2017年の注目ワード「ワーク・ライフ・バランス」
仕事なのか、人生なのか。
いや、そのバランスだ。
かなり以前から提唱されている「ワーク・ライフ・バランス」という考え方。
2017年は、2016年と比べ、この考え方がより一層社会に広がりを見せることになるでしょう。
- 希望出生率1.8の実現に向けていろんな政策が打ち出される
- 2017年は日本人の人生観が少しずつ変わっていく元年
- ワーク・ライフ・バランスの本当の意味とは
第2次アベノミクスが始動したのは昨年ですが、本腰を入れて動き始めるのは2017年の4月からとなります。
ここで注目しておきたいのは、2016年6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の中にある「希望出生率1.8の実現」に向けた政策です。
中にはすでに始まっている政策もありますが、おおよそ2017年度よりスタートします。
(1)結婚・子育ての希望実現の基盤となる若者の雇用安定・待遇改善
(2)若者の労働条件の改善
- 大企業にワークライフバランス(育児休暇取得促進、長時間労働の是正等)の行動計画策定を義務付け
- 求人企業への労働時間・離職率等実績の情報提供義務付け
- 労働基準監督署による過重労働対策の一層の強化
- 妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱い等を防止するための法制 度を含めた対応の検討
(3)結婚への不安を解消するための支援の充実
- 結婚支援に関する全国連携会議
- 地域における様々な出会いの機会の提供
- 若者の結婚生活の住居負担の軽減
(4)妊娠・出産・育児に関する不安の解消、多様な保育サービ スの充実
(5)子育てを家族で支える三世代同居・近居しやすい環境づくり
(6)地域の実情に即した支援
(7)希望する教育を受けることを阻む制約の克服
(8)子育てが困難な状況にある家族・子供等への配慮・対策等の強化
ざっと眺めただけでも「働き方」と「生き方」を見つめ直そうとしているのがわかります。
これまでの仕事一辺倒の生き方から、より人生に喜びを感じやすい生き方に社会制度がシフトしていくことになるでしょう。
個人的に注目しているのは「働き方改革」です。
賃金の引き上げやキャリアアップ助成金、雇用環境の改善などは、今後ますます広がっていくと思いますが、すでに大企業で始まっている「ワーク・ライフ・バランス」への取り組み、特に「育児休暇の取得」と「長時間労働の是正」は急速に広がりを見せるようになるでしょう。
「仕事とは何ぞや、人生とは何ぞや」
この問いと向き合うことになる1970年以降生まれの私たち。
そもそもワーク・ライフ・バランスとは何でしょうか。
「仕事も人生も、バランス良くこなしていきましょう」というのが、この国で喧伝されているワーク・ライフ・バランスの基本的な考え方です。
でも、少し考えると、仕事と人生がイコールの関係になってるのっておかしくない?って思います。
本来、仕事は人生の一部です。
人生の中には、結婚もあって、出産もあって、子育てもあって、レジャーもあって、スポーツもあって、ボランティアもあって、それと同列に仕事が並んでいます。
あくまでも選択肢の一部に過ぎません。
かつて高度経済成長期の日本では“モーレツ”という言葉が流行りました。
猛烈に働くことで会社がその人の人生の面倒を見てくれる、そんな時代がありました。
年功序列・終身雇用のもと社会制度が構築されていましたが、それも今は昔の話です。
時代の変化とともに日本人の人生観が見直されようとしています。
ワーク・ライフ・バランスは「仕事≒人生」という価値観で、仕事は人生の一部であるというところにまでまだ至っていない過渡的な考え方です。
なぜなら、仕事と人生のバランスを取ろうとしているからです。
まだ“モーレツ”という一時代を築いた価値観を引きずっているような気がします。
目指すべきところは「ワーク・アズ・ア・パート・オブ・ライフ(work as a part of life)」=「仕事は人生の一部である」という考え方です。
最終的にはここまで行くのかもしれませんが、それはもう少し先のお話。
本当の意味で日本人の気質にこの考え方が合っているのかどうかも含め、1970年以降生まれの私たちは、その見極めが必要なんだと思います。
生きやすい社会の実現を目指して。