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消費税率8%⇒10%。どうなる!?「すまい給付金」

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 2019年1月28に始まった通常国会

 2018年度第2次補正予算案が参議院で通過したのが2月7日、そして現在、2019年度当初予算の審議が衆議院で行われている最中です。

 報道によると、新年度予算案は今週中にも衆議院を通過する見通しで、その後は審議の舞台が参議院に移ります。

 仮に、参議院で採決が行われなくても、30日が経つと自然成立するため、年度内に新年度予算案が可決されるだろうとの見方が大勢です。

 

 私たちの暮らしにかかわるいろいろな話し合いが行われているのが国会です。

 特に、新年度予算案については、それが通過すると、次の年度以降の私たちの暮らしに影響を及ぼします。

 だから、今、国会で何が話し合われているかを見ておくことは意外と重要なんですね。

 

 ということで、昨年来、2019年10月に予定されている消費税率の引き上げが本当に実施されるかどうかを見定めている最中ですが、個人的には上げたら家計にいいわけがないので、参考までに次の2つの記事を掲載しておきます。

diamond.jp

www.sankeibiz.jp

 

 さて、今回は「すまい給付金」についてお伝えしていきます。

 住宅関連税制は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)や住宅取得資金の贈与の特例など、以前から実施されている制度がいくつかありますが、すまい給付金もしかりです。

 すまい給付金は2014年年4月1日から実施されていますが、その目的は「マイホームを買う人の経済的な負担を和らげるため」となっています。

 2014年4月1日に消費税率が5%から8%に引き上げられたので、そのタイミングに合わせ実施されるようになったということですね。

 2019年10月1日、消費税率が8%から10%に引き上げられる予定です。

 このタイミングで、すまい給付金の内容も若干改正される予定ですが、この予算案も今国会で審議されています。

 だから、国会でどんなことが話し合われているかを知っておくことが重要なんです。

 

 それでは、すまい給付金の概要について見ていきましょう。

 もし消費税率が10%になるならで考えます。

(1)適用期間

 平成26年4月~平成33年12月まで

 元号表記だとわかりにくいので、2014年4月~2021年12月までということで。

(2)対象者

住宅を取得し登記上の持分を保有するとともにその住宅に自分で居住する

②収入が一定以下

 どういうこと?

 要するに、家を買って、それを所有し、そこに自分が住むのが前提で、その場合、収入基準があるということです。

 家を買って、誰かに貸すのはダメ、自分で住まないと。

 当たり前です。

 それで、消費税率が10%になる場合は、次の要件が加えられます。

住宅ローンを利用しないで住宅を取得する現金取得者については、年齢が50才以上の方

 すまい給付金は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の不公平感を和らげるための制度でもあります。

 住宅ローン控除は所得税制であるため、限度額(40万円/年 or 50万円/年)という範囲はありますが、所得税を多く払っている人ほど減税効果が高く、所得税の少ない人が住宅ローンを借りても、控除額が少ないことから、税負担という意味で不公平感が出てしまいます。

 すまい給付金は、これを和らげるための措置でもあるので、前提としては住宅ローンを借りている人が要件になっています。

 ただし、消費税率10%後では、住宅ローンを借りなくても、50歳以上の人なら適用を受けられるとしているのは、この世代層の住替え需要を狙ってのことなのかもしれません。

 

 収入基準については、給付額と一緒に見ていきます。

〇すまい給付金の「収入額の目安」と「給付基礎額」

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 ここでのポイントは、収入基準が所得税ベースではなく、住民税の所得割の金額を基準にしていることです。

 この違いについては、説明するのにページを割く必要があるため割愛しますが、おおよそ、上の表の「収入額の目安」を基準に見てもらえるとイメージしやすいと思います。

 ただし、モデル世帯が夫婦(妻:収入なし)でお子さんが中学生以下の子ども2人のケースとなっているため、注意してくださいね。

 所得税率が8%の場合だと、年収425万円以下の人なら、すまい給付金は「30万円」、年収425万円超475万円以下なら「20万円」、年収475万円超510万円以下なら「10万円」となっています。

 年収が少ない方が給付金が多いってことですね。

 一方、消費税率が10%になると、すまい給付金は50万円が上限となっています。

 そして、収入の目安の幅も拡充されているのがわかります。

 この点が最大のポイントではないでしょうか。

 

 そして、給付額の計算式は、以下のようになっています。

〇すまい給付金の計算式

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 給付額は、給付基礎額に住宅の持分割合をかけた金額となっています。

 持分割合がミソですが、マイホームを100%夫名義で購入した場合、持分割合は100%ですよね。

 でも、夫婦で住宅を一緒に買いましたという場合、夫婦それぞれの所有比率に給付基礎額をかけ、それぞれがすまい給付金を受給できるようになっています。

 

 それでは、どんなマイホームならすまい給付金をもらえるの?というお話ですが、対象になる物件は「新築」でも「中古」でもOKです。

 ただし、細かい要件があります。

〇対象となる住宅

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 ここでの注意点は、売主が宅建業者であることです。

 どういうことかというと、すまい給付金は消費税の負担軽減策であるため、消費税がかかる物件でないと給付の意味がありません。

 業者が販売する住宅は、商売として販売しているため消費税が発生しますが、売主が個人の場合、商売として家を売っているわけではないため、消費税はかかりません。

 このようなことから、中古住宅に対しては、新築住宅とは違い、売主要件が加えられています。

 たとえば、業者が商品として所有している中古マンションを買った場合、すまい給付金がもらえますが、個人から買ったという場合、つまり、単に不動産仲介業者が仲介している物件では、通常、売主が個人のケースが多いため、このような場合では、すまい給付金は支給されないということです。

 

 以上のようなことが、すまい給付金のおおよそのポイントです。

 このように見ると、すまい給付金は、どちらかといえば、新築住宅を買う人寄りの政策で、実際、中古物件の売買では利用度は低い気がします。

 ここに現実とのギャップを感じますが、新築住宅の需要の冷え込みを抑えたいというのが本音ってことなんでしょう。

 ん~、正直、微妙です。

 すまい給付金について審議するなら、消費税縛りをなくした方が、より経済には効果的で、結果、税収が増えるような気がするんですが、どうなんでしょうね。

 

 とにかく、家を買おうというご家庭の場合、活用できる人はなるべく活用した方がいいので、可能ならちゃんと申請しましょうね。

 

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