消費税が10%になるってことは、将来、15%とか、20%とかになる可能性もあるってことだよね? 年収400万円世帯、家計に占める年間の消費税負担額は?
日経新聞で消費税についての特設サイトがあるんですが、消費税が〇〇%になったら、年間で家計に占める消費税の負担額がいくらぐらいになるかの試算をしてくれています。
2016年の2月に公開されているので、データとしては少し古いようですが、参考までにどうぞ。
※このサイトでは所得税についても見ることができますが、これについては現在に至るまで税制改正が少し入っているため、そんな感じか程度で捉えるようにしましょう。
先ほどの棒グラフは、年収ごとに年間の消費税負担額がいくらになるかの試算額です。
日本人の平均年収はだいたい400万円ぐらいなので、このゾーンを見てみると、消費税率が8%から10%に引き上げられると、年間の消費税負担額は、年収300万円~400万円未満の世帯では19万円、年収400万円~500万円未満の世帯では21.2万円となっています。
月に換算すると、前者が約1.6万円、後者が1.8万円という計算になるでしょうか。
一方、負担割合はというと、次のグラフのようになっています。
年収300万円~400万円未満の世帯では5.4%、年収400万円~500万円未満の世帯では4.7%です。
年収別に追っていくと、消費税の負担割合が少しずつ下がっていくのがわかりますよね。
これがいわゆる「逆進性」と呼ばれるものですが、消費税は、所得税と異なり累進課税ではなく、常に一定の率がかけられるため、収入が多い世帯ほど税の負担感が少なくなります。
家計に占める公的な支出を考えるときは、消費税だけでなく、所得税や住民税、そして社会保険料も含めて考える必要があります。
FP実務を通じて見えてくるのは、給与所得者の場合、それらの合計比率はおおよそ20%台~30%台、円グラフで見るとわかりやすいんですが、家計支出のうちだいたい1/4前後は税と社会保険料で占められています。
正直、この感覚ってないですよね。
でも、家計診断をすると、年収状況にもよりますが、会社員や公務員世帯ではそのような傾向になっています。
これを踏まえて、今回の消費税率の引き上げを見ていく必要があるんですが、実際、消費税率が8%から10%に引き上げられた場合、消費の冷え込みを抑制するために、新たな経済政策などが用意されています。
この分を差し引くと、増税によるマイナスと経済政策などによるプラス分で、景気の冷え込みは軽減されると思います。
たとえば、保育園や幼稚園の無償化で、その分の教育費はかからなくなるでしょうし、クレジットカードや電子マネーなどで買い物をした場合のキャッシュレス決済に対するポイント還元なども支出の軽減にはつながるでしょう。
それでも家計全体で考えると、消費税の負担増であることには変わらず、家計に占める税・社会保険料の負担が若干増えることになります。
月にしていくらぐらい増えるんでしょうね。
先ほどの年収世帯では、4,000円前後の支出増って感じがするんですけど、実際の値は増税されなければわかりません。
この金額を高いと感じるか、低いと感じるか。
これが逆進性の問題なんですが、年収が少ない世帯では高いと感じるでしょうし、逆に年収が多い世帯では少ないと感じるでしょう。
日経新聞のこのサイトでは、消費税率が15%になった場合と20%になった場合のシミュレーションもあわせて見ることができるようになっています。
〇消費税率が15%になった場合の年間消費税負担額(万円)
〇消費税率が20%になった場合の年間消費税負担額(万円)
1970年以降生まれのわたしたちは、「将来、消費税、15%になるよね」とか、「20%まで上げないと足りないよね」なんて会話を何気なしにしますが、具体的な数字で見ると、どうでしょう。
今までよりは、消費税増税後の家計についてイメージしやすくなるように思います。
10%になるということは、いずれ15%にもなるということで、15%になるということは、いずれ20%になるだろうって思ってしまいます。
でも、それでいいのか?とも思います。
大事なのは、そこですよね。
人によっては、なんでそこまで上げる必要があるの?と思ったり、そもそも消費税ってちゃんと使われてるの?って疑問も出てくるでしょう。
この点がとても大切で、あとは人に聞いたり、自分で調べたり、本を読んだりして、自分なりに答えを出せばいいと思います。
そのうえで、投票に行ってみようでもいいですし、自分で家計のやりくりをしてみようでもいいと思います。
ちょっと考えて、ちょっと動く。
そういうほんの少しの変化が、巡り巡ってこの国の将来を決めていくような気がします。