30歳以降の結婚。マイホームの購入は役職定年に気を付けて。
何歳まで働くのか。
1970年以降生まれの私たちにとって、特に40歳を過ぎた辺りから、この問いについて考える機会が増えると思います。
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ざっくりいうと、
①役職定年ってなに?
②役職定年後のお給料はどうなるの?
③晩婚のご夫婦の場合、マイホームを購入する際は気を付ける!
④まとめ
|役職定年ってなに?
どうでしょう、この言葉、馴染みありますか?
役職定年
一般的に、1970年以降生まれの私たちにとっては、まだそれほど馴染みがないかもしれませんが、それでも大企業にお勤めの方なら聞きかじったことはあるかもしれません。
部長とか課長とか、管理職になっている人が、ある一定の年齢になると役職を解かれるという人事の仕組みです。
定年は、定年退職という言葉のとおり、一定の年齢で会社を辞めるという意味ですが、役職定年は会社を辞めるわけではなく、一定の年齢で役職から降りるという意味です。
2016年に経団連が発表したアンケート調査「ホワイトカラー高齢社員の活躍をめぐる現状・課題と取り組み」によると、2016年時点で役職定年を導入している企業は約5割に上っているそうです。
とはいっても、経団連の調査なので対象は大企業です。
そのうち、役職定年の年齢を55歳や57歳など50代後半としている企業の割合が約8割となっています。
|役職定年後のお給料の水準
ここなんですよね、問題は。
FP相談でも大企業にお勤めの方の場合、この点はかなり重要な要素になります。
なぜかというと、役職定年では、一定の年齢で役職が解かれるため給与がおよそ2/3~1/2にまで落ち込むようになっているからです。
減少率は会社によって異なりますが、これによりその後のキャッシュフローが大きく変化してきます。
ちょっとこれは覚えておいてほしいんですけど、大企業にお勤めの方の場合、50歳ぐらいまでは少しずつ賃金が伸びていき、役職に就いていると50代のどこかの時点で役から離れるため、そこが賃金のピークとなります。
そして、60歳の定年を迎えると退職ということになりますが、現在は再就職を希望する場合、65歳まで再雇用されるため、このようなケースでは、以降の賃金が60歳時点の2/3~1/2に減額され支給されるのが一般的になっています。
〇役職定年時:お給料が2/3~1/2に減額される
〇定年退職時:お給料がさらに2/3~1/2に減額され再就職する
たとえば年収800万円で部長をされている方の場合、役職定年時から定年退職までの期間の年収は、減額率が2/3とすると約533万円になります。
そして、その後、再就職を希望する場合、こちらも減額率が2/3とすると完全リタイア(65歳)までの年収は約355万円まで落ち込みます。
下のグラフは厚労省の「平成27年賃金構造基本統計調査」による「年齢階級別、きまって支給する給与・年間賞与その他特別給与額」の抜粋ですが、イメージ的にはこんな感じになっていくんですね。
|晩婚の場合、マイホームの購入はキャッシュフロー表をもとにしっかりと計画を立てる!
若いうちはこの現実が見えないんです。
そもそも賃金規定を読むこともあまりないでしょうし、賃金カーブについても言葉すら知らないというのが普通だと思います。
FP事務所としては、この点を考慮して人生設計(ライフプラン)を組み立てていくようアドバイスさせていただいています。
特に結婚年齢が30歳を超え、住宅ローンを35年で組んでいる方の場合はなおさらです。
ちょっと簡単に説明します。
たとえば、35歳で結婚しました。
子どもが生まれ、37歳でマイホームを購入、35年の住宅ローンを組んだとします。
住宅ローンの完済年齢は72歳です。
役職定年が55歳、現行制度では一般的に定年退職が60歳、年金の受給開始が65歳となっています。
しかし、1970年以降生まれの私たちの場合、年金がもらえる年齢が70歳に引き上げられ、これにともない定年が65歳になる可能性が高くなっています。
特に団塊ジュニアや就職氷河期と呼ばれる世代の方々ににとっては、1970年以降生まれ以上の先輩方の人数が多いため、人手不足といえども、役職定年制度は大幅に変わらないと考えるのが妥当です。
ということは、つまり、役職定年後、退職金が支払われるまでの期間が長くなり、住宅ローンを完済するのがより遅くなる可能性が出てきます。
晩婚化が引き起こす家計面での大きな問題がこれです。
せっかく結婚して、子どもが生まれて手に入れたマイホーム。
その後、ローンを返済し続けるのがこれまでの時代と比べより遅くなる現実。
これは何を意味するのかというと、老後の生活資金の準備が遅れる可能性が高まるということです。
だからこそ、このような方の場合、マイホームや住宅ローンについては次の点を考慮し、マイホーム購入計画を立てるようにしてください。
対応策)
①老後の生活も踏まえたライフプランを作成し、キャッシュフロー表にもとづき、ある程度精度の高いシミュレーションを行う。
②そのうえで、定年退職までの総収入金額を割り出す。
③これにもとづき、マイホームに割けるお金を導き出す。
④頭金をなるべく多く準備し、低金利のメリットを活かし、住宅ローンを組む。
⑤このとき、役職定年後の減収を考慮し、ボーナス払いは避ける。
⑥住宅ローンの借り入れ後は、なるべく早めに繰り上げ返済をし、最低でも退職金でローンの完済ができるまで持っていけるように返済計画を立てる。
|まとめ
えっと驚く方もいるかもしれませんが、しっかりとポイントを押さえて、お金の流れを見える化していけば恐れを抱く必要はありません。
ただ、会社員の方の場合、こういう傾向がありますよというひとつの実例です。
時代はすでに変わっています。
私たちの親が過ごした時代の「暮らしとお金の常識」を、自分たちの時代に同じように当てはめずに考えることをお勧めします。