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妊娠・産休・出産・育休。国の子育て支援制度、頭の中でイメージできてる?

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 妊娠してからのお金のコト。

 産休、出産、育児休業まで、頭の中に一連の給付金や助成制度などがイメージできていると、どのタイミングで何をすればいいかがはっきり見えてきます。

〇今回の記事の目的

 妊娠から育休までの国の制度を理解する。

〇関連するファイナンシャル・プラニングのジャンル

〔ライフプラニング・リタイアメントプラニング〕

 ◦妊婦検診助成金 ◦出産手当金 ◦育児休業給付金

 ◦健康保険制度 ◦厚生年金保

 ◦児童手当

〇記事の概要

 Ⅰ.妊娠から育休が終わるまでの公的な経済支援の流れ

 Ⅱ.妊娠から育休までの具体的な制度の内容

 Ⅲ.最後に

 

Ⅰ.妊娠から育休が終わるまでの公的な経済支援の流れ

 妊娠してから仕事を休む、もしくは辞める。

 急にライフステージが変わったことで収入が減ってしまう。

 どうしよう・・・。

 このとき初めて、多くの方が現実的にお金のことを意識するのかもしれません。

 でも、前もって知っておくと、事後の対応がスムーズにいきます。

 それでは、大まかな流れを見てみましょう。

 

◎妊娠から育休が終わるまでの公的な経済支援の流れ

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 まず確認しておきたいことは、妊娠後の「妊婦健康診査助成金(妊婦健診助成金)」です。

 これは各自治体で準備されている制度ですが、妊娠してから出産するまでの間、妊婦が受ける健康診査にかかる費用を補助するための助成金です。

 次に、産休(産前休暇・産後休暇)を取り、休職した場合に支払われる「出産手当金」をチェックしましょう。

 これはお勤めの会社で加入している健康保険制度(※国民健康保険制度にはない)から支給されますが、収入の減少をカバーするための保障です。

 このとき、健康保険料と厚生年金保険料が免除になるよう、お勤めの会社を通じ申請するようにしましょう。

 そして、産休中に出産を迎えた場合、健康保険制度より出産育児一時金が支給されます。

 これは、出産に際しての分娩費用の補助です。

 

 もうひとつ、覚えておきたいのは「児童手当」の申請です。

 出産後、自治体に申請することで手当てを受けられるようになります。

 また、生まれたお子さんが病気やケガをした場合「子ども医療費助成制度」もチェックしておくと万一のときに役立ちます。

 さらに、産休後、育休(育児休暇)を取ると、雇用保険より育児休業給付金」が支給されます。

 これは、育休期間中の収入減を補てんするための保障です。

 

 いかがでしょうか。

 このように、妊娠から育児休暇までの経済的な支援制度をざっと知っておくだけでも、ライフステージごとに発生する経済的な変化に対応しやすくなるのではないでしょうか。

 

Ⅱ.妊娠から育休までの具体的な制度の内容

(1)妊婦健康診査助成金(妊婦健診助成金):自治体に

 妊娠がわかると、出産まで間、「妊婦健康診査(妊婦健診)」を受けることになります。

 厚労省によると、妊婦健診は14回程度受けるのが望ましいということですが、頻度の目安は以下のようになっています。

妊娠~23週まで4週間に1回

24週~35週まで2週間に1回

36週~出産まで1週間に1回

 妊婦健診を実費で受けた場合、病院によって異なりますが、おおむね平均10万円程度かかると言われています。

 健診だけでこんなにかかるの?と思うかもしれませんが、各自治体によって助成金が用意されています。

 これを「妊婦健康診査助成金(妊婦健診助成金)」といいますが、発行される「受診券」「補助券」を受診の際に持参すると、妊婦健診にかかる費用が軽減される仕組みです。

 妊婦健診助成金の額は自治体によって異なっていますが、平均で総額10万円前後となっています。

 ただ、自治体によりかなりの開きがあるため、事前に確認しておくといいかもしれません。

 

(2)出産手当金:お勤めの会社(健康保険制度)に

 「出産手当金」は、出産にともない会社を休んだことで、お給料の支払いがない、もしくは、お給料が出産手当金よりも少ない場合に健康保険制度から支給されます。

 同様の保障は、公務員の場合、共済制度により受けられますが、自営業やフリーランスなどが加入する国民健康保険制度にはないため、注意が必要です。

 

 出産手当金が支給される条件は以下のようになっています。

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 ポイントは「出産にともない出産の前42日(6週)~出産後56日(8週)までの間で会社を休んだことにより、お給料が支払われない、もしくはお給料<出産手当金となった場合に支給される」ことです。

 

 1日当たりの出産手当金の額は、このように計算されます。

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 簡単にいうと、それまでもらっていたお給料の2/3の金額がもらえると理解しておいてください。

 出産手当金はお勤め先の会社の健康保険制度から給付されるため、出産で仕事を休む際は会社に申請してみましょう。

 

