年頭のご挨拶に代えて。2019年の注目ポイントをマーケットの動きから考える!
新年、あけましておめでとうございます。
1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」。
今年も継続していきます。
よろしくお願い申し上げます。
もともと顧客向けの情報発信を目的にスタートしたブログですが、いつの間にか1日当たりの閲覧数が100を超えるようになっているようです。
なぜだかはわかりませんが、暮らしとお金について、みんなで考えるきっかけになればそれでいいので、生活面での一助としてご活用ください。
さて、一年の計は元旦にありと申します。
正月以降、自分なりに、今年はどうすっかなぁと考えています。
確か、昨年は、「働き方改革」について大きくメディアなどを通じて取り上げられるようになるということで、「働くこと」と「人生の過ごし方」に関する価値観や行動様式が少しずつ変わっていく元年になるんじゃないの?ということを年初にお伝えしたような気がします。
今年は?
個人的に注目していることは、「雇用や労働に関する新たな常識」が、今年から実際に形作られる大変重要な年になると考えています。
それと「消費税」ですよね。
2019年の10月に予定されていますが、4月の統一地方選挙、7月の参議院議員選挙を経て、本当に増税されるのかどうかがやはり気がかりです。
なぜ、気がかりなのかというと、昨年、2018年は、アメリカと中国の貿易摩擦が大きくクローズアップされましたね。
これだけが理由ではありませんが、株式市場がリーマンショック後の回復以降、ピークを迎え、下落局面に入りました。
この影響が、おそらく今年、実体経済に少しずつ及んでくるようになり、増税のタイミングとしては滅法悪いと考えているからです。
最も追っていきたい情報は「アメリカと中国の対立構造」です。
世界情勢が大きく変化するポイントはこれですが、一言でいうと、トランプ政権の中国封じが進んできているため、単なる貿易上の問題ではなく、外交・軍事・安全保障や金融・経済など、幅広い視野で政界情勢を眺めていく必要が出てきています。
原理原則、世界情勢の変化は世界経済に影響を与え、世界経済の変化は国内経済を大きく左右します。
さらにミクロの視点で見ていくと、企業活動に変化を与え、私たちの家計、つまり、暮らしにも少なからず影響を及ぼします。
以上、この3点、「雇用や労働に関する新たな常識」・「消費税」・「アメリカと中国の対立構造」について、今年は注目していこうと思います。
ということで、年初は、いつもマーケットの行方について書いているため、今年もこれからスタートします。
まず、一発目。
ユーロとドルの関係について確認しておきましょう。
なぜ、今年はこのチャートから始めるかというと、世界情勢の変化がここに表れているからです。
〇ユーロ/ドル
このチャートは、ドルに対するユーロの価値を示したものです。
なので、上に行くと「ユーロ高」、下に行くと「ユーロ安」とご理解ください。
サブプライムローン問題、リーマンショックのあった2008年をピークにユーロは強かったんですね。
その後、様々なEUの変遷があり、結局、今でも「ドル高・ユーロ安」の流れは変わっていません。
ここがポイントです。
ドルがユーロよりも強い(ドル>ユーロ)。
直近では、2018年、米中の摩擦により、ユーロからドルにマネーが流れているのがわかります。
それでは、日本円とドルの関係はどうでしょうか。
〇ドル/円
こちらは、上に行くと「ドル高」、下に行くと「ドル安」です。
私たち日本人にとっては、上に行くと「円安」、下に行くと「円高」と見た方がわかりやすいので、理解しやすい方で眺めてください。
ユーロ・ドルと同じく、日本円も、サブプライムローン問題・リーマンショックを経て、円高が進みましたね。
下げ止まると一気に円安に反転しました。
ポイントは、2015年以降、円高局面(ドルに対して高くなる)を描き出している点です。
ユーロについては、2014年以降でユーロ安局面(ドルに対して安くなる)となっています。
〇ユーロ/ドル
これってどういうこと?
