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日経平均株価指数、大幅上昇! その理由は、実をいうと、あるようでなかったりする。

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 チャート、見てますか。

 今日の日経平均株価指数。前日比638.22円高の26,165.59円で引けました。

 今日の上げでちびっとだけ潮目が変わりましたね。

日経平均株式指数はとりあえず28,000円を目指す

 ような気がします。

28,000円には達せず、28,000円手前で反転下落といったところでしょうか。

 今のところ、そのタイミングは12月の20日近辺ですかね。

 

 上のチャートは日経平均株価指数における現行のシナリオです。

 あいかわらず、ポジティブシナリオとしてメインシナリオをこれにしていますが、ピンク色の点線である上値抵抗線を突破してくると思います。

 そして、突破すれば、それをメインシナリオとして考えていくことになります。

 この場合、次の上値抵抗線は太い赤色の線となり、28,000円を目標とし、その手前で急落するというシナリオです。

 

 なんか、とりあえず、行くとこまで行っちゃうんですね。

 大した理由もないのに。

 今日の上げはまさに象徴的で、単純にテクニカルだけで動いている節があります。

 完全にマネーゲームなわけですが、ワクチン開発が~とか、コロナ第3波が~とか言いながら、本当はそんなの値動きにはどっちでもよくて、テクニカル上、プレイヤーたちが合意形成できればそれでOKみたいになっているところがマネーゲームって感じです。

 

 今日、覚えておいてもらいたいことは、

相場の値動きは、実をいうと、私たちがニュースなどで知る情報に基づいて決まるというものでもない

ということです。

 

 今日、日経平均株式指数が上げた理由は、下げた理由はと、私たちは普通考えますよね。

 でも、いつもそんな感じで動いているわけではなく、今日みたいに「行ってまえ」的な感じで動くときもあります。

 この「行ってまえ」っていうのが、まさにテクニカル上の「投資家の合意形成」で、

プレイヤーA)

もう、テクニカル的に上げなきゃおかしいよね。

プレイヤーB)

だよね

プレイヤーA・プレイヤーB)

んじゃ、買お

みたいなやりとりを言葉を交わさずにチャート上で行っているわけです。

 これがもろに表れていたのが今日の日経平均株式指数で、時間足チャートで確認できます。

日経平均株価指数(時間足)

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 一番右側の急上昇が今日の1時間ごとの推移です。

 それ以前、先週の金曜日までの動きが徐々に値を切り下げているジグザグした動きの波形ですが、この波形は少し下向きに反りながら動いていますよね。

 このような動きは反発のエネルギーを溜めている状態で、終盤で小動きになってくると、その後、急上昇することを意味しています。

 なので、このような波形の時は往々にして理由なく上げたりするんです。

 逆もしかりです。

 その前の上昇波形では、値動きの線形が先の垂れた釣り竿みたいになってますよね。

 こういうときは下落のエネルギーが溜まって急落したということになります。

 

 だいぶ昔、誰かから「なんで、今日、株上がったの?」とか聞かれたときに、「今まで下げてたからです」と答えたことがあります。

 説明になってないですよね。

 その人は、上げた明確な理由、つまり、事情が知りたかったわけで、でも、テクニカル分析に重きを置いている人たちは「事情は後付けでわかってくるもの」と割り切って考えていたりします。

 個人的には「ファンダメンタルズ3に対し、テクニカル7」ぐらいで資産運用をしていますが、なぜならば、日々の値動きで上げた事情、下げた事情を考えたところであんまり意味がなかったりするからです。

 だって、事情って、結局、マーケットの受け止め方で、極端にいうと気持ちなんです。

 「○○が起こったから、今日は上げだ~」

 確かにわかるんですけど、1時間後には下がってたりします。

 なんで?

 いっぱい上げたから。

 要は、利益確定しておこうという気持ちが働くわけです。

 

 11月21日の朝型の日経電子版にこんな記事があったので、事情で考えるなら、本当は、今日は下がっててもおかしくなかったんです。

www.nikkei.com

 この記事は、FRBのパウエル議長が中小企業向けの資金供給を年内で打ち切ると言ったことに対し、トランプ政権側のムニューシン財務長官やバイデン民主党陣営から、それなら資金を国庫に返還してくれと押し問答し合ってますという内容について書かれています。

 なんでも中小企業向けに整えた融資制度が、結局、使い勝手が悪くてあまり使われていないので、ムニューシン財務長官やバイデン陣営は、「余ってるんなら別で使うから返してくれ」と言ったんですけど、パウエルさんは、「それなら融資を打ち切ればいいだけじゃん」と返還には応じない構えを見せたそうです。

 FRBとしては「うちは金融政策として、ちゃんと連邦政府に協力してるよ?」、「余ったのは使い勝手を悪くした政府に責任あるでしょ」と言わんばかりの返答ですが、裏を返せば、「FRBとしては金融政策はかなり実行しているので、政府としてはもっと財政政策をやってくれ」というメッセージとも受け取れます。

 これまではコロナ対策予算を巡り、共和党民主党が揉めているといった報道が流れ、コロナ禍による景気の回復が遅れるんじゃないかということで相場はネガティブに受け止めていましたが、この記事については、政党同士のもつれ合いというよりは中央銀行VS政治となっているように映るため、相場としては下げ材料になるはずです。

 確かにこの報道はアメリカ市場で一時的に上値を抑える原因にはなったんですが、結局、パウエルさんが「まぁ、応じるよ」みたいになったんで、政治サイドとしては、返ってきたお金で追加の財政支援策が実行できるということで値を上げた次第です。

 個人的には、今日の日経平均株価指数の上げはこれだろうと見ていましたが、報道ではワクチン開発による景気回復期待なんですもん。

 なので、こういう事情があったところで、本当はそこまで重要ではなくて、ひょっとしたら他の情報によって上げたのかもしれませんし、事情というものは、存外、当てにならなかったりします。

 だからといって、テクニカル分析がすべて正しいというわけではありませんが、

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の組み合わせ

が、資産運用では、相場を読むときに、結構、重要になってきます。

 

 上げたい気持ち、下げたい気持ち。

 マーケットのプレイヤーたちの、ある意味、「気持ちの投票」で決まるのが相場です。

 それぞれの気持ちの裏付けとして事情がありますが、その事情は、実際の値動きでは後付けで合意形成となって表れることもあります。

 この「事情」面での合意形成と「テクニカル」面での合意形成がマッチしたとき、「行ってまえ」といったマネーゲームになるわけです。

 ここ数日の動きは、事情よりもテクニカルの方が強めに出てますけどね。

 今後も、少しの間ですが、目標値を達成するまで株式市場は値を上げていくかもしれません。

 でも、この上昇は、言うほど、特段の理由なく上げていったりします。

 そして、その後に来るかもしれない下げは、きっと、同じように特段の理由なく下げていくことになるでしょう。

いっぱい上がったから、売る。いっぱい下がったから、買う。

 相場は結局、それだけのことなのかもしれませんね。

 

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