なんぞ行くわけはありません。

 当たり前ですよね。

 例えば、今回のようなコロナなんて、誰が想像できたでしょうか。

 人々の活動が止められ、働き方も変わり、家庭生活に多大な影響を及ぼしています。

 こんなことはライフプランの中には盛り込まれませんよね。

 だって、想像だに出来ないんですもん。

 老後が不安だからといって、この状況で将来のお金の流れがどうなるかを気にすることにどれだけの意味があるでしょうか。

 賢明な方なら、そのような場合、家計収入を補うためにどうすべきかを直接的に考えるでしょう。

 とすれば、相談すべきはファイナンシャル・プランナー(FP)ではなく、ハローワークです。

 人生、そんなもんです。

 

 でも、不安なんです。いろいろなことがわからないから。失敗したくないから。

 発想が逆ですよね。

 失敗するから、克服するにはどうすべきかを経験できるんです。

 そういった経験をすることで、次に似たようなことが起こったときに、下手に不安を感じず、自分でどうすべきかを考え、行動に移すことができるんです。

 

 では、計画を立ててもあまり意味がないというならば、ライフプラン(人生設計)の持つ本質的な意義は何にあるかですが、それはおおよその「想定」です。

 子どもが生まれた場合、何を想定しておくべきか。

 家を購入する希望がある場合、事前段階として何を想定しておくべきか。

 保険に加入するときは、何を想定すべきか。

 老後の生活に対しては、何を想定し、資金を準備しておくべきか。

 

 お金の流れを見るのが、いわゆる「ライフプラン・シミュレーション」と呼ばれるものですが、この目的は、「今、こういう現状だから、将来、こうなるだろう」を見ることではありません。

 むしろ、現状からお金の流れ(キャッシュフロー)の巡航軌道を捉え、巡航軌道を下回って推移した場合にどのような対策を講じれば良いかを事前に把握しておくことにこそ意味があります。

 例えば、今のようなコロナの状況下は誰にも想定することはできませんでした。

 ライフプランをシミュレーションし、将来、家計がどうなるかを事前に見たところで、コロナによって収入が減少するといったシミュレーションはなされないため、なんとなくシミュレーションに頼ってしまうような考え方をしていては、実際にそのような場面に遭遇した時、何の対策も打てず、困ってしまいます。

 ライフプラン・シミュレーションにとって重要なことは、むしろ、通常の家計軌道からマイナス方向に外れた場合にどうすべきかを事前に想定しておくことです。

 もう少しわかりやすくいうと、仮に、月収が30万円から10万円に減った場合、月収30万円の家計運営を続けていたら、間違いなく破滅の道に行き着きますよね。

 通常の家計軌道を信じて、それを我が家の家計の将来設計と考えていたら間違うのは当たり前のことです。

 でも、仮に、時として、通常の家計軌道が揺らぐ場合もあるだろうということを想定さえしておけば、例えば収入が減った時、収入の減少をカバーするために転職するとか、副業を行うとか、どの支出を削るとか、どれぐらいの資産を取り崩すとか、そういうのが見えてくるわけです。

 ライフプランにおける資金シミュレーションはそのために行うべきもので、「我が家の家計の将来はこうなるだろう、だから、安心」と考えてしまうのは、単なる寝言に過ぎません。

 

 ブログ再開から少し厳しい言い方をしてしまいましたが、今のような、これからも続くでしょうが、お金のことを異様なまでに気にする風潮を目の当たりにしている身として、本質を伏せられ、表面的なところでお金に関する事柄が煽られている現状を見るにつけ、もうちょっとちゃんと伝えようと思った次第です。

 

 今回お伝えした「巡航軌道」という言葉は、今後、このブログでは、特に、資産運用や投資についての話題に触れる際に多用するので、頭の片隅に入れておいてください。

 ライフプラン・シミュレーションの意味は、あくまでも、巡航軌道から外れた場合にどうすべきかを事前に想定し、すぐに対処できる態勢を整えるために行うものです。

 はっきりと言いますが、「ライフプランのシミュレーションを行いましょう。そうすれば、老後の生活が見えるようになり、安心です」はウソです。

 

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