FP OFFICE 海援隊|1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」

これからの時代、変わりゆく常識を少しだけ早くキャッチし、人生に活かしてみる。

菅さんが総理大臣になったら、1970年以降生まれの私たちは、とりあえず、どこをポイントに見ていく必要があるのか。

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 菅さんが自民党の総裁に選ばれました。

 この結果、菅義偉内閣総理大臣に就任するわけですが、このタイミングで走り書き程度に今後の状況がどうなるかについて忘れないように書いておこうと思います。

 一国の首相が交代するとき、「これからどうなるのか議論」が大きく取り上げられると思いますが、まず外枠から固めていきます。

①国家

②経済・財政

③未来への投資

 おおよそ、この3つの事柄についてボヤ~っとした感じをつかめばいいと思います。

 ①「国家」については、「安全保障」・「外交」・「天皇制」・「家族のあり方」といった世界秩序と国の根幹、地域の根幹の方向性がどうなるかがポイントになってくるでしょう。

 安全保障や外交面については、安倍政権を踏襲しつつも、アメリカの大統領選挙の結果がトランプ再選か、バイデン勝利かで多少なりとも変化してくると思います。

 「菅ートランプ」ラインか、「菅ーバイデン」ラインかということですが、前者では日米関係の強化が図られやすくなるかもしれません。一方、後者ではアメリカの民主党政権になると中国との関係性が再構築されるため、日米の関係は少し弱まる可能性が考えられます。

 この点については、個人的には「菅ートランプ」ラインで一応考えています。

 天皇制や家族のあり方については、どういった考え方があるかはわかりませんので保留です。

 

 ②「経済・財政」については、経済政策から見ていくと、こちらもアベノミクス踏襲路線でしょう。具体的にいうと、金融緩和の継続がメインですが、財政出動を行うかというと可能性は薄いかもしれません。

 ただし、地方経済に対するケアを目的とした場合、来年度予算で新たに拡充することが可能ならば予算配分を行うかもしれません。この場合、農家や中小企業支援に対する支援策の維持・拡充が期待できなくもないでしょう。

 この点をまとめると、「超大規模金融緩和の継続」を基礎に、序盤はコロナ対策、ある程度建て直したら農家や中小企業向けの経済政策について的を絞った形で実施する可能性を見ています。

 また、行政改革、報道ベースでいわれているのは、携帯電話料金の引き下げですが、いわゆる「総務省改革」ですよね。これについては、官邸主導での行政改革の実施であるため、小泉政権時の「抵抗勢力」劇場が行われるとまた変な風になっちゃいます。

 携帯電話料金の値下げだけをクローズアップすると国民生活にとってはプラスに働くでしょうけれども、公務員のモチベーションが下がってしまうなら逆効果であるため様子見が必要です。

 これに加え、「デジタル庁の創設」も掲げられていますが、こちらは長短あるでしょう。世の中の空気としてはIT活用による業務の効率化が求められているような印象を持ちますが、何についてデジタル化が有効で、何についてデジタル化が有効でないかをしっかりと分けて取り組んでもらえるなら意味はあると思います。

 

 家計に目を転じると、論点は「所得」・「税金」・「貯蓄」の3つに絞ることができます。

 所得については、最低賃金の引き上げはまだ継続されると思いますが、コロナの経済状況次第でしょう。一応、収束したら最低賃金の引上げ路線は続くと思われます。

 また、コロナによる失業率の悪化と収入減少に対しての政策は維持・拡充される可能性がありますが、来年度以降どうなるかを考える方がいいので、景気がある程度戻る過程ではプラスに働いていくでしょう。

 この過程でのポイントは「名目賃金」と「実質賃金」です。

 アベノミクスでは、大雑把ですが、名目賃金プラス・実質賃金マイナスという傾向でした。これはリーマンショック後の状況と比べた場合のことです。

 名目賃金は、例えば会社員の場合、実際にもらえるお給料のこと、実質賃金は、実際にもらえるお給料から物価の変動率を割り引いた金額という意味です。

 リーマンショック後から比べると物価が少し上昇しているため実質賃金はマイナスになりますが、反面、名目賃金が増えたので、アベノミクスにおいては所得政策は一応の成功を見せたことになります。

 ただし、よく言われることですが、「景気が良くなった実感がわかない」という現象が同時に生じています。この原因は、FP実務において明らかにわかることですが、一部の消費が高止まりしていることと老後の貯蓄・運用に回すお金が増えていることから考えると当然のことのように思います。