ユーロが弱くて、ドルが強くて、円も強い。
簡単にいうと、そういうことです。
世界のマネーが、ドルと円に集まりやすくなっているのが2014年、2015年以降の動きってことですね。
この原因はなんでしょうね。
イギリスのEU離脱。
確かに。
EUの中でも、スペインやイタリアなんかの南地中海の国々は財務内容が悪い。
不良債権問題なんて言われてました。
EUの存在意義も同時に問われ、ユーロが弱体化するんじゃないかと懸念されています。
EUは、アメリカとも日本とも影響し合っていますが、他にも結びつきが強いのが中南米や中国と言われています。
EU経済が弱くなるとブラジルは?アルゼンチンは?ということになり、また、中華人民共和国は?といった連想につながります。
さぁ、ここで出てきました。
中国の株価の動きを見てみましょう。
〇上海コンポジット
この国はどうも、経済の統制が上手く取れていないようで、特殊な株価の動きを示しています。
リーマンショックの前、2007年までの急激な上昇とそれ以降の急激な下落。
2015年の急上昇と急落。
これ、面白いですよね。
なんで、こんな爆発と鎮火が起こっているんだろうと思います。
経済成長を遂げ、国力を高める政策をとり続けた結果、国民の所得が増え、不動産価格が高騰し、同時に株式市場にもマネーが流入していたため、世界に先駆けて、バブルが形成され、弾けるという動きになりました。
ポイントは、2015年の株価のバブル崩壊です。
これもまた、先ほど見たユーロ・ドル・円といった為替に影響を与えています。
単純に、こんなふうに解釈しておくといいかもしれません。
2015年以降、中国からマネーが逃げている。
つまり、中国に投資するのはイヤ!と思っている人が増えたってことですね。
この裏で、ドルや円が買われ、大局的にはリスクオフの動きが続いています。
そういうのもあって、アメリカや日本の株式市場は2015年、下落しました。
〇NYダウ
〇日経平均株価指数
その後、調子を戻し上昇を続けました。
中国の株式市場も、少しですが盛り返しました。
〇上海コンポジット
そして、昨年、株式市場に大幅な暴落が2度ほど起こり、それまでの上昇局面のピークが過ぎ去ることになりました。
別に、中国発ということではないんですが、マーケットを見ていると、中国マネーの影響が相当効いていると感じています。
中国に入っていくマネー、中国から出ていくマネー。
この相対的な比率が昔と比べかなり高まっているため、世界経済に及ぼす影響が強く出ていると考えています。
ちょっとここでおさらいしますね。
〇2015年以降、相場の潮流は変わっている。
〇大局的には、ドルと円が好まれている。
〇株式市場はピークを打ち、調整局面に入っている。
この影響は、ここにも表れていました。
ここでも2015年以降のマーケットの減速が見て取れます。
国債は、リスクが高まるとマーケットに感じられるようになると買われます。
国債の価格が上がると、利回りが下がります。
その後、下げ止まり、日本ではマイナス金利政策を実施したこともあって、株式市場は活性化しました。
しかし、2018年、株式市場はピークを迎え、リスクオフの動きが広がり、マネーは国債に再び向かうようになりました。
アメリカの利上げも一役、二役買っていますが、株式市場の下落要因になりました。
一言でいうと、マーケットはこれから、混迷の度を深めると思います。
その要因は、
アメリカと中国の対立
です。
これを軸に考えると、「アメリカの金融引き締めはどうなるのか」、「日本の消費税引き上げはどうなるのか」といった、私たちの暮らしにかかわる経済的な事柄の行方が割と見えやすくなるのではないでしょうか。
個人的には、利上げのペースは下がる、消費税の増税はしない、方向で動いていくような気がしています。
こんなふうに考えると、株式市場は目先、そんなに落ち込まないのかもしれません。
ただ、最悪のシナリオを考えておくことは必要で、年頭のごあいさつに代えて、日経平均株価指数と、ドル/円のチャートについて、シナリオを掲載しておきます。
〇日経平均株価指数チャート分析
昨年からのチャートの更新ですが、今回は、ちょっと詳し目に、もし下げるなら、その目標値をプロットしてあります。
あくまでも、最悪のシナリオ予測なので、たとえば、米中の対立が深まったら、消費税を上げたら、こんなふうになるかもぐらいに見てください。
〇ドル/円チャート分析
ドル・円については、方向感としては、円高局面に突入していくかもしれません。
日銀がどうやってそれを封じ込めるかですが、最近の日銀の動きを見ていると、対抗措置の効果が掻き消されているため、相場下落の衝撃をちゃんと吸収できていないような気がします。
こちらも、あくまでも最悪のシナリオなので、こんなふうにならなければいいんですが、ありえない話ではないため、一応、載っけておきます。
年明け、日経平均株価指数も、ドル・円も、反発してますね。
これは、下値の水準を抜けきれなかったからなんですが、ここから本格反転するのか、それとも、反転が一時的なものになるのか、目先ではこれが注目されます。
アメリカが利上げをしないという報が広がったのは大きいですね。
2019年は、
2018年よりも不透明
な年になると思います。
原因は、繰り返しですみませんが、米中の対立と消費税の増税があるからです。
ならばどうするか。
今年は、そんなことを盛り込みながらの『1970年以降生まれの「ライフ&マネー塾」』になりそうな予感がします。
そういえば、忘れてましたが、労働法制の改正も注目ですね。
これについては、2019年、2020年と、矢継ぎ早に施行されていきます。
ここら辺については、人生100年時代をいかに過ごすかという視点で、昨今、言われている「ライフプラン3.0」と絡めながらお伝えできたらと思います。
それでは、本年もよろしくお願い申し上げます。