ちょっと一読。次官・若手プロジェクト「不安な個人、立ちすくむ国家」
このレポート、もう読みました?
「不安な個人、立ちすくむ国家(モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか)」
2017年5月、経産相の若手官僚たちが「次官・若手プロジェクト」というチームを作り、世に出したレポート。
スマホよりもPCの方が読みやすいのはもちろんですが、よかったらダウンロードして読んでみてくださいね。
公表から1か月余りで147万人がダウンロードしたそうです。
多いんだか、少ないんだかはよくわかりません。
テーマはこんな感じです。
若者や現役世代に向けた、これからのニッポン社会に対する提言
こ~んな不安や不満がありますよということで、
こ~んな問題提起をしています。
あとは、ご自由に「不安な個人、立ちすくむ国家(モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか)」をダウンロードして読んでみてくださいね。
賛否両論あるでしょうし、感想や考え方は千差万別、十人十色ですから。
さて、ファイナンシャル・プランナー(FP)事務所を営んでいる身としては、なるほどというぐらいにしか受け止めていません。
どうしてかというと、たぶんこのような流れは出てくると思っていますが、同時に、今のように固定化・硬直化した価値観がそう簡単に変わるとは思えないからです。
むしろ、大事なのは、時代の本流と傍流の違いを認識し、常に本流にいようとせず、また逆にずっと傍流にいようとせず、本流と傍流の間を行き来できる力を身に着けることにあると考えています。
もう少しわかりやすく言うと、みんなと同じには生きないし、逆に自分だけにこだわるような生き方もせず、常に視界を広げて人生を硬直させない生き方がより重要と考えています。
正直、みんなと同じっていうのは怖いんですよね。
リスクが高い。
また、逆に己だけの生き方というのもリスクが高い。
みんなはどう考えてるのかな、でも、自分はこう思う。
時には大道につき、時には自分の道を進むといったスタンスがないと、特に商売をしている身としては危うくてしょうがない。
だから、この両方を行き来できる余裕を常に意識して、それを維持するために情報と知識を身に着け、様々な行動を通じ経験値を上げていくよう心がけています。
とはいっても、限られた時間の中で完璧にこなせるものでもなく、なるべくできるようにという心がけです。
確かに、このレポートにある「昭和の人生モデル」はすでに崩れていると思います。
でも、なかなか変えられない。
ファイナンシャル・プラニング(資産設計)上、昭和の人生モデルでこれからの人生を組み上げられる人はほんの一握りと言わざるを得ないでしょう。
でも、そうであったらいいなと、みんな幻を求めて頑張ります。
以前から違和感を感じているのが、安心・安全・安定を極めて強く求める風潮です。
このレポートでも指摘していますが、社会情勢や経済状況の変化により、かつてに比べ未来が見通しにくい世の中になっていることは否めません。
だから、安心を得たい、安全でありたい、安定したいと切に願うんだと思います。
でも、社会を構築している前提が昔と比べ違っているのに、昔と同じような生き方を求めること自体無理があります。
かつての本流は、今や傍流となりつつあり、かつての傍流が、今や本流になりつつある。
どちらにもとどまらず、このふたつの間を行き来する生き方を自分は選びますが、特に安心・安全・安定を求める価値観や動きが先鋭化している今、退職後や老後に向けて、この3つを人生の目的に据えてしまうと、そこまでに行き着く過程でものすごい競争に晒されるような気がします。
自分でコントロールができない競争を生き抜くのは、リスク(不確実性)ではなくデンジャー(危険)です。
だから、ほどほどにリスクと付き合い、自分でリスクをある程度コントロールするために情報を収入し、知識を身に着け、自分の足で動くのが大事って思うんですが、どうでしょ。
世界の潮流は今、行き過ぎとも思える人権至上主義や環境保護主義と、自国ファーストを目指す利己主義と、大きく分けてふたつのイデオロギーで動いているような気がします。
ヨーロッパ的キリスト教原理主義とアメリカ・中国・ロシア的大国主義と言い換えることができるかもしれませんが、これって突き詰めて考えると、どちらも個人主義的なんですよね。
なので、日本はこの両方とはほどほどの距離を保ちながら共存・共栄の道を模索しているようですが、これが正しいかどうかは別として、自分で考えて自分で行動するという「人生の選択力」が、今後、1970年以降生まれの私たちにとってより重要になってくるのではないでしょうか。
今回のレポート「不安な個人、立ちすくむ国家」は、至極ごもっとものような気もしますが、そうだっ!と両手を挙げて同意しようとも思いません。
人の生き方にモデルなんてそもそもないので。
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