働く人のための「産休・育休」基礎講座
2017年は働き方改革が力強く推進される年になりそうですが、今まで以上に注目されるのが「産休」と「育休」の取得です。
- 産休と育休の違い
- 産休や育休を取った場合の公的保障とは
とてもわかりやすくまとまっているので、ご参考までにどうぞ。
産休は「労働基準法」、育休は「育児・介護休業法」により定められている制度です。
産休と育休は少し混同しやすいので、簡単にその違いを比べてみましょう。
「産休」とは、「産“前”休業」と「産“後”休業」のこと。
産前休業:出産予定日の前6週間
※双子以上の場合は前14週間
産後休業:出産の翌日以降8週間
※産後6週間を過ぎた後、本人が請求し、医師が認めた場合は働くことができます。
対象者:出産前後のすべての女性労働者
「育休」とは、「育児休業」のこと。
育児休業:子どもが1歳になるまでの間で希望する期間
※法改正により、保育所に入所を希望しているが入所できないなど一定の条件に該当する場合は、子どもが1歳6カ月になるまで育休期間を延長することができます(報道によると、次の通常国会で可決されれば、2018年の春までに育休の延長期間が1年となり、子どもが2歳になるまで取得することができるようになります)。
対象者:1歳に満たない子どもを養育する男女労働者
※原則、雇用期間の定めがない男女労働者が対象ですが、法改正により、期間の定めがある労働契約を結んでいる場合でも、一定の条件を満たせば育児休業を取得することができます(ただし、日雇労働者は不可)。
〔パパ・ママ育休プラス制度〕
父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間に父母それぞれ1年間まで育児休業を取得できます。
※ただし、出産した母の場合は出生日、産後休業期間と育児休業期間をあ わせて1年間)。
産休も、育休も、お勤めの会社に申し出をすることで取得することができます。
さて、出産と育児のために会社を休むことができるというのが産休&育休制度ですが、気になるのは会社を休んだ場合の保障です。
混同しないように「健康保険」と「雇用保険」に分類して理解するようにしてくださいね。
◇健康保険からの給付
①出産手当金(休業保障)
出産のために会社を休み、その間、お給料をもらわなかった場合の保障(生活費を補う手当てという意味)。
〔支給額〕
1日当たりの金額=※平均月給÷30日×2/3
※支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額
②出産育児一時金(分娩補助)
出産は病気ではないので、病気やケガをした場合に支給される「療養の給付」は受けられませんが、分娩補助費という位置づけで出産育児一時金が支給されます。
※妊娠85日(4ヵ月)以後の早産や流産、帝王切開による出産の場合でも支給されます(帝王切開は手術ですので「療養の給付」も受けられます)。
〔支給額〕
子ども一人当たり42万円
◇雇用保険からの給付
①育児休業給付金(休業保障)
満1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取得した場合に支給される休業保障。
〔支給額〕
原則、休業開始時賃金日額×支給日数×67%(賃金が支払われない場合)
※育児休業の開始から6カ月経過後は50%に
お金の話ついでに言いますと、産休や育休を取った場合、その期間の社会保険料(健康保険や年金の保険料)の納付が免除されるようになっています(社会保険料のうち雇用保険料については、会社からお給料が支払われていない場合に限り負担はありません)。
共働きの夫婦が多くなっていく時代を想定して、国は「働き方改革」の中で、産休や育休をしっかり取ってもらうよう様々な情報を発信し続けています。
特に、パパ・ママ育休プラス制度については、夫である男性にも育児休業を取ってもらいたいということで、「ワーク・ライフ・バランス」の価値観のもと、今後、利用者数が増加していくと考えられます。
他にも「あなたも取れる! 産休&育休」では、産休・育休後の職場復帰を円滑に行うための制度が盛り込まれていますが、企業にとっては、従業員一人ひとりの生き方を通じ、雇用のバリエーションを用意していくことがますます求められるようになるでしょう。
企業も、そこで働く人たちも、互いが共存・共栄できる最適なバランスとは何か。
「働き方改革」は、1970年以降生まれの私たちに、このような問いかけをしているのかもしれません。