 例えば、一部の支出については教育・進学関連費用の高止まり、住宅ローンをフルローンで借りてしまっている(不動産価格の上昇含む)、老後資金の準備に回すお金については、確定拠出年金制度やつみたてNISAを活用する人が増えているといったことです。

 こう見ると、アベノミクスにおける本来の政策趣旨が業者によって誤った形で利用されていることがよくわかりますが、アベノミクスでは景気を良くするためにお金を回そうとしていたにもかかわらず、金融緩和により市中に流し込んでいるお金が日常生活において消費に回されずに高い固定費の支払いと貯蓄に回ってしまっているため、この是正が図られるようになると、実体経済の回復が実感できるようになるのではないでしょうか。

 そして、菅さんの場合、「携帯電話料金を値下げします!」と言っていました。これについて、普通は「いいじゃん!」って思ってしまいます。

 ただ、おそらく、この効果は限定的でしょう。なぜならば、消費税率が10%に引き上げられる前に携帯料金を見直ししているご家庭が増えているからです。

 また、菅さんは「消費税は将来的には上げる必要がある!」って言ってしまったので、国民が求めているほどの期待は所得面では難しいかもしれません。

 

 次に税金ですが、消費税の扱いですよね。

 これについては、先ほども述べたように将来引き上げられるため、必然的にお金を使わずに貯めようとするご家庭は多くなるでしょう。

 ただし、傾向的には、高所得者や資産家に対しては増税スキームで向かっていくことが予測されるため、これをもって中所得者層や低所得者層への所得配分が行われるなら実体経済にとってはプラスに働くのかもしれません。

 そうはいっても、時間的には結構先の話になりそうですけどね。

 

 それと、貯蓄についてですが、先に述べた所得・税金の話も含めて考えると、今後も貯蓄にお金を振り分けるご家庭は増えるでしょう。これは、貯蓄性向が高まり、消費性向が低下する可能性が高いという意味です。

 個人的には、これを「日本病」と名付けていますが、これを解消するには、将来不安をいかに払拭するかがポイントになると思います。例えば年金についてですが、基本、保険料の引き上げ、支給額の引き下げ、支給開始年齢の引き上げ路線が現行制度を維持するための方策として進められているため、菅政権になっても、おそらく、これは踏襲され、将来不安の解消にまでは至らないでしょう。

 

 ということは、「所得」・「税金」・「貯蓄」の3つを総合的に考えると、家計の純利益にとっては、横ばい、もしくは、低下と考えておくことが妥当かもしれません。

 ここまで考えると、個々の家庭で所得を増やすにはどうすべきかという話になりますが、これについても安倍政権下の政策であるパラレルワーク(兼業・副業など)路線は変わらないと思います。

 そうなると、働き方改革ですが、これについてはシビアですよね。

 すでに残業規制が強化され、有給休暇の取得強化や同一労働・同一賃金制度の施行の影響が出てくるため、業界やお勤めの会社によって開きが生まれやすくなると考えられます。

 これらについては個々のご家庭でどうなのかを考えていく必要がありますが、メリットとしては、働き方改革の趣旨どおり「仕事と家事の両立」ということになるでしょう。いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」ですが、本質的には「時間」の配分が問題であるため、これに子育て支援や介護支援、女性の社会参加を絡めて考えると、菅政権でどこまで切り込んでくれるかが注目されます。

 

 最後に、③「未来への投資」ですが、これについてはいろいろとあるため「教育」に的を絞って考えていきます。

 教育については、すでに英語とプログラミングを学校で学ぶとされています。

 日本が進もうとしている方向性が「国際化」と「IT化」であるため致し方ないのかもしれませんが、子どもの教育にとって本質的にこの2つが重要かというとそうではないでしょう。

 つまり、子どもにとって何が重要かが問われつつ、既定路線がさらに進むのか、是正されるのかがポイントになると思います。

 考える力を育むというのも教育目標として掲げられていますが、実際、どこまで効果があるか疑問です。

 幼保の無償化が実施され、所得によっては高等教育の実質無償化も実現されています。これらもアベノミクスの成果といえますが、お金で考えている以上、教育は投資にはなり得ません。

 そこで、国家として、この国がどこに向かうべきか、一国の首相がこの国の未来図をどのように描くかが問われるわけですが、1970年以降生まれの私たちは、菅政権後の未来をどのように想定すればいいのでしょうか。

 

 今のところの結論は、大きく変わらないが、特段、問題がなければ、着実に何かが進みそうといったところです。

 IR疑獄とか、河合夫妻の問題とかも含め、もうちょっと見ていく必要がありそうですね。

 

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