FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

成熟型社会の基本構造。価値観の変化について。

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 ブータン国王って、なんとなくジョニー大倉に似てね?

 ブータンと言えば「GNH(Gross National Happiness):国民総幸福度」という言葉を世に広めた国です。

 成熟化社会に移行しつつある日本にとって、どのような生き方が幸せなのかを私たちに考えさせるヒントを与えてくれました。

  1. 幸せの捉え方の変化
  2. 集団的価値観と個別的価値観の違い
  3. 多様化に対する答えとは

 幸せとは何か。

 つまるところ、お金でもなく、地位でもなく、職業でもなく、学歴でもなく、そして豊かさや利便性でもなく、「なんとなく、ほどほどにみんなで助け合いながら、自分サイズで生きていけること」。

 戦後、私たち日本人は、経済的な豊かさを求め、それがあたかも幸せであるかのように思いながら生きてきました。

 この考え方が必ずしも間違いだとは思いませんが、最近、特に1970年以降生まれの僕らの価値観が、ひょっとしたら成熟型社会における今後の主流になるのかもしれないと思うようになりました。

 

 きっかけは、ある友人の職場での人間関係です。

 上司とのやりとりで理不尽なことを言われ、それに対し“パワハラ”という言葉を使っていました。

 今までその言葉を使うことはなかったのに、パワハラという言葉が簡単に出てきました。

 話を聞いていると、いろいろと職場内の人間関係が浮かび上がってきて、確かに理不尽だなと思いましたが、同時にそこまでのことかなとも思いました。

 彼は準公務員で経済的に恵まれていないわけではなく、仕事的にも相応の地位を与えられています。

 ただ、仕事に対する考え方の違いでぶつかり、人間関係を上手く築けないところでストレスを感じ、それを吐き出すように上司の理不尽な言動をパワハラと表現していました。

 本当は自分なりに考えながら仕事をしようとしていて、本音は職場の人たちと上手く人間関係を築きたいと思っていて、プライベートでも充実した人生を送っていきたいと思っています。

 相手も同じく、上司としての職責と部下との人間関係と、その狭間で揺れ動きながらより良くしていければと思っています。

 パワハラやセクハラ、モラハラなど、ハラスメントを指す言葉は、かつては極端に理不尽な行為が起こった場合に適用されていましたが、これらの言葉が普通語になってしまっている昨今、その裏側には、「人が人らしく生きたい」、「自分が自分らしく生きたい」というある種の自己実現的な欲求が内在しているように思えます。

 

 成熟化した社会では、それまでの組織としての集団的な価値観(=自己犠牲を払う価値観)と自分らしく生きたいという価値観(=自己を尊重する価値観)との対立が生まれやすくなります。

 たとえば、仕事に対する価値観は「みんなを食べさせるためにするもの」から「自分を満たすためにするもの」に変化しています。

 貧しさの中でみんなを豊かにする必要があった時代は「みんなで良くなろう」という意識が働きやすかったと思いますが、経済的に豊かになった今のような時代では、すでに物質的に満たされやすくなっていることから「自分の求める豊かさを追求しよう」という動機が働きやすくなります。

 自分が就職する段になって、やりたいことが見つからない、こういう声を耳にします。

 団塊の世代の人たちからすれば、何を贅沢なことを言ってるんだということになるでしょうが、単に会社員になるのではなく、自分のしたいことの延長線上に会社員という職業があるという意味なんだと思います。

 会社に入ったにもかかわらず、辞めて起業しよう、農業を始めよう、もう一度大学で学ぼうなどの例はこの現れと言えるでしょう。

 ここ数年、ファミレスに足を運ぶお客さんの数が減っていると言われています。

 景気がなかなか良くならないので単純に外食を控えようという理由もあると思いますが、一方で、周りを見渡すと、オシャレで、個性的な、こだわりを持った飲食店が増えていて、そちらに客足が流れている傾向が見て取れます。

 「ある程度のものなら食べられる」という集合からの選択ではなく、「こんなものが食べたい」という個の選択へ軸足が向いているのかもしれません。

  新築住宅やマンションがかつてほど売れにくくなっています。

 少子化の影響や収入の減少が理由としては考えられますが、住宅業界の販売動向としては、どの家も似たような間取りの建売住宅から自分の住みたい家をデザインしてくれる注文住宅に人気が集まっています。

 

 幸せと何か。

 「幸福」の価値観が、経済的な豊かさを求めることから、精神的な豊かさを求める方向にシフトしつつあります。

 働き方においても、経済活動においても、家族においても、社会生活においても、政治との関係においても、おおよそ「個」を中心とする、より範囲の限られた世界で人々が関わっていけるコンパクトな日常が、その「場」として選択される傾向が強まっています。

 この「個」と「場」の関係が、これからの社会構造の核になっていくと考えられますが、これが成熟した社会における「多様化=ダイバーシティ」に対する答えなのかもしれません。

 「個」の欲求に合わせて「場」が決まる社会。

 =個々に合わせて考えていく社会。

 

 それにしても、ブータンでは、民主化後、経済格差が広がり、犯罪も増えているそうです。

 でも、幸せなんだそうです。

 「ま、いっか」

 これが答えなんだそうですが、単純に、お互いを認め合って、許し合える心の持ち様が成熟化社会の精神構造なのかもしれませんね。

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