老後のお金、貯める? 増やす?
1970年以降生まれの私たち、老後の年金ってどうなるんでしょうかね。
よく話になるのが、自分たちの頃はもらえる年齢が70歳からになるんじゃないのかとか、70歳まで自分たちは働くようになるんだとか、ベーシックインカムにすればいいとか、国の政策にまで話が及ぶときがあります。
これらの話題はすべて老後の不安が原因ですが、具体的には「老後の生活をどのようにすればいいのか」、「老後のお金をどのように準備すればいいのか」といったお金の問題に集約されます。
そもそも論で考えると、老後のお金は
貯める? 増やす?
どっち?
老後のお金を「安全に準備したい」なら、
貯める。
老後のお金を「より多く準備したい」なら、
増やす。
こんな違いがあると思います。
それでは、老後のお金にはどんな性質があるのでしょうか。
①「基本的な」生活資金
②「余裕のある」生活を送るための資金
このふたつですよね。
現行の年金制度では、1970年以降生まれの私たちは、繰上げ受給をしない限り、年金は65歳から受給することになっています。
つまり、老後の生活資金のベースになるのは年金になりますが、これでは足りないだろうということで、多くの方が「お金を貯めよう」、「お金を増やそう」と考えています。
最近思うのが、「お金を貯める」ことと「お金を増やす」ことがごっちゃになってやしないかということです。
老後の生活資金を準備する場合、
「お金を貯めよう」なら、①基本的な生活を送るために「貯める」
「お金を増やそう」なら、②余裕のある生活を送るために「増やす」
ということになります。
前者の場合は、年金だけでは足りない「基本的な生活費」を確保することを目的にしているので、リスク(=不確実なこと)を取ることができません。
つまり、安全に少しずつコツコツと老後のお金を準備する。
だから、毎月の家計管理で余ったお金は“安全な”金融商品(現金・預貯金・貯蓄性保険など)で貯めていきます。
にもかかわらず、「基本的な生活費」を“リスクのある(=不確実な)”金融商品(国債・外貨預金・外貨建て保険・投資信託・株式・金・不動産投資など)で用立てていこうとし、最近のNISAや確定拠出年金の広がりを受けて、銀行や証券会社、保険会社の営業社員に勧められるがままに購入・加入してしまうケースが目立ちます。
もちろん、「貯める」・「増やす」の違いを理解し、後者の「余裕のある生活」を送るために老後のお金を“リスクのある(=不確実な)”金融商品で積極的に増やしていこうという方もいます。
このような方の場合、お金の性質や使い道を理解し、それに合った金融商品を選んでいるのでなんら問題はありません。
しかし、一般的にはそのような方は少なく、金融商品の中身を理解しないままリスクのある金融商品を選択する傾向があります。
必ずしも購入者や加入者など契約者が悪いとは言えませんが、老後のお金は人生の中でも大切なお金のひとつです。
老後の生活資金作りは、まとめると次のようになります。
①「基本的な生活」を送るための部分
⇒「安全な」金融商品で「貯める」
②「余裕のある生活」を送るための部分
⇒「リスクのある(=不確実な)」金融商品で「増やす」
この違いをしっかりと理解したうえで、老後の生活資金を準備していってくださいね。