(3)社会保険料の免除:お勤めの会社に

 産休(産前・産後休暇)を取ると、健康保険料と厚生年金保険料の納付が免除されます。

 保険料を納めなくても、健康保険制度や厚生年金保険制度の利用に影響はないため、産休が決まったら、お勤めの会社を通じ免除の申請を行うようにしましょう。

 

(4)出産育児一時金医療機関(健康保険制度)に

 出産にかかる分娩費用などを補うための保障が出産育児一時金です。

 健康保険制度からの給付ですが、申請は病院などの医療機関に直接行うことができます。

 協会けんぽの場合、1児につき42万円が支給されます。

 

(5)児童手当:自治体に

 お子さんが生まれたら、児童手当が支給されます。

 児童手当は、お子さんのいるご家庭の生活の安定子どもの健全な育成が目的になっています。

 

◎児童手当の給付額

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 児童手当の給付額は上記のようになっていますが、所得制限を超えている場合は、特例給付として「一律5,000円」が支給されるようになっています。

◎所得制限の限度額

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 ここでいう「所得」は、「お子さんを養育している世帯主のお給料の総支給額」から「所得控除の金額」を差し引いた額です。

 

 支給月は、6月(2~5月分)、10月(6月~9月分)、2月(10月~1月)の年3回となっていますが、お子さんが生まれたら自治体に申請するのを忘れないようにしましょう。

 

(6)子ども医療費助成制度:自治体に

 お子さんが病気やケガをされた場合、親御さんが加入している健康保険制度により治療費などの保障が受けられます。

 お子さんが小学校就学前までは、総治療費の8割が、小学校就学後は総治療費の7割が給付されるようになっています。

 つまり、治療費の自己負担割合は、それぞれ2割、3割ということですが、「子ども医療費助成制度」は、これらの自己負担分をさらに軽減するためのものです。

 ということなので、助成の対象は、①入院、②通院、③調剤にかかる治療費の自己負担分になります。

 千葉県の各自治体では、2012年12月より児童の対象が中学校3年生まで拡大されるようになりました。

 助成内容については各自治体により多少違いがありますが、一般的にはこのようになっています。

〇支給対象

 中学校3年生までの児童

〇助成内容

 小学校就学前)

  自己負担額0円~500円

 申請先は自治ですが、利用の際は各自治体が発行する受診券を医療機関に提示することで、助成内容にもとづく自己負担額で治療を受けることができます。

 

(7)育児休業給付金:お勤めの会社(雇用保険制度)に

 産休期間(産前6週間・産後8週間)では、健康保険制度により出産手当金が支給されました。

 この期間が終わると育休期間に移りますが、これ以降は、お勤めの会社で加入されている雇用保険制度により育児休業給付金」が支給されます。

 育児休業給付金は雇用保険の被保険者」が対象です。

 育児休業を開始した日の2年前までの間で、12カ月以上雇用保険に加入している必要があります。

 支給要件は以下のとおりです。

育児休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1カ月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。

就業している日数が各支給単位期間ごとに10日以下であること。

 

 育児休業給付金は、原則、お子さんが1歳になるまで支給されます。

 ただし、「パパママ育休プラス制度」により、パパも育休を取る場合は、お子さんが1歳2か月になるまで支給期間が延長されます。

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 育児休業給付金の支給期間は、原則、お子さんが1歳になるまでです。

 つまり、一般的には、ママさんにとっては「産休期間満了~子ども1歳まで」ということですが、パパさんにも育児参加してもらおうと、パパさんも育休を取る場合、お子さんが1歳2カ月になるまで育児休業給付金の支給期間を延長できるようにしたのが「パパママ育休プラス制度」です。

 ここでのポイントは給付率です。

 育児休業給付金は、原則、

休業開始時賃金日額×支給日数×67%

が支給されるようになっていますが、この給付率が適用されるのは6カ月間です。

 6カ月が過ぎると給付率は50%に減額されます。

 ただし、パパママ育休プラス制度により、ママさんだけでなくパパさんも育休を取ると、給付率が50%に減額されることなく、お子さんが1歳2カ月になるまで67%を維持することができます

 ちなみに、保育所に入れないなどのやむを得ない理由がある場合育児休業給付金は、お子さんが2歳になるまで給付されるようになっています。

 育児休業給付金は雇用保険制度による保障であるため、申請先はお勤めの会社です。

 産後休暇が終わりに近づいたら、育休制度について少し話し合ってみましょう。

 

Ⅲ.最後に

 共働きが当たり前になっている今のような社会システムでは、必然的に家事や育児も夫婦で協力して行っていく必要があります。

 妊娠、産休、出産、育休、そして職場復帰。

 子どもが生まれ、子育てをしていく中で、1970年以降生まれの私たちは、すでにこのような道のりを歩むことが当たり前の社会を生きています。

 内閣府では、夫婦で家事・育児を助け合おうと積極的に呼びかけをしていて、こんなサイトを立ち上げています。

www.gov-online.go.jp

 妊娠から職場復帰までの公的な経済支援の流れがイメージできたこの機会に、ちょっとだけ、夫婦で話し合ってみてくださいね。

 

 

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