暮らしやお金のことを考える基本的なアプローチ。
複雑なことをシンプルに考えるのがあたかも素晴らしいかのような風潮がありますが、シンプルは単純という意味なので、そもそも複雑なものを単純に考えようとすると、答えは単純なものにしかなりません。
だから、複雑なことをシンプルに考えるというアプローチはおそらく誤りのような気がするんですけど、どうなんでしょうね。
なので、個人的には「複雑なことをスリムに考える」ことにしています。
スリムは細くする、言い換えれば細分化するという意味なので、こっちの方が問題解決のアプローチとしてはなんかしっくりします。
複雑なものを整理して考え、あとで統合させて答えを導く。
これが複雑なことを考えるための本来のアプローチなんでしょう。
さて、今回は、少し実務のお話です。
暮らしやお金のことがよくわからないからFP事務所に相談する。
その中で、総合的に問題を解決したいのか、個別に問題を解決したいのかをヒアリングします。
なぜなのかというと、暮らしやお金のことって、そもそも難しいことが多くて、だからどの程度の解決アプローチが必要かを知るためにこのようなことをうかがいます。
そのあと、ざっくりいうと「自分や家族の人生をどうしたいか」というお話になります。
たとえば、子どもの進学資金や住宅ローンの返済、毎月の貯蓄、老後のお金など、問題・課題がたくさん出てきます。
山のように出てくる問題を改善したり、課題を克服する必要があるため、まず「総合的に」考えたうえで、「個別に」問題・課題を解決していきます。
冒頭の話に戻ると、複雑なものを整理して個別に考えた結果、結論が導き出されるということです。
よくあるご相談ですが、「老後のお金を貯めたい」というお悩み。
単純(シンプル)に考えてしまうと、答えは、こうやって貯めましょうという金融商品選びで終わります。
でも、ホントはそうじゃないじゃん?
苦慮している点が「老後のお金を貯めたい」わけだから、「どうして老後のお金を貯めたいと思っているか」を突き止めることから始める必要があります。
すると、子育て世帯の場合、こんな課題が出てきます。
〇収入が少ないから
〇基本的な生活費が多いから
〇子育てにお金がかかるから
〇月々の住宅ローンの返済が重いから
〇効率的にお金を貯めていないから
〇退職金が少ないから
〇住宅ローンの残債が多いから
〇その他諸々
そしたら今度は、個別に問題の解決、課題の克服をしていくにはどうしたらいいかを考えていきます。
そして、その結果、最終的に「老後のお金が貯まりやすくなりました」となります。
結局、暮らしやお金の面で自分がどうしたいかを整理し、考える力がその人の持つ家計力なんだと思います。
そう考えると、ホントはお金のことがわからないのが問題ではなく、複雑なことをスリムに考える力が足りていないことが問題の本質のような気がします