人生設計を組み立てる本当の意味は、時代の変化を想定することにある!
お盆が過ぎて、特に9月に入り日常がかなり戻ってきているように感じています。
おそらく、コロナ禍にあってこれを日常として現実的に受け止めながら、これからの生活を送っていこうという意識に変わってきたということなんでしょう。
今回のコロナは、結局、将来に向けて自分がどうすべきかを考える機会を提供してくれた出来事のように思います。
最近のご相談内容を見ても、昨年に比べて「時代の認識」という言葉が強く表れていると感じています。
特に若い世代にはその意識が強いようです。
先日対応したばかりの相談ですが、
第2子の出産を想定し、社宅が手狭になるだろうと考えています。
マイホームの購入を検討していますが、老後の生活や子どもの進学も含め、住宅ローンをいくらぐらいで考えていけばいいでしょうか
といった内容です。
これを聞いて普通は「自分で考えなさいよ」と思ってしまうかもしれませんが、このご相談は「時代の流れ」をある程度自分自身で想定した上での相談です。
このため、自分で考えるというレベルを超えたところにある答えを求めています。
例えば、今回のご相談では、お勤めの会社が就業規則の改定を行っていることを伝えられました。
これは、簡単にいうと、定年退職の年齢が60歳から65歳に引き上げられることと同時に65歳以降70歳までの再雇用が図られることを意味しています。
また、これらを受けて、賃金カーブの伸びが一定の年齢まで緩やかになり、役職定年時のピーク賃金が少し低下することもあわせて意味しています。
国の方針に先立ちお勤めの会社が社内規定を変えるわけなので、当事者にとっては人生設計が狂ってしまいます。
ご依頼人はまだ20代でマイホームという大きな買い物をしていませんが、このような状況も踏まえ、自分でどう考えればいいかをある程度検討した上でのご相談でした。
実をいうと、これに気づく20代の方は今までの相談業務の中では少なく、ましてや、ある程度会社勤めをされている方でも、社内規定がどうなっているかを把握している人は必ずしも多くありません。
これに気づき、これからマイホームを購入し、第2子を出産し、子どもを私立中学に進学させたいとなると、老後がどうなるかも含め、おおまかな見通しを立てておきたいと考えるのは必然的なことのように思います。
つまり、今後想定できる「時代の流れ」を自分なりに分析した上でマイホームについていろいろと考えていきたいということです。
日経新聞の記事で住宅ローンの借入れに関する特集記事が組まれています。
要約すると、住宅ローンの借入れ年齢がかつてと比べ後ずれし、完済が70歳を超える人が増えているということです。
これは、実務上も相談内容として上がってくる案件ですが、これも「時代の流れ」といえるでしょう。
この背景にあるのは、晩婚化や高齢出産、金融緩和政策で収益が悪化した銀行からの無理な貸し付け、マイホーム神話などがあげられますが、右肩下がりの時代の中で、右肩上がりの考え方を引きずっているといった頭の中の構造的な問題があるようです。
年上世代のこのような状況を若い世代は見ているわけで、このような状況をキャッチしていると、若い世代がマイホームを買う際に将来の人生を見越した上で検討したくなるというのは当然のことです。
今後、想定されうる未来のカタチは、
超高齢化と少子化による人口減少
でしょう。
このような社会の中でどのような課題があるかというと、
①財産の移転(子世代への経済格差)
マイホームの出口戦略・空き家対策・相続対策など
②お墓のあり方
③老々介護
④年金制度の改正
⑤退職後の就労
⑥定年時の年齢
⑦退職金の有無
などが列挙できるかもしれません。
今、40代の人たちの親世代(団塊の世代など)にしてみれば、それほど問題とは感じないことでも、現役世代にとっては、このような課題に向き合っていく必要が濃厚であるため、なおさら、若い世代にとっては死活問題になりやすいでしょう。
これが「時代の流れ」で、右肩上がりの考え方で右肩下がりの時代を生きていこうとすることが危険である所以です。
時代はすでに変わっています。
しかも、より高度に難しく・・・。
今までの考え方でいくのは考えなくて済むので簡単なことです。
しかし、簡単を求めてこれからの時代を生きようとすると逆の方向に進みやすくなるでしょう。
お金は単なる手段です。
人生において何を重視し、どのような生き方がしたいかをしっかりと見据え、それを実現するためのツールの1つがお金です。
このため、お金に気が移ろいやすくなってしまうと、本質を見失う可能性が高まります。
目的があってこそのお金という認識で、今後の時代にしっかりと向き合っていくようにしていきましょう。