年金がもらえるのは75歳から!なんて情報が目につきますが、ウソです。
最近にわかに「年金がもらえるのは75歳から!」なんて情報が目につきますが、ウソです。
確かに、実際、年金の支給開始年齢引き上げに向けた話し合いは持たれていますが、このような制度改正は行われていないので鵜吞みにしないでくださいね。
この噂のもとは、7月18日に行われた内閣府の有識者検討会で、年金の繰り下げ受給について、現行の66歳から70歳まででなく、75歳まで延長してもいいんじゃないかという意見が出たことにあります。
確かに年金の話題になると、いつからもらえるのかということで“年齢”に即座に反応する傾向があります。
年金の仕組みって勉強しないと正直よくわからないでしょうし、ましてや、今回は年金の「繰り下げ受給」というワードなので、年金をもらう年齢が後ずれするというイメージにつながったのかもしれません。
報道サイドのちょっと雑な伝え方というか、不安の煽りすぎというか、そういう方が問題です。
さて、年金について少しおさらいしていきます。
1970年以降生まれの私たちは、年金制度の動向についてある程度知っておいた方がいいと思いますが、ポイントは、年金が「いつから」、「いくらぐらい」もらえるのか、最低限、これだけは正確に押さえていきましょう。
〇年金の支給開始年齢
原則、65歳から。
〇年金の支給額
日本年金機構で確認しましょう。
これを理解したうえで、先ほどの繰り下げ受給についてお話していきます。
年金がもらえるのは、原則、65歳からです。
でも、本人の希望によって、65歳ではなく、65歳になる前でも、65歳になった後でも受給の申請ができるようになっています。
年金の繰り下げ受給は、65歳から年金をもらうのではなく、66歳から70歳までの間で年齢をずらしてもらう仕組みです。
なので、年金をもらう年齢になっても自分はまだ働くし、家計的にも余裕があるという人は、時期をずらしてもらうのもひとつの手ですよね。
それでは、年金を繰り下げ受給する場合、どれぐらい割り増しされて年金がもらえるのかを確認します。
繰り下げ受給の特徴は、もらう年齢を遅らせることで、後で少し多めにもらうことができることです。
この年金額のことを「繰下げ加算額」といいますが、65歳時点の老齢厚生年金額を基準に計算されます。
繰り下げ受給をしたいという方は、事前に日本年金機構に問い合わせをし、試算してもらってくださいね。
それにしても、年金の支給開始年齢をめぐる議論。
現行では、60歳が定年、その後、労働者が希望する場合は、65歳になるまで企業は雇用する必要があり、年金の支給開始年齢は65歳からとなっています。
現在66歳から70歳までとしている繰り下げ受給の年齢を75歳に延長しようという議論は、健康長寿時代を見越し、高齢者の定義が75歳とされていく中で、歳を取っても元気でい続けようという考え方が背景にあります。
仮に、繰り下げ受給の年齢が75歳に延長されるとなると、いずれまた、年金の支給開始年齢は引き上げられ、時期をずらして定年の年齢も引き上げられるでしょう。
65歳定年、70歳まで再雇用、70歳から年金がもらえて、繰り下げ受給は75歳まで可能。
こうなると、ファイナンシャル・プラニング(資金計画)の観点から見れば、正直、ライフプラン(人生設計)の既存モデルは狂い始めていると言わざるを得ません。
1970年以降生まれは、65歳から数えて、もう5年長く働くという人生なの?
厚労省の「平成27年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平成27年度の厚生年金の平均支給月額は147,872円となっています。
超高齢化社会で、将来もらえる年金額が減っていくと予測されていますが、1970年以降生まれの私たちは、おそらくこの給付水準は保てないでしょう。
どの道、働かなきゃ老後はやっていけないという人が多くなると思いますが、どうせ65歳を過ぎても働くんだったら、今から週末起業や地域活動でもして、地域社会に溶け込み、自分の働き方や生き方のレールをもうひとつ、ふたつ増やしていく方が賢明なんじゃないかと思います。
最終的には、人と交わって、好きなことをやって楽しむのが老後の生き方の王道です。
65歳、退職を間近に感じ、そのときに自分の人生はどうだったのかを振り返り、70歳まで会社で働くという人生が、これからのライフプラン(人生設計)の既定モデルになってしまうというのはどうなんでしょ。
団塊の世代は、60歳が人生の分岐点でした。
1970年以降生まれの私たちは、何歳を人生の分岐点にしていきますか?
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