離婚前と離婚後、不動産の名義を変更する場合、どっちがいい?
日本の離婚率。
人口動態統計によると、離婚件数を婚姻件数で割った数値(離婚率)は、1990年代の終わりに3割を超え、今や離婚率3割が常態化しています。
離婚のご相談でよくあるのが、マイホームなど夫婦の共有財産をどのようにするのかということですが、離婚前と離婚後では「税制面」で少し違いが出てきます。
Q.離婚前と離婚後、不動産の名義を変更する場合、どちらがいいですか?
「損得の問題なの?」と一瞬思ってしまいますが、離婚の際の夫婦中にはいろいろとあるかと思いますので、税制面での違いをいうと、以下のようなポイントがあります。
まず、不動産の名義変更のタイミングです。
離婚前に名義変更をすると、夫婦間での財産の移転は「贈与」になります。
一方、離婚後の場合は「財産分与」となります。
贈与と財産分与では、マイホームなどの不動産の名義変更をする場合、税制面で少し違いが出てきます。
贈与をする場合、「贈与税」、「不動産取得税」、「登録免許税」がかかる可能性がありますが、財産分与を行うと、「譲渡税」と「登録免許税」を納付する必要が出てきます。
上の表は、一定の条件のもと、夫婦間で不動産の移転を行うものとしたケースですが、長年夫婦生活を営み、ともに土地付き一戸建てで暮らしてきたというご夫婦なら、通常、贈与する場合、贈与税は非課税、不動産取得税はかかってもわずか、登録免許税だけ考えておけば良いという判断になるでしょう。
一方で、財産分与を行う場合、離婚後に夫婦の財産を清算するという意味になるので、贈与税と不動産取得税はかかりません。
譲渡税がかかる可能性はありますが、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」という特例を活用できるので、こちらもおおよそ税負担はなくクリアでき、必要なのは登録免許税のみと判断することができます。
離婚時や離婚後は、さまざまな面でご家庭のキャッシュフローが変化しますが、その中で納税は家計面での負担といえるでしょう。
どちらがお得かで考えるのは必ずしも良いとはいえませんが、通常、離婚後に財産分与をする方法を選びます。
精神的に不安なことも出てくるかもしれませんが、お金のことはなるべく客観的に考えるようにしていきましょう。
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