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2014年と2019年。消費税を上げた後、GDPは大幅に下がったけど、その違いは?

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 先日、2019年10-12月期におけるGDP国内総生産)1次速報値が内閣府から発表されましたが、内閣府の統計「GDPの増加率(年率換算の季節調整系列)」をもとに名目・実質GDPの推移をグラフ化してみました。

 2019年10-12月期の名目GDPと実質GDPはそれぞれ、前期比▲4.9%、前期比▲6.3%となりました。

 新聞やテレビなどで話題になっている「実質GDPが前期比▲6.3%に急減!」などといった報道は、このことを言っています。

 「GDPってなに?」と思われる方もいるかもしれないので、簡単にその意味について説明すると、GDPは「Gross Domestic Product」の略で、日本語でいうと「国内総生産」と訳されます。

 日本国内で生産された付加価値の総計と言われますが、要は、この国が稼いだ力と言っても過言ではありません。

 裏を返すと、生み出した所得の総和でもあるため、この国で働いている人たちがいくら稼いだかを示す物差しとも言えます。

 上のグラフは前期と比べた伸び率ですが、名目で▲4.9%、実質で▲6.3%と、ともに大幅に下落したため、この国の経済成長力がかなり低下したことを意味しています。

 名目と実質の違いは、名目が物価を考慮していない値、実質が物価を考慮した値なので、経済を考えるうえでは、通常、実質GDPで見ていきます。

 ただ、私たちの暮らしでは、実際、物価を考えながら買い物などをしないので、直感的に理解する場合、名目GDPで見るのもいいかもしれません。

 この場合、仮に2019年10-12月期の名目GDPが前期比▲4.9%減少したことを言葉で表現すると、GDPは総所得でもあるため、「この国で働く人の稼ぐ力が前期比で▲4.9%も弱くなった」ことになり、もう少し身近な表現をすると、「私たちの家計において、所得が前期比▲4.9%減った」ということになります。

 これに物価を考慮した場合、実質GDPが前期比▲6.3%であるため、結論としては、物価の上昇が実質GDPを押し下げたと言うことができます。

 この意味は、単に物価が上昇しているということですが、その主要因は消費税率の2%引き上げであるため、これ絡みで物価の上昇が進んでいるということがわかります。

 消費税増税による価格転嫁が進んでいるかもしれないってことですかね。

 

 さて、今回のGDPの1次速報値で注目したいことは、

①景気が回復しているとは必ずしも言えない状況で、物価が上昇してしまっている。

②名目GDPの落ち込みが激しすぎる。

の2点です。

 ①については、前述のとおりですが、問題は、景気回復の実感が多くの国民の中で沸いていないにもかかわらず、物価が上昇してしまっていることです。

 例えば、日ごろの生活で景気が良くなってきたと思う方は、おそらく、ごく一部のような気がしますが、にもかかわらず、消費税が引き上げられた影響がここに顕著に表れています。

 2019年10-12月期のGDPが大幅に下落している理由は、消費税の増税だけでなく、台風による被害も大きく影を落としていますが、いずれにせよ、経済に大きな打撃を与えている中、物価が上がってしまっているという点が、今後、私たちの家計にとって重要なポイントになってくるのではないでしょうか。

 

 ②については、もう一度、グラフで確認してみましょう。

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 1997年4月、消費税が5%に引き上げられました。

 そして、2014年4月、消費税が8%に引き上げられました。

 いずれも、その前期と比べると、実質GDPは落ち込み、名目GDPは落ち込んでいるとはいえない状況です。

 しかし、2019年10月、消費税が10%に引き上げられた以降は、名目GDPまで大きく落ち込みました。

 ここに、今回のGDP1次速報値発表のもうひとつのポイントが隠されているような気がします。

 通常、増税の前は駆け込み需要が発生します。

 1997年の増税のときも、2014年の増税のときも、駆け込み需要がありました。

 しかし、2019年の増税時は、駆け込み需要がほぼありません。

 実際、地元の企業経営者の方からも駆け込み需要はほとんどないという声を耳にしていたため、データとしてこのように表れているのを見るとなるほどと頷けました。

 普通に考えてみても、増税前の駆け込み需要があってこそ、増税後、GDPは落ち込むというのは当たり前のことです。

 しかし、2019年の増税時は、駆け込み需要がほとんどないにもかかわらず、GDPが大きく落ち込んでしまいました。

 一応、政府としては、増税後の景気刺激策を準備し、実行しましたが、それほど功を奏さず、結果、名目GDPは前期比▲4.9%、実質GDPは前期比▲6.3%となりました。

駆け込み需要がほとんどないにもかかわらず、GDPが大幅に落ち込んでいる。

 この意味するところは何か。

 ここですよね。考えるべき点は。

 結論として「空気」と、あえて表現したいと思います。

 消費税が10%になる。

 外食は控えよう、大きな買い物は慎重に考えよう。

 こんな空気が、今までよりも広がり、ある程度、固まってしまったように思えます。

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 上のグラフは、GDP統計の一部である「家計総消費支出」の推移ですが、名目値と実質値をもとに作成したものです。

 1997年、2014年の消費税増税については、駆け込み需要がともなって、増税後、大幅に落ち込んでいるのがわかります。

 しかし、2019年の増税については、ほとんど駆け込み需要がないにもかかわらず、落ち込みが大きくなっています。

 小売りや外食だけでなく、自動車や家電などに対する消費支出のデータも2019年10月以降大幅なマイナスになっていたため、家計総消費支出がこうなるのは当たり前と言えば当たり前です。

 

 気になるのは、家計支出の戻りですよね。

 2019年10月の消費税増税後、駆け込み需要がほとんどなかったことを考えると、単純に、買い物などを控えようという動きは、おそらく、長引くのではないかと予想できます。

 むしろ、必要なものとそうでないものをある程度考え、取捨選択しながら買い物をする傾向が広がっていくでしょう。

 そこに来て、最近の新型コロナウィルス問題があるため、報道などで言われているように外出などを控える動きもあるようで、短期的にも消費は一層減退することが考えられます。

 国としては、これに対して経済政策を拡充していく方針のようですが、慢性的に広がりを見せ始めている消費税増税後の家計消費の継続的な落ち込みが予測される中、どのような対策を施すのか・・・。

 たぶん、そんなことをしても、本質的な問題解決にはあまりつながらないと思います。

 実際のご相談の中で気づくことは、買い物を控えようとか、子どものために、老後のためにお金をなるべく貯めていこうとか、そっちに人々の気持ちがシフトしているため、お金を使うよりも貯めるという行動心理に対して、どのような経済政策を打つかが問われていると思います。

 

 事ここに及んでも有効な方法は打たずに進んでいくんだろうなぁと諦めに近い気持ちになっていますが、結局、自分の人生は自分で決めて進んでいかなければならないため、自分なりにできることはやっていこうと思います。

 2019年、序盤から厳しい家計状況が予想されるようになっていますが、実際にどうなるかはもう少し後のお話です。

 情報をキャッチし、我が家に合った家計運営をしっかりしていくようにしましょう。

 